記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/8 記事改定日: 2018/10/29
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
誰もが知っている感染症の「インフルエンザ」ですが、インフルエンザには実はさまざまな種類があります。今回の記事では、そのインフルエンザの種類や特徴と、ワクチンの効果、インフルエンザにかかりやすい人の特徴と対処法について解説します。
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスがのどや気管支、肺などに感染・増殖して、諸症状を引き起こす感染症の一種です。40℃近い発熱、頭痛、筋肉・関節の痛みなど、重篤な風邪のような症状が出るのが特徴ですが、さらに重症化すると脳炎・脳症・肺炎などの合併症を起こすこともあります。
すべての年代・性別の人に発症リスクのある病気ですが、特に0〜9歳の発症者が多いこと、重篤化して死亡する人には65歳以上の高齢者が多いのが特徴です。
ヒトをインフルエンザに感染させるインフルエンザウイルスは「A型」「B型」「C型」の3つに分類されます。以下からは、3種類それぞれの特徴を解説していきます。
インフルエンザウイルスのなかでも、A型は特に症状の出方が激しく、合併症や重篤化のリスクが高い型として知られています。A型インフルエンザウイルスが起こす代表的な症状には、以下のようなものがあります。
また、A型インフルエンザには、他の型にはない以下のような特徴があります。
A型は毎年少しずつ進化しており、一度感染・発症して体内に抗体を手に入れても、常に感染のリスクがつきまといます。また、ワクチンの予測がたてにくく、予防が難しいという特徴もあります。
A型に比べると症状がゆるやかで、大流行することも少ないですが、消化器官への症状が強く出るのがB型インフルエンザウイルスです。比較的軽症で済むケースも多く、一度かかれば免疫はつきやすいですが、ノロウイルスや急性胃腸炎などと間違われやすいという意味では、注意が必要な型になります。
B型インフルエンザウイルスの主な症状と特徴は、以下を確認してください。
3種類のなかで最も症状が軽く、免疫も獲得しやすいといわれるのがC型インフルエンザウイルスです。以下の通り、鼻風邪に似た症状で熱も上がりにくいため、普通の風邪だと思い込んでインフルエンザ感染に気付かない患者さんも多いと言われています。
型が1種類しかないため、過去に1度でも感染して免疫のある大人であれば、再び感染するリスクはほとんどありません。
感染者には4歳以下の幼児が多く、特に2歳以下では高熱・嘔吐・下痢・腹痛・発疹などの重篤な症状を起こし、入院が必要になることもあるので注意が必要です。
インフルエンザの種類と特徴についてわかったところで、次は、定期的に発生して大流行のニュースが聞かれる「新型インフルエンザ」について解説していきます。
過去に発生し、大流行したことのあるインフルエンザを「季節性」と呼ぶのに対し、前年までに一度も流行したことのない新しい構造のインフルエンザを「新型」と呼びます。
このような新型インフルエンザは、他のA型・B型・C型のどのウイルス遺伝子とも構造が異なり、誰も免疫を持っていないことから、発生すると大流行を引き起こすのです。また、A型インフルエンザウイルスはヒトから動物、動物からヒトへも感染するため、感染を経て変異した新型は、ヒトだけでなく他の動物にとっても脅威となり得ます。
インフルエンザワクチンは、WHO(世界保健機構)がその冬に流行する季節性インフルエンザの型を予測し、これに効果のあるものを製造しています。
ワクチンの基本的な構造は、A型のなかでも2009年に流行した「H1N1」、1968年に流行した「香港型」、そしてB型2種の計4種類に効果を発揮する混合型です。
流行するインフルエンザの型によっても異なりますが、ワクチン接種によりおよそ50%の確率で感染・発症・重症化の予防効果が期待できると言われています。特に小児への予防効果は高いと言われ、A型の流行が始まってから(12月以降)に摂取しても、B型の流行時期(1月以降)における発病を予防する効果があるとされます。
ワクチンは、すべての型のウイルスへの効果が保証されているものではありませんが、A型・B型それぞれの一部の型への一定の予防効果が確認されている予防法です。特に小児や高齢者の場合、インフルエンザによって重篤化するケースも多いので、流行時期を迎える前に積極的にワクチン接種することをおすすめします。
インフルエンザは喉や鼻の粘膜にインフルエンザウイルスが感染することによって発症します。鼻や喉の粘膜には、体内に侵入したウイルスや細菌を排除するための「線毛」と呼ばれる構造が存在しています。この線毛は、適度な湿度が保たれている状態では活発に働きますが、乾燥していたり粘膜に炎症が生じている人は働きが弱まることが分かっています。
このため、慢性的な鼻炎や副鼻腔炎、咽頭炎などがある人はインフルエンザウイルスに感染しやすくなります。
この他にも、以下のような人は免疫力が弱く、インフルエンザにかかりやすいですので特に注意が必要です。
インフルエンザにかからないようにするためには、室内の湿度を適度に保ち、マスクを着用する・鼻うがいをするなどして鼻や喉の粘膜の乾燥を防ぐことが大切です。
また、免疫力が低いことが考えられる人は、この他にも手洗い・手指消毒をこまめに行う、流行時期は人ごみを避ける、十分な休息をとって疲れをためない、予防接種を受けるなどの対策をするようにしましょう。
ひとくちにインフルエンザと言っても症状はさまざまなので、症状について知らなければ、発症に気づけなかったり、知らない間に感染を広げてしまう可能性もあります。病気や症状に対する理解は、感染の予防や、発症したときの適切な治療・対処のために欠かせません。この記事を参考にインフルエンザウイルスのことや発症時の症状、ワクチンの重要性などを理解し、適切な予防と治療に役立ててくださいね。
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