陰部のしこりは外陰癌(がん)?早期発見のために注意すべき症状とは

2017/3/16 記事改定日: 2018/2/9

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東大医学部卒、医学博士

三上 貴浩 先生

デリケートゾーン(陰部)の痛みや痒い、ほとんどの女性ならば一度は経験したことがあるのではないでしょうか? しかし、その痛みやかゆみが長期間続くようであれば、頻度としては稀ではあるのですが、外陰癌(がん)の可能性も考えられます。今回は、女性特有のがんである外陰癌について紹介します。

外陰部癌とは?

外陰がんは、女性の外陰部にできるがんであり、女性特有のがんのなかでは比較的まれです。
セックスに苦痛を伴い困難になるなど性機能に影響を与えることがあるため非常に深刻ながんですが、早期に発見された場合は治癒率が高いといわれています。一方で、進行してから発見された場合や悪性度が高い場合は徐々に治療が難しくなります。

外陰癌の症状は?

白斑や小豆大程度のしこりが主症状

外陰癌になると、皮膚の色が白くなる白斑や色素沈着、外陰部にできる腫瘤、掻痒(そうよう:かゆみのこと)、熱感、出血などの症状が現れます。外陰癌を患った人の大半が、小豆大からビー玉大のしこりに気づいて受診する人が多いといわれています。ただし、腫瘤やしこりの大きさには個人差があるため注意が必要です。
また、前癌病変として外陰部に白色や赤色、茶色などの斑点ができることもあります。

どの部位に癌病変ができやすいの?

病変は、大陰唇や小陰唇、クリトリス(陰核)など、外陰部のどの部位にもできる可能性があります。病変がどの部位にどのくらいの範囲まで広がっているかによって、治療方針が変わってきます。

こんな症状が現れたら皮膚科か婦人科へ

以下のような症状がみられたら、皮膚科か婦人科の医師に相談してください。

・外陰部のかゆみ
・外陰部の傷や痛み
・外陰部に塊や腫瘤がみられる
・性交時痛
・外陰部からの不正出血
・外陰部の母斑やほくろの大きさ、色、質感に変化がみられる
・性器周辺の灼熱感が続く

腟炎やナプキンかぶれなどと勘違いされやすいので注意

外陰癌は、赤みやかゆみの症状が現れるため、カンジダ腟炎を代表とする腟炎やナプキンやおりものシート、下着のかぶれと勘違いされてしまい、発見が遅れることがあるので注意が必要です。
もちろん、できものができたりかゆみがあるもの全てが外陰癌というわけではありませんが、外陰部に異変がある場合は軽視せず必ず病院を受診しましょう。

外陰癌の原因は?

閉経後の65歳以上75歳未満の閉経後の女性によくみられますが、40歳以下の女性でもみられることがあります。
外陰癌の発症には、ヒトパピローマウイルス(HPV)が関係している可能性があるとされ、特に若い女性の外陰癌はHPVが関係している可能性が高いと考えられています。なおHPVは、女性の子宮頸癌の原因としてもよく知られています。

性関係(セックスなど)が原因になることもある?

外陰癌の原因であるHPVは、性的接触(オーラルセックスやアナルセックスを含む)によって感染する可能性があります。ただし、感染しても発症するまでは数年以上かかることが大半であり、感染しても必ず発症するわけではありません。
ただし、HPV感染が危険因子であることは確かのため、セックスのときには十分注意する必要があるでしょう。HPV感染はコンドームの使用である程度感染が防げるといわれています。

外陰癌の診断、検査は?

医師による視診や触診のあと、外陰癌が疑われる皮膚の一部を切りとって顕微鏡検査で組織を調べる生検が行われ、CTやMRIといった画像検査もあわせて行われます。画像検査では、目で見えない体内にがんが広がっているか、リンパ節などに転移していないか、といったことを調べます。

また進行度や組織型も含めた最終的な外陰癌の診断は、手術で切除した組織を病理検査で調べることで、決定します。

外陰がんの治療法は?

外陰がんの治療は、原則的に手術で切除しますが、がんの大きさ、深さ、広がりによって切除する範囲や、手術に追加する治療が異なります。

早期の場合は、手術のみで高い確率で治癒します。ステージ(病期)が進行するにつれて、リンパ節の郭清や周辺部を後半に切除するといった形で治療が追加されます。また放射線療法、化学療法が組み合わせて治療されることがあります。

外陰癌の手術(進行度によって切除する範囲が異なります)

・局所切除
・外陰部分切除
・広汎外陰切除
・骨盤内臓摘出術
・鼠径リンパ節郭清

早期の外陰癌の場合は局所切除のみですが、進行するにつれて鼠径リンパ節郭清が追加されたり、外陰部分切除、広範外陰切除と切除範囲が広がります。

おわりに:早期に発見されれば治癒率は高い。兆候がみられたときはすぐに病院へ

外陰癌の手術では、陰部の一部を切除するため、身体の他の部位から皮膚などの組織を移植したり、人工的な外陰や腟形成を行うための形成外科手術や人工肛門、人工尿路などのストーマをつくらなければならない場合もあります。

しかし外陰癌が早期に発見され、早期に治療が開始された場合の治癒率は90%以上といわれています。
もし外陰部に、痒みや痛みが長く続いている、出血している、腫瘤ができているなどの症状がみられたら、すぐに医療機関を受診してください。

もし外陰癌が強く疑われたり、外陰癌と診断を受けた場合も落ち込みすぎずに、医師と一緒に治療をしてください。


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