記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/7/1 PR 記事改定日: 2018/2/20
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
排尿時に痛みを感じる、トイレに行く回数が増えた、お腹が痛いなど、いつもと違う症状が出てくると不安になりますよね。排尿時のトラブルやお腹の痛みがあるとき、膀胱炎の可能性があります。膀胱炎は女性が発症することが多い病気のひとつですが、子供や男性も発症することがあります。この記事では、膀胱炎の症状を中心に、原因や治療法などについても解説します。
膀胱炎は尿路感染症(UTI)のひとつです。尿路感染症とは、尿の通り道(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に細菌が感染して炎症を起こすもので、膀胱炎のほかに腎盂腎炎や尿道炎などがあります。
健康であれば、尿路に細菌が感染しても免疫機能が働いて細菌増殖を抑えることができます。しかし、ストレスや睡眠不足、栄養不足から体調を崩したり、妊娠・出産後などで体力が落ちていると、免疫機能がうまく働かず、尿路で細菌が増殖してしまうことがあります。そのようなときに、膀胱炎をはじめとする尿路感染症を発症してしまうのです。特に女性は尿道が短いため、男性よりも膀胱炎を発症しやすいと言われています。
膀胱炎になると、以下のような症状がみられます。
・排尿痛(排尿が終わりそうになると、痛くなったりヒリヒリしたりする)
・頻尿(頻繁にトイレに行きたくなる)
・残尿感(尿を出し切ったはずなのに、まだ出し切れていない感じがする)
・尿の色が暗い。濁っていたり、臭いがきつかったりする
・下腹部に不快感や痛み、張りがある
・気分が悪い。吐き気や疲労感がある
・血尿が出る
通常、膀胱炎で発熱することはありません。もし、膀胱炎でみられる症状に加えて、悪寒や震えを伴なう38度以上の高熱が出たり、腰の痛みがある場合は、腎盂腎炎を発症している可能性があります。もしこのような症状が出ていたら、すぐに泌尿器科を受診してください。
膀胱炎は女性だけでなく、男性や子供も発症することがありますが、女性ほど頻繁に発症するわけではありません。また、男性や子供の場合、一見膀胱炎のような症状に見えても、実は以下のような他の病気が潜んでいる可能性があります。
<子供の場合>
・膀胱尿管逆流症(尿管と膀胱のつなぎ目が正常ではないため、膀胱にたまった尿が再び尿管や腎臓に逆襲してしまう)
・水腎症(尿管や腎臓に尿がたまってしまったために、尿路が拡張した状態)
・先天性尿道狭窄(生まれつき尿道が狭い状態)
<男性の場合>
・前立腺肥大(前立腺が加齢とともに肥大化したために、尿道や膀胱が圧迫されて排尿障害が出てくる病気)
・尿路結石(腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石ができて、腹痛や血尿などが出る病気)
・前立腺炎(細菌が前立腺の中に侵入して炎症を起こす病気。急性前立腺炎と慢性前立腺炎がある)
・尿道炎(細菌が尿道の粘膜に感染して発症する病気。性行為がきっかけで発症することが多い)
細菌に感染する原因として、以下のようなものが考えられます。
細菌が尿道に侵入するリスクが高くなります。特に女性は尿道が短い(4~5センチ)ため、男性より膀胱に細菌が入ってしまう可能性が高くなります。
トイレに行くのをガマンしてしまうと、膀胱に尿が長時間溜まった状態になります。この状態が続くと、膀胱内で細菌が増殖しやすくなります。
妊娠中や産後、過労や睡眠不足などで免疫力が低下していると、細菌の増殖を抑えることが難しくなります。また、月経(生理)の前後も細菌に感染しやすいため、膀胱炎を発症しやすいと言われています。
性行為をすると、腟に入った細菌が尿道に入り込んでしまう可能性があります。
結石や先天的に尿路の構造に異常があるなど、膀胱を空にするのが難しい場合、膀胱炎を発症しやすくなります。また、糖尿病を発症している場合も、他の病気と闘う抵抗力が弱まってしまうため感染しやすくなります。そのほか、尿路にカテーテルを入れている場合も発症のリスクが高くなります。
閉経するとエストロゲンが不足し、粘膜が縮んで薄くなる可能性があります。また、腟内の細菌バランスも変化するため、潜在的に有害な細菌が広がりやすくなると言われています。この結果、尿道が感染症に対抗する力が弱くなる恐れがあり、結果として膀胱炎になってしまう可能性があります。
膀胱炎の疑いがある症状がみられたら、泌尿器科へ行きましょう。問診の後、尿検査をすればその場で膀胱炎かどうかが分かります。
検査の結果、膀胱炎だと分かった場合、抗生物質(抗菌薬)が処方されます。服用後、1、2日で症状が改善しはじめ、5日も経てば回復すると思います。症状が改善しても、膀胱内に残っている細菌を完全に死滅させないと再発してしまうので、処方された抗生物質(抗菌薬)は必ず服用してください。
自分で膀胱炎かどうかを判断することは難しいですし、場合によってはそのほかの深刻な病気が隠れている可能性もあります。気になる症状がみられたら、なるべく早く泌尿器科へ行って検査を受けましょう。