特定のものが怖い「恐怖症」、病院に行った方がいいのはどんなとき?

2017/2/23 記事改定日: 2019/9/2
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

恐怖症とは、特定のある一つのものに対して心理学的、生理学的に異常な恐怖を感じる症状です。小児期、思春期または初期の成人期に発症することが多いといわれています。
今回は恐怖症で特定のものが怖くなる原因と、恐怖症の症状、病院へ行った方がいい恐怖症の特徴について解説していきます。

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恐怖症で特定のものが怖くなるのはどうして?

特定の何かが怖くなるといった「単純な恐怖症」の発症には、以下のような「幼少期の経験」が関係していることが多いといわれています。

閉所恐怖症
子供のときに狭い場所に閉じ込められたことで、閉鎖空間に恐怖を抱くようになる
高所恐怖症
高いところが怖かったという体験をしたことから、高いところにいくとひどい恐怖心を抱くようになる
クモ恐怖症
家族のだれかがクモが怖いと「クモ恐怖症(Arachnophobia)」だと、同じようにクモに恐怖を抱くことがある

ただし、「広場恐怖」や「社会恐怖」のように、特定のものではなく環境や状況といった複雑なものがトリガーになる恐怖症については、発症の原因がわかっていません
ただ、遺伝や脳内化学物質、過去の体験のすべてが関係していると考えられています。

恐怖症の症状は?

恐怖の対象に出会うと、人の体は神経節や脳神経系における神経伝達物質でもあるアドレナリンを放出することで、恐怖に反応するために以下のような症状を起こします。

  • 発汗
  • ふるえ
  • 息切れ
  • 頻脈(ひんみゃく)
  • 頭痛
  • 腹痛
  • めまい
  • 吐き気
  • しびれ
  • 失神

恐怖症の症状には個人差があり、軽いものであれば足が軽くすくんだり、びっくりする程度ですむこともあります。

ただ、広場恐怖では逃げるに逃げられないような場所や状況でパニック発作を起こすことがあり、社会恐怖では恥ずかしい思いをすることの恐怖のため社会的状況を避けたり、強迫性障害や外傷後ストレス障害、分離不安障害に発展することも珍しくありません。

どんなときに病院に相談した方がいい?

特定のものや環境、状況が怖いというのは大なり小なり誰にでもあるものです。

しかし、次のような症状や状態を伴う場合は病的な恐怖症の可能性が考えられます。放っておくと日常生活に支障を来たし、引きこもり状態となったり、うつ病などの精神疾患を引き起こすこともあるので、できるだけ早く病院に相談しましょう。

  • 恐怖の対象に関して考えただけで動悸やめまい、吐き気などが生じる
  • 恐怖の対象となる事象に遭遇すると、激しい動機や発汗などが生じ、正常な行動がとれなくなる
  • 恐怖の対象を避けようとするあまり日常生活や社会生活が困難になる

おわりに:日常生活に支障が出るほど「恐怖」するなら、専門医に相談を

恐怖自体は誰にでもある感情であり、生命活動のためには必要なものです。
ただ、普段の生活や仕事や学校で困るような状況に陥っているなら、深刻な恐怖症として治療を受けたほうがいいでしょう。

  • 特定の状況で、ひどいふるえやめまい、吐き気など、何らかの症状が出る
  • 特定の状況でパニックを起こす
  • 恐怖の対象や恐怖症の症状を避けたいがために外出ができなくなる

などがある人は、早めに専門医に相談しましょう。

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