記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/2 記事改定日: 2018/10/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高熱が特徴のインフルエンザですが、一般的に熱は何日くらいで下がるものなのでしょうか?また、だいぶ日数がたっても熱が下がらない場合はどうすればいいでしょうか。以降で詳しく解説していきます。
インフルエンザの特徴的な症状は、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などで、これらの症状が比較的急速に現れることが特徴です。さらにインフルエンザによる熱は二峰性ともいわれ、一度解熱してもまたぶり返すこともあります。
一方、風邪の場合はインフルエンザほどの高熱が出ない、または熱が出ないことが特徴です。症状は鼻やのどなど局所的である場合が多く、進行も比較的ゆっくりとなります。
インフルエンザの診断には「迅速診断キット」が使用されるのが一般的です。迅速診断キットは、患者の咽頭粘膜の拭い液を採取し、特殊な薬液にさらすことでインフルエンザに感染しているかを調べることができます。15分ほどで診断できるため、現在ではほとんどの医療機関で導入されています。
しかし、迅速診断キットは発症後12時間から48時間前後で検査するのが最適とされており、発症直後や発症してから3日以上経過すると正確な診断が行えないことがあります。
インフルエンザ流行時期に急な発熱が出た場合は、少なくとも1日以内に病院を受診するようにしましょう。
インフルエンザにかかっていても熱があまり出ないということもあり、その理由もいくつかあります。
最も多いのはB型インフルエンザに感染していた場合です。B型インフルエンザは高熱も出ず症状が軽いことが特徴であるため、インフルエンザと思わず風邪だと思い込んでいたということもあるほどです。
また、他にも高齢者や乳幼児などもともと免疫力が低い方や、病気などで免疫力が低下している方も熱が上がってこない場合があります。
さらに普段から鎮痛剤を常用している場合、鎮痛剤には解熱作用も相互作用としてあるため熱が出ないことがあります。高熱が出ないからインフルエンザではないだろうと軽視せずに、身体の節々が痛い、だるさや頭痛、吐き気があるなどの症状がある場合には一度病院で検査をするようにしましょう。
インフルエンザの場合、抗インフルエンザ薬を使用しなくても約3日ほどで熱が下がるといわれています。抗インフルエンザ薬を発症から48時間以内に使用することができれば、もっと早く熱を下げることが可能であり、早い人では1~2日で熱が下がるということもあります。
しかし、熱が下がったからといって外出したりアクティブに行動してもよいというわけではありません。38℃以上の熱が数日続いていたということで、体力は激しく消耗しています。そのため、1週間程度は無理せずに療養していたほうが良いでしょう。
また、一般的にインフルエンザは発症前日から発症後3~7日間は、鼻やのどからウイルスを排出するといわれており、学校保健安全法では「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としています。このことから、少なくとも解熱後2日は自宅で療養することが望まれます。
幼稚園や学校などで集団生活を行う子供たちは、流行期になるとインフルエンザに感染する機会が成人よりも多くなります。
また、子供はしっかりと自分の症状を訴えることができず、重症化のサインを見逃してしまうことが多々あります。さらに、子供は体の抵抗力が弱いため、肺炎や脳症などの重篤な合併症を起こしやすいとされていますので特に注意が必要です。
子供がインフルエンザにかかった場合、重症化を防ぐためにも以下の点に注意しましょう。
インフルエンザであった場合の自宅療法はどのようにすればよいでしょうか。
最も必要なことは、自宅で安静を保ち、休息や睡眠をしっかりととることです。また、水分をしっかりとることも大切です。特に発熱して汗をかいている場合には脱水症状を予防するためにも水分摂取が非常に重要となります。お茶やスープ、スポーツドリンクなどを活用してこまめに水分を摂取していくように心がけましょう。
なお、感染している方との同居している人の中に、持病を持っている人や妊婦さんがいる場合は別の部屋で過ごすようにしましょう。看護をする側や同居者だけでなくインフルエンザに罹った本人もマスクを着用し、感染の予防をしていきましょう。
インフルエンザのウイルス量のピークは72時間で、その後は徐々に減少します。1週間もたてばウイルスは体内からはいなくなるとされています。しかし、もしも1週間以上熱が下がらないという場合はインフルエンザが原因ではなく、インフルエンザによる合併症など他に原因が隠れている場合があります。1週間たっても熱が下がらないという場合には医療機関を受診し、精密な検査を受けることをお勧めします。
抗インフルエンザ薬はそもそもインフルエンザのウイルスを消滅させるのではなく、増殖を抑えることが目的です。そのため抗インフルエンザ薬は、使ったからといってすぐに熱が下がるということはありません。実際の臨床試験でも、抗インフルエンザ薬のイナビル®を吸入した人とタミフル®を1日2回で5日間内服した人を比較すると、どちらも完治するのに3日ほどかかっています。また、3日とはあくまで平均の日数であり、もっと早く熱が下がる人もいればそれ以上に時間のかかる人もいます。
しかし、5~7日程度熱が下がらない場合は。他の病気の可能性を考える必要があります。具体的には、インフルエンザによって免疫力が低下した際に他の感染症にかかっている可能性があったり、原因疾患が悪くなった可能性、インフルエンザによるインフルエンザ脳症や肺炎にかかっている可能性があります。
熱以外にも意識がもうろうとする、咳や痰が出てきて息が苦しいという場合には、これらインフルエンザによる合併症が考えられるのですぐに病院を受診してください。
インフルエンザは、抗インフルエンザ薬使用の有無にかかわらず、3日前後で解熱するのが一般的です。しかし、熱が続くという場合にはインフルエンザによる合併症を患っている可能性があります。逆に、熱が出ないけれどインフルエンザの症状が見られるという場合もインフルエンザに感染している可能性があります。そのため、発熱が続く場合だけでなく、発熱がない場合にも、流行期にはインフルエンザの可能性を疑っておく必要があるでしょう。
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