知っておこう!食中毒の原因菌と感染ルート

2017/7/25

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

暑い時期に特に注意が必要なのが、食中毒です。食中毒は外食だけでなく、家庭での調理時に発生し、感染することがあります。
原因菌や感染ルートを知り、食中毒を未然に防ぎましょう。

食中毒の原因は?

食中毒の原因は細菌、ウイルス、寄生虫などさまざまですが、最も多いとされる原因は細菌です。細菌は、調理時の加熱が不十分だったり、食品管理や保存が不衛生な環境で行われている際に食品に入り込む微生物で、「温かい温度」「高い湿度」「食品」「時間の経過」という条件が揃うと高速で繁殖する傾向にあります。

要注意!食中毒を引き起こす細菌の種類と特徴

細菌にはさまざまな種類がありますが、今回は主な食中毒の原因となる「カンピロバクター菌」「サルモネラ菌」「大腸菌」「黄色ブドウ球菌」「ウェルシュ菌」の5つの細菌についてご紹介します。

カンピロバクター菌

カンピロバクター菌は、加熱不十分な生肉や未処理の水、低温殺菌されていない牛乳、動物の糞に含まれていることがあります。カンピロバクター菌に感染すると、腹痛や下痢(血便の場合もあります)、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が表れます。

感染を予防するには、食品を十分に加熱し、低温殺菌されていない牛乳は飲まないようにしましょう。また、動物の糞に触れるのを避け、万が一触れてしまった場合は入念に手を洗ってください。その他、生肉を扱う際は手と調理器具を十分洗浄する必要があります。

万一感染してしまったとしても、2~5日程度で自然に回復するケースがほとんどで、カンピロバクター菌の感染によって死亡する人はごく僅かです。ただし、症状が深刻な場合は抗生物質による治療が必要になることもあります。もし下痢などの症状が現れた場合は、水分補給をこまめに行ってください。

サルモネラ菌

サルモネラ菌は冷蔵庫内でも生存し続ける非常に強力な食中毒菌で、さまざまな食品(卵、生肉、魚介類、生野菜や果物、低温殺菌されていない酪農製品)や動物の糞から検出されることがあります。特に注意したいのが生肉です。生肉を載せたまな板の上に他の食品を載せると、菌が拡大してしまいます。

感染すると腸内で繁殖し、食後約72時間以内に、頭痛、発熱、下痢、腹痛といった症状が現れます。こまめに水分補給をしていれば4~7日以内に自然に治癒することがほとんどですが、下痢の症状が深刻な場合は、点滴が必要になるケースがあります。なお、小さな子供や高齢者など免疫力が低下している人が感染した場合、死に至ることもあります。

サルモネラ菌の感染を予防する基本的な方法は、食品をしっかり加熱し、手を洗うことです。また、野菜や果物もしっかり洗い、清潔な調理器具を使うようにしてください。生野菜や生肉を載せたまな板は、他の食品を載せる前に洗剤で洗浄しましょう。

大腸菌

大腸菌は、生肉や加熱が不十分な肉類(特に牛肉系)、低温殺菌されていない牛乳、生野菜や果物などに含まれることがあります。大腸菌に感染すると、嘔吐や水下痢、血便、腹痛、吐き気といった症状が現れます。

感染を予防するには、肉はしっかり加熱調理し、野菜や果実は食べる前に入念に洗うことが大切です。また、水道水が安全でない国へ旅行する人は、ペットボトル飲料を飲むようにし、その国の川や海で泳がないようにしてください。

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌とは、人の皮膚、傷口、鼻腔などに存在する食中毒菌の一種です。黄色ブドウ球菌は鼻水や洗われていない手などを通じて食品を汚染するため、肉(調理済み、加熱不十分のもの両方)や、すぐに調理されなかった食品などさまざまな食べ物に含まれている可能性があります。黄色ブドウ球菌は、特にカスタードやマヨネーズなどの酪農製品や、室温で放置されている食品で繁殖しやすい傾向にあります。

ウェルシュ菌

ウェルシュ菌は動物の糞や生肉、下水などから検出されることのある食中毒菌です。食品の調理スピードが遅かったり、部分的に再加熱されたりすると、高速で繁殖する傾向にあります。ウェルシュ菌は体内に侵入すると腸内で毒素を生産・分泌し、下痢や腹痛といった症状を引き起こします。もし感染してしまった場合には、十分な水分補給をし、消化にいい食事を心がけてください。下痢が酷い場合は、病院を受診しましょう。

おわりに:調理工程の見直しを

食中毒の原因菌にはさまざまな種類があり、それぞれの菌によって症状や注意すべき食品は少しずつ変わってきます。今回ご紹介した菌はいずれも一般的な食中毒の原因菌なので、調理したり、まな板を使ったりするときは、いま一度注意を払ってみてください。

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