記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
パレオダイエットは、旧石器時代の狩猟採集民がしていたと考えられている食事方法を実践するダイエット法です。加工食品は控え、タンパク質を中心にした食事を摂ります。この記事では、パレオダイエットの効果はあるのかや、安全性に問題がないのかをみていきたいと思います。
パレオダイエットは、農業が発展する以前(約10,000年前)に、旧石器時代の狩猟採集民がしていたと思われる食事を摂るダイエット法です。基本的に、狩猟や漁で獲れるもの(肉や魚介類など)と、採集して得られるもの(卵、ナッツ、種子、果物、野菜、ハーブ、スパイスなど)は食べますが、小麦などの穀物類、乳製品、上白糖、じゃがいも、塩、加工食品は食べません。
パレオダイエットは、体重を減らすだけでなく、糖尿病、心臓病、癌といった病気のリスク軽減にも役立つため、健康的なダイエットだと主張する人もいます。しかし、パレオダイエットに関する研究はほとんどが小規模なので、このような効果があるかどうかを判断するにはより長期的な研究が必要です。
ちなみに、2014年に行われた研究では、パレオダイエットをした人と脂肪制限をした人が2年間で減らした体重は同じくらいでした。一方で、パレオダイエットをした人は、心臓病に関連する脂肪であるトリグリセリド値がやや改善したという結果もあります。
パレオダイエットでは、加工食品の摂取を控えて野菜と果物を多く食べます。高カロリーの食べ物の消費量が減るとカロリー摂取量が減るため、体重が減ります。また、パレオダイエットは簡単で、カロリー計算の必要はありません。面倒くさくないので、パレオダイエットが成功する確率は高いです。
旧石器時代の食生活について正確な記録はなく、パレオダイエットの効果のほとんどは研究結果からの推測に基づいています。このため、健康効果には科学的証拠が欠けています。
また、パレオダイエットでは大量の肉を食べるため、一般的に推奨されている肉の摂取量を超えたり、選んだ肉の種類によっては必要以上にお金がかかってしまう可能性があります。また、パレオダイエットでは乳製品や穀物類などが食べられないため、摂取する栄養に偏りが出ることも考えられます。加えて、パレオダイエットは食材に多様性がないので、すぐに飽きてやめてしまうこともあり得ます。
パレオダイエットでは、乳製品や穀物類など、健康を維持するために欠かせない食品を摂らないため、サプリメントなどの代替食品を摂取しないと栄養不足になる可能性があります。ただ、パレオダイエットにはメリットもあります。もし実施するなら、穀物類や乳製品、豆類などを禁止しない方法で取り組むのがおすすめです。
パレオダイエットでは、肉や魚、野菜や果物を中心とした食生活をするので、食事のカロリーを抑えることができます。その反面、乳製品や大豆加工製品を食べないため、栄養バランスが崩れてしまう可能性があります。もしパレオダイエットを行う場合は、不足しやすい栄養素をサプリメントなどで補いましょう。