記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/7 記事改定日: 2018/4/4
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
現在のところ、気管支喘息(以下、喘息と表記します)を完治する方法はありませんが、正しい知識を持ってケアをすることで喘息の症状をある程度コントロールすることができます。
今回の記事では、喘息の症状を抑えるための知識とケアの方法をご紹介します。
結論をいうと、症状が改善することはあっても喘息が完治する可能性は低いです。
ですが、喘息をコントロールすることで症状が軽くなったり出にくくなったりする(症状が出なくなった状態を「寛解:かんかい」といいます)可能性は充分にあります。
喘息の治療は喘息の発作を治療することではなく、以下のような目的で行われます。
先述したように喘息を完治することは難しいですが、症状を管理することで発作を防ぐことはできます。
ここでは、喘息を管理するための方法を見ていきましょう。
処方されている吸入器は適切に使用しましょう。
医師や看護師、薬剤師などに、吸入薬を正しい使用方法を確認してください(よくある間違いとして、吸入したあとに息を数秒止めて薬剤を気管支や肺内へ行き渡らせるのを怠っている、などがあります)。
市販の鎮痛剤や栄養補助食品などの使用は喘息治療の妨げになることがあるので、使用前に必ず医師に確認するようにしましょう。
特に、アスピリンやイブプロフェンなどが含まれている市販薬は喘息患者さんが服用できない場合があるため注意が必要です。
ピークフローメーターは、片手で持てるぐらいの大きさで肺を出入りする空気の量を知るための道具です。十分に息を吸った後、強く吐き出したときに空気がどのくらいのスピードで出るかを測定するために使い、測定した数値は「最大呼気流量(PEF)」と呼ばれています。
最大呼気流量が下がることが「喘息が悪化していて対処が必要である」という目安になるため、ピークフローメーターを使うことで医師も患者さんも発作が起きるタイミングを把握しやすくなるというメリットがあります。
ここでは運動や食事による喘息の管理について紹介します。
定期的な運動は喘息の症状の改善に役立ちます。
早い速度でのウォーキングやサイクリングなど、中程度の有酸素運動を週に2~3時間行うことを目標としましょう。
運動は喘息の症状を引き起こす原因になるのではないかと心配になるかもしれませんが、治療と並行して適切な指示のもと行えば運動によって発作が起こることは基本的にはありません。
ただし、運動中や運動後に喘息の症状がみられたときには、直ちに医師に相談して計画を見直してもらいましょう。
基本的に喘息を理由に食事制限をする必要はありませんが、のどの粘膜を刺激する極端に熱いまたは冷たい食べ物や飲み物は控えるようにしましょう。
また、胡椒や唐辛子などの香辛料や食品防腐剤や一部の果物はアレルゲンとなって喘息の症状を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
発作を防ぐには、喘息を引き起こす要因を知ることが大切です。
大気汚染、特定の疾患、天候などの一部の要因は避けるのが難しいですが、ダニなどのハウスダストや犬や猫などのペットのようなアレルゲンであれば、ある程度接触を避けることができるからです。
アレルゲンではないかと疑わしい要因があれば、早めに病院で検査を受けておくと良いでしょう。
タバコは喘息を悪化させます。
喫煙しているという人はすぐに禁煙に取り組みましょう。
禁煙することで症状の緩和、発作頻度の減少があらわれやすくなります。
喘息が完全に治ることはありませんが、発作が起こらないよう管理して日常生活に支障が出ないようにすることはできます。
今回紹介した方法を、喘息をコントロールする際の参考にしてみてください。
ただし、症状が辛い場合はセルフケアをするのではなく、早急に病院で治療を受けるようにしましょう。