メニエール病とは ~ めまいや耳鳴りが出てくる耳の病気について ~

2017/7/20 記事改定日: 2018/3/28
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

メニエール病は、めまいと耳鳴り、体がぐるぐる回る感覚などが起こる耳の病気です。この記事では、メニエール病の原因や症状だけでなく、治療法についても解説します。

メニエール病ってどんな病気?

メニエール病とは、自分の体がぐるぐると回っているように感じる回転性のめまいが表れる内耳疾患です。かつてめまいの原因は脳にあると考えられていましたが、1860年代にフランスの医師プロスペル・メニエールが内耳が原因でめまいが起こる場合があることを報告したことがきっかけで、この医師の名前をとって「メニエール病」と呼ばれるようになりました。

メニエール病を発症すると、めまいのほかに耳鳴りがあらわれることがあります。また、場合によっては難聴になったり、耳詰まりや圧迫感を感じたりすることもあります。通常、左右どちらかの耳にだけ発症し、難聴になると治らなくなることもあります。

メニエール病のめまいや耳鳴りの原因は?

メニエール病は、耳の内部にある蝸牛(聴力や平衡感覚を司る部分)と関連する器官に水が溜まり、その水分が脳が内耳器官から受け取る信号を阻害したために、めまいや耳鳴り、難聴を引き起こすと考えられています。また、ストレスや睡眠不足が続いたときも、めまいや耳鳴りの症状があらわれやすいと言われています。

ただ、なぜメニエール病を発症するのか、正確な原因ははっきりわかっていません。でも、研究者たちは以下のような要因が発症に関わっているのではないかと考えられています。

・水がうまく排出されない(内耳の構造に異常や詰まりがある)
・自己免疫反応(体の防衛システムが誤って正常な細胞を攻撃してしまう)
・アレルギー反応
・ウイルス感染
・遺伝

メニエール病の症状

メニエール病は進行性の疾患で、繰り返すことで悪化していきます。最初は難聴がきっかけで発症し、少しずつその他の症状が表れるようになることが多く、めまいはその後に起こると言われています。

また、次のような症状が現れることもあります。

・不安
・視界がぼやける
・吐き気や下痢
・震え
・冷や汗や頻脈

メニエール病の発作は、20分程度のものから24時間続くものもあります。週に6~7回発作がある場合もあれば、数カ月後、数年後に発作が再発することもあります。発作の後は疲労感が残るため、休息をとる必要があります。

メニエール病が進行すると、症状は変わります。難聴と耳鳴りがずっと起こるようになったり、めまいがときどき起こる代わりに、平衡感覚と視界の問題に常に悩まされることになったりすることもあります。

メニエール病の薬物療法

めまいと内耳に溜まった水を減らすために、薬で治療を行います。めまいがする時は乗り物酔い用の薬が、めまいによる嘔吐を抑えるためには制嘔吐剤を服用すると症状が和らぎます。

そのほか、治療で使われる薬として以下のようなものがあります。

利尿剤

内耳に溜まった水を減らすために、利尿剤が処方される場合があります。服用とともに、食事の塩分を減らすよう指示されるでしょう。

ステロイド剤

メニエール病の他に免疫系の疾患があると判断された場合は、短期間ステロイド剤による治療を行う場合があります。

平衡感覚を高める作業療法や補聴器

薬剤による治療に加えて、平衡感覚の向上のために作業療法を行うこともあります。また、難聴に対しては補聴器を使って聴力の向上を目指します。

注射

耳に直接薬を注射して、めまいの改善を目指す方法です。ゲンタマイシンという抗生物質が使用されることが多いです(ステロイド剤を注射することもあります)。

メニエール病の症状が出ている耳の機能を抑えることで、症状が出ていないほうの耳に平衡感覚を引き継ぐことができると考えられています。

メニエール病の手術療法

薬物療法では症状が改善しなかった場合、手術が行われます。以下のような手術法があります。

内リンパ嚢開放術

水分(リンパ液)を吸収する働きがある内リンパ嚢(のう)の一部を切開し、リンパ液がたまりすぎないように排泄の通り道を作る治療法です。手術は全身麻酔下で行うのが多く、手術中に痛みを感じたり、目が覚めたりすることはありません。

前庭神経切断術

めまいの原因となる脳の信号を止めるため、神経を切断する手術です。最大で5日程度入院する必要があるとされています。

(蝸牛内)シャント術

水分を排出する目的で行われる手術です。麻酔をかけ、手術は30分程度で終わりますが、聴力の何%かが失われます。

迷路切断

平衡感覚を司る部分を切断する手術です。
この手術も全身麻酔をかけるため、手術中に目を覚ますことはありません。2~3日入院の必要があり、手術後に聴力が失われる可能性が大きいため、めまいがひどく、すでに高度の難聴になっている患者にのみ行われます。

めまいが起きたときの対処法は?

めまいがするようであれば、その場に座るか、横になりましょう。運転はしないでください。

疑わしい症状があるようであれば、耳鼻咽喉科の医師の診察を受けましょう。メニエール病の進行を予測することは難しいため、自己判断は危険です。そのうち治る、と軽く考えないで、病院で診てもらいましょう。

おわりに:気になるめまいや耳鳴りが続いたら、医師に診てもらおう

めまいや耳鳴りが続くと仕事や家事に集中できなかったり、転んでケガをしたりといった事故にもつながります。めまいや耳鳴りの原因はメニエール病ではないこともありますので、耳鼻咽喉科を受診し、原因に合った適切な治療を受けるようにしましょう。また、生活スタイルを変えてストレスをうまくコントロールすることも、めまいや耳鳴りの発作を抑えるのに役立ちます。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

めまい(90) メニエール病(30) 耳鳴り(39) 内耳(3)