ダイエットで一番の強敵、ストレスによる食べ過ぎを防ぐ方法は?

2017/8/1 記事改定日: 2018/3/5
記事改定回数:2回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

仕事や家庭でストレスになることが続くと、つい食べ物に手が伸びて止まらなくなってしまう・・・。こうした経験は、誰でも一度はしたことがあるのではないでしょうか。
ところで、どうしてストレスがかさむと食べ過ぎてしまうのでしょうか。また、どうすればストレスによる過食を抑えることができるのでしょうか。

なぜストレスが肥満の原因になるのはどうして?

アメリカのある研究者らが、ラットを使用した研究でストレスが過食につながるメカニズムを明らかにしました。 ウエブサイトに掲載されたこの発見は、なぜストレスが肥満の原因になるのかについての重要な考え方をあらわしています。

通常、脳内では、食欲を制御するシグナルを送るエンドカンナビノイドと呼ばれる神経伝達物質(脳内で細胞への情報を伝達する化学物質)が作られています。食べ物がないと、一時的に脳内でストレス反応が生じ、エンドカンナビノイドの働きを阻害します。その結果、食欲をコントロールできなくなって食べすぎてしまう可能性があります。

また、この研究では、脳内のストレスホルモンの影響をさえぎると、食べ物がなくても神経回路が変化しないことも明らかにしました。

研究者は、特に視床下部と呼ばれる脳領域の神経細胞(ニューロン)を観察しました。この領域は、食欲をコントロールする上で重要な役割を担うことで知られており、ストレスに対する脳の反応に関係している領域です。例えば視床下部腹内側核は満腹中枢、外側野は摂食中枢として知られています。

この実験結果から、食べすぎは必ずしも栄養不足が原因ではなく、食べ物不足によるストレスが原因であることが分かったのです。

この研究結果は、ラットと同様の変化が人間の脳に生じた場合を考えたときのことを考える上で重要なデータとなります。たとえば、ダイエットで食事を抜くと、脳は食欲を増加させます。これは、「食べ物がない」という意識がストレス反応を活性化させるために起こるのです。

ストレスからの食欲増加、どうすれば抑えられる?

ストレスにさらされているとき、食べ物を口にしてほっと一息つく人はたくさんいます。また、泣いている子供が食べ物に手を伸ばすのは、慰めを求めるときの自然な反応であると言う人もいます。

ただ、ストレスを感じるたびに食べてしまうと、体重増加につながってしまいます。どうすれば、この悪循環を断ち切ることができるのでしょうか。

事実を認めること

最初の大きな一歩は、ストレスで過食していることを認めることです。現在のストレスの多い状況に気づき、これから対応しようとしていることを認識できると、その後は正しい方向に進むことになります。

ストレスの原因を突き止める

まず、ストレスの原因を特定することが大切です。仕事や人間関係、家族、預貯金など、ストレスの原因はさまざまあると思います。

ストレスの原因を特定したら、ストレスの原因と向き合いましょう。1人で抱え込むとかえってストレスが強くなってしまいそうだと思ったら、心療内科やカウンセリングなどを活用するのもおすすめです。

リラックスする

自分がリラックスできるものを見つけましょう。散歩やアロマテラピー、瞑想、マッサージなど、「これならリラックスできる!」と思うものはいろいろあると思います。自分にとってのリラックス法が見つかったら、それを日常生活の中に組み込みましょう。

どうすればストレスによる過食を防げる?

それでは、どうすればストレスによる過食を防ぐことができるのでしょうか。以下に過食を防ぐヒントをご紹介します。

落ち着いた環境を作る

自宅の室内を落ち着いた環境にしましょう。たとえば穏やかな音楽をかけたり、ソファに横たわる時間や、お風呂でゆっくり過ごす時間を作りましょう。もし小さなお子さんがいるようでしたら、1~2時間くらい子供を預かってもらうのもよいと思います。

運動などで心拍数を上げる

定期的な運動をすると、血糖値をコントロールして食欲を抑えやすくなります。ポテトチップに手を伸びそうになったら、運動靴を履いて外を散歩したり、軽く走ったりしてみましょう。

ときには我慢せずに食べる

ずっと我慢し続けてしまうと、かえって反動で食べ過ぎてしまいがちです。毎日食べてはいけませんが、3週間に1度くらいであれば、食べたいものを食べても問題ありません。ゆっくりと味わいながら食べましょう。

空腹感が続かないよう、カロリー控えめの間食を準備する

お腹が空ききっているのに何も食べずにいると、その後の食事で食べ過ぎてしまう恐れがあります。自宅や職場に、健康的で栄養も豊富な間食(新鮮な果物、クラッカー、低脂肪ヨーグルト、ナッツなど)を用意しておきましょう。

終わったことに悩みすぎない

「あのときこうしていれば・・・」「あのときこう伝えていれば・・・」など、起きてしまったことについてくよくよ悩みすぎてしまった結果、かってストレスを強めてしまうことがあるかもしれません。

でも、終わってしまったことを悔やんでも、起きてしまった事実を変えることはできません。次に同じことを繰り返さないようにするにはどうすればいいかを考えるチャンス、とポジティブに切り替えていくことが大切です。

おわりに:ストレスは食べすぎの原因に。食べること以外のリラックス法を見つけて過食を防ごう

ストレスが強くなると、食欲を抑える神経伝達物質の働きが抑えられてしまうため、食べすぎの原因となります。ストレスによる過食を防ぐためには、食べること以外のリラックス法を見つけルことが大切です。また、万が一に備えて、低カロリーの食べ物やハーブティーも用意しておき、うっかりストレスで食べ過ぎてしまっても影響が小さくなるようにしましょう。

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