記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/7 記事改定日: 2019/4/23
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
インフルエンザの際に自宅にあるバファリン®を飲みたくなる方もいるでしょう。こちらの記事では、インフルエンザのときのバファリン®の服用のリスクや使用可能な解熱鎮痛剤について解説します。
インフルエンザを発症すると、38℃以上の熱が出るのが一般的で、身体の節々や頭が痛むことも多いです。そのため、痛みや熱を和らげようと自宅にある解熱鎮痛剤を使いたくなるかもしれませんね。
しかし、インフルエンザのときの市販解熱鎮痛剤の使用には、十分に注意しましょう。
とくに「バファリン®」は、原則的にインフルエンザの際の使用を避けるべきとされています。
一般家庭の常備薬として用いられる「バファリンA®」の有効成分は「アスピリン(アセチルサリチル酸)」です。
アスピリンとは非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の一種で、長きにわたり、解熱鎮痛剤として使用されています。
しかし、15歳未満のインフルエンザ患者がアスピリンを服用したのち、「ライ症候群」を発症して死に至った事例がアメリカで報告されました。
そのため、日本でも15歳未満のインフルエンザ患者はアスピリンの使用を避けることとされており、大人もやむを得ない場合を除いて使用を避けるのが一般的です。
インフルエンザ発症者がアスピリンを含むバファリン®を使用すると、以下のような合併症が起こるおそれがあると考えられています。
インフルエンザや水痘(水ぼうそう)といったウイルス感染症ののち、激しい吐き気や嘔吐、錯乱、嗜眠(しみん:反応が鈍くなること)といった症状が現れ、けいれん発作や昏睡から死に至ることもある病気です。
ライ症候群は、子供の感染症患者がアスピリンを服用した際に起こりやすいことが知られています。
インフルエンザによる発熱が生じてから多くは数時間~48時間以内に発症し、嘔吐や意識障害、異常言動・行動、けいれんといった症状が現れる疾患で、治療法は確立していません。
今のところ原因は解明されていないものの、アスピリンなどの解熱鎮痛剤の関与が指摘されています。
バファリン®を飲んでしまったことで必ずしも合併症が起こるとは限りませんが、気になる症状がある場合などは速やかに受診しましょう。
すべてのバファリン®にアスピリンが含まれているわけではありません。インフルエンザの際でも、合併症を起こす危険性が低いものであれば服用しても問題ないとされています。
避けたほうが良いとされるのはアスピリンが入っている「バファリンA®」です。また、「ロキソプロフェン」という有効成分もインフルエンザ脳症のリスクが完全に否定できないことから、「バファリンEX®」の自己判断での服用は避け、医師に許可をもらってから使用しましょう。
なお、「アセトアミノフェン」と「イブプロフェン」という有効成分は比較的安全性が高いとされることから、以下のバファリン®︎なら服用可能です(ただし服用前に必ず医師に確認してください)。
薬を飲む以外にも、インフルエンザの症状を楽にするには以下のような過ごし方が大切です。
インフルエンザでは喉が強く炎症を引き起こします。その結果、喉の粘膜を覆う粘液の産生量が減少して乾燥しやすくなりますが、喉の乾燥は線毛(喉に侵入した細菌やウイルスをキャッチして排除する働きのある構造)の働きを弱め、さらに病原体に感染しやすくなるという悪循環に陥ることも少なくありません。
このため、インフルエンザにかかったときは、加湿器や濡れタオルなどで室内を十分に加湿し、温かい飲み物を摂るなどして喉の乾燥を予防しましょう。
インフルエンザに限りませんが、体調が悪い時には休息・睡眠時間を十分に確保してしっかり身体を休めるようにしましょう。
家事や育児がある場合でも、無理をすると治りが遅くなるばかりでなく、周囲に感染を拡げてしまうこともありますでのできるだけ安静にして寝ているようにしましょう。
バファリン®は頭痛や解熱の強い味方になってくれる市販薬ですが、インフルエンザの際には気をつける必要があります。特にインフルエンザを発症していると思われる際には、自己判断で市販薬を使用するのではなく、医療機関を受診して適切な治療を受けてください。