インフルエンザワクチンが足りない今、ほかにできる予防対策はある?

2018/9/21 記事改定日: 2018/11/21
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山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

2018年は、9月の段階ですでに局地的にインフルエンザの集団感染が報じられるようになったこともあり、早めにインフルエンザの予防接種を受けたいと希望する人が多かったようです。しかし、その影響もあってか「インフルエンザワクチンが不足気味」になっていることをご存知でしょうか。
今回は、インフルエンザの予防接種を受けるまでの予防対策としてや、予防効果をより高めるための対策としておすすめの方法を幅広く紹介していきます。

インフルエンザの予防に予防接種が役立つことは間違いないですが、それだけでは不十分です。インフルエンザ対策をより万全にするためにも参考にしてください。

もうインフルエンザが流行っている!?

インフルエンザは、毎年12~2月の寒い時期に流行します。ただ、今年はすでに局地的にインフルエンザの集団感染がみられたということもあり、多くの人が早めにインフルエンザの予防接種を受けていたようです。
インフルエンザの予防接種を受けることが一般化したことは非常に喜ばしいことですが、予想以上の人が早めの予防接種を希望しているため、インフルエンザワクチンが不足傾向にあります。

インフルエンザの予防接種を受けようと思っていても、ワクチン接種の前にインフルエンザに感染してしまっては元も子もありません。
予防接種前の予防対策として、以下で紹介する予防対策に取り組みましょう!

予防接種以外にできる有効な予防法とは!?

予防接種以外にできる有効な予防法を以下でご紹介していきますが、これらはワクチン接種前の予防対策はもちろん、ワクチン接種後のインフルエンザ予防をより万全にするためにも役立ちます
すぐできる対策方法ですので、今日から始めてみてください。

ヨーグルトの摂取

インフルエンザに感染する原因のひとつが「免疫力の低下」ですが、実は人間の免疫細胞の7割は腸管に集まっています。つまり、腸内環境を整えることが免疫力の向上にもつながるのです。

腸内環境の良し悪しを左右するのが「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」のバランスで、善玉菌が優位であれば細菌の侵入を抑え、免疫機能が上がることがわかっています。そしてヨーグルトは、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を多く含んでいる食べ物です。

ヨーグルトを継続的に摂取したことで善玉菌が優勢になると、腸の蠕動運動が活性化し、お通じがよくなります。この「便秘を解消させる」ということも良好な腸内環境をつくるうえでは欠かせないポイントで、免疫力のさらなる向上へとつながります。

なお、ヨーグルトの含む乳酸菌にはさまざまな種類がありますが、中でもインフルエンザに強い乳酸菌といわれるのが「R-1乳酸菌」です。2011年、株式会社明治が発売する「明治ヨーグルトR-1」(現在の商品名は「明治プロビオ®ヨーグルト R-1」)を毎日飲んだ佐賀県有田町の小中学生は、周辺市町の子供と比べてインフルエンザの感染率が低かったということが公表されました。

R-1乳酸菌の産生する多糖体には免疫機能を改善する効果があり、そのためこのヨーグルトの摂取によって免疫力が高まり、インフルエンザの感染を防いだのではないかと考えられています。

「毎年インフルエンザにかかってしまう…」という方は、いまからR-1乳酸菌入りのヨーグルトを摂取する習慣を始めてみてはいかがでしょうか。

北里大学 獣医学部 動物資源科学科 食品機能安全研究室 の情報をもとに編集して作成 】

部屋の温度&湿度管理

インフルエンザは寒くて乾燥した環境を好み、一方で高温多湿の環境に弱いという特徴があります。温度20℃以上、湿度50~60%の環境では空気中の感染力が低下するといわれているので、室内ではこの状態をキープするようにしましょう。

おすすめなのは、部屋に温湿度計を置くことです。一般的な湿度表示で見る数値は「相対湿度」と呼ばれるものですが、インフルエンザ対策で重要なのは空気1m³あたりに含まれる水蒸気の重さ(g)を表す「絶対湿度」になります(近年ではこの絶対湿度を、「乾燥指数」などと表示する機器も増えてきています)。この絶対湿度が11g以下だとインフルエンザウイルスが活性化してしまうので、加湿器などを活用してしっかり湿度管理を行いましょう。

手洗いの徹底

インフルエンザは、感染者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれたインフルエンザウイルスを吸い込むことによる「飛沫感染」、感染者が咳などをする際に覆った手でドアノブ・つり革等に触れ、それを触ったほかの人が口や鼻の粘膜を手で触ってしまうことによる「接触感染」によって、主に感染します。

オフィスのトイレのドアノブ、通勤電車のつり革など、私たちは日々いろいろなものに触れていますが、このときインフルエンザウイルスが付着する可能性があります。そのため、ウイルスの体内侵入を防ぐには手洗いの徹底が重要になっていきます。

帰宅後はもちろん、調理や食事の前後も以下の手順でしっかり手洗いをしましょう(爪は短く切っておいてください)。

  1. 指輪や時計を外す
  2. 水でよく手を濡らした後、石鹸をつけて手のひらをよくこする
  3. 手の甲を伸ばすようにこする
  4. 指先や爪の間を念入りにこする
  5. 指の間を洗う
  6. 親指と手のひらをねじり洗いする
  7. 手首を洗う
  8. 十分に水で流し、清潔なタオルやペーパータオルでよく拭き取って乾かす

政府広報オンライン の情報をもとに編集して作成 】

マスクの着用

よく市販されているガーゼマスクは、着用しても完全にインフルエンザの感染を防げるわけではありません。なぜなら、マスクの目よりもウイルスのほうが細かいからです。

インフルエンザウイルス対策としては、ウイルスより目の細かいN95というマスクが有効ですが、ガーゼマスクよりも値段が高く、かつ密度が高いぶん呼吸もしにくいので、長時間つけるのは少し厳しい面があります。なので市販の使い捨てマスクのなかでいえば、不織布マスクを選ぶのがおすすめです。

ただ、インフルエンザウイルスは唾液などの飛沫と一緒に浮遊している場合もあるので、その感染を防ぐ意味ではガーゼマスクでの予防も有効です。また、マスクによって鼻や口周りが保温・保湿されることで、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する効果も期待できます。

生活習慣を整える

繰り返しになりますが、インフルエンザへの感染のしやすさにはその人の免疫力が大きく関わっています。そのため、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、生活リズムを一定にする、ストレスや疲れはこまめに発散するといった、よくいわれる体調管理も非常に重要になります。

インフルエンザの予防接種って本当に効くの?

インフルエンザの感染を100%防ぐ方法は、存在しないというのが実情です。一般的には「予防接種を受ける」という対策が挙げられますが、この予防接種による予防効果も絶対的なものではありません。

そもそもインフルエンザワクチンは、各国で流行が予測されるウイルスの型を1年ほど前から予測し、工場でつくられたものです。しかしながらインフルエンザウイルスは毎年変異するため、1年前に予測した型が、実際に流行した型とはズレてしまうことがあるのです。

かといって、「予防接種は全然意味がない」というわけではありません。インフルエンザは免疫力の低い高齢者などは重症化のリスクが高いのですが、国内の研究によれば、予防接種には「65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があった」そうです。つまりインフルエンザの重症化を予防するという点においては、大きな効果が期待できるといえます。

上記で紹介した予防接種以外の対策とあわせて、毎年必ず受けるようにしましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

インフルエンザの予防接種はいつから受けられる?

インフルエンザの予防接種は、65歳以上の高齢者の方や、60~64歳で重い持病がある方などは定期接種の対象となっています。では、それ以外の年齢の人はいつ接種をすればいいのでしょうか。

結論からいうと、小学生以下の子供は免疫力が弱いため、10月中に1回目、その2~4週間後に2回目と計2回の接種、中学生以上の子供や大人は11月~12月中旬頃までに1回の接種をすることが有効です。これは、インフルエンザが例年12月下旬~翌年3月にかけて流行すること、予防接種は接種日から2~4週間後から効果が出始めること、予防接種の効果の持続期間がおよそ5ヶ月ほどであることから逆算された時期になります。

病院やクリニックによりますが、多くの場合インフルエンザの予防接種は10月から始まります。しかしこの時期になってから申し込んでも、「すでに予約の人の分で、ワクチンが終わってしまいました」といわれることもあるので、確実に受けたい人は9月中から希望の医療機関に問い合わせておく必要があります。

こんな症状のときはインフルエンザかも。すぐ病院へ!

人が感染するインフルエンザには「A型」「B型」「C型」の3種類があり、流行することが多いのがA型とB型です。一般的にはA型は症状が激しく、B型は比較的症状が軽めといわれていますが、基本的な症状はほとんど変わりません。
ウイルスに感染してから1~2日後に、急速に以下のような症状が現れるようになります。

  • 発熱(38℃を超えることが多い)
  • 頭痛
  • 寒気
  • 全身の倦怠感
  • 関節痛
  • 筋肉痛
  • 鼻水や咳、のどの痛み など

これらの症状が急激に現れ始めた場合は、ただの風邪ではなくインフルエンザの可能性があります。該当する症状が多ければ、早めに病院を受診してください。インフルエンザの治療は、発症後48時間以内に開始したほうが高い効果が得られるとされているからです。

ただし受診が早すぎると、本当はインフルエンザに感染しているにも関わらず、正確な検査結果が得られない場合もあります。そのため、発症から12時間後かつ48時間以内の受診を心がけましょう。

おわりに:インフルエンザ対策は予防接種だけでは不十分。ひとつひとつの予防策をしっかり実践しよう

「インフルエンザを予防するには、予防接種が有効」「普段の手洗いが重要」なんて話をよく聞きますが、実際ワクチンの予防効果は100%ではなく、また手洗いも雑にやってしまうとウイルスの侵入を防ぐことはできません。あらゆる予防法を多面的に、そして丁寧に実践することが大切なので、「今年こそはインフルエンザにかかりたくない!」という人は、まずはできることから実践していってくださいね。

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