記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
めまいや痛みなど、病気と呼べるほどじゃないけれど、不快な症状が続くことがあります。体を動かせば治ることもあれば、何をやってもずっと続くことも。こうした症状が何週間も続いたら、一度医師の診察を受けたほうがよいかもしれません。
医学的に説明がつかない、原因不明の症状を抱える人の中には、うつ病や不安障害を抱えている人もいます。このような方の場合、精神面の治療が進めば体に現れている症状も和らぐことが多いです。
しかし、精神的な症状を持っているわけでもないのに原因不明の症状がある場合は、以下のような病気である可能性があります。
・慢性疲労症候群(CFS、もしくはME)
・過敏性腸症候群(IBS)
・線維筋痛(全身の痛み)
もっとも、上記の症状はようやく理解が進んできたもののため、医師がこれらの症状の原因を特定し、治療を始めるまでに時間がかかることがあります。
医師は症状を引き起こす原因になりそうなものをすべて改善するべく、徹底的に検査(身体検査と血液検査)を行います。また、服用している薬が症状の原因となっているかを判断することも欠かせません。鎮痛剤を長期間服用すると、痛みを伴う頭痛につながることがあるためです。
そして、うつ病や不安障害といった精神的な問題を抱えていないかどうかも確認します。場合によっては、身体的な症状がうつ病や不安障害の引き金となり、身体的な症状をさらに悪化させる可能性があるためです。
原因不明の症状があるときは、医師に以下のことを伝えてください。
・症状の説明(どんな症状か、いつからその症状が出ているか)
・症状が治まったり、ひどくなったりすることはあるか
・症状があるためにできなくなったこと
・症状によってどんな気分になるか
・症状の原因になりそうな不安や悩みはあるか
・検査と治療に対する期待
医師は患者に、定期的な運動やリラックス方法など、日常生活の中で取り組めるような、症状の緩和につながることを提案し、目標を設定するかもしれません。また、認知行動療法(CBT)のようなトークセラピーを紹介されるかもしれません。CBTは、症状と不安、感情、対処法とのつながりを理解することで、自分の症状を把握しやすくすることです。
抗うつ薬などの薬物療法はうつ病でなくても役立ちますが、薬物依存症につながる恐れがあるため、必ずしもそれが正しいというわけではありません。薬を使うことのメリットと、潜在的な副作用があることを考慮して決めることが大切です。また、もし医師が見落としている症状があると思うときは、セカンドオピニオンを得るのもよいと思います。
原因不明の症状を改善するために、定期的な運動やストレス管理に取り組むことが大切です。
定期的な運動は体調管理に役立つだけでなく、体を動かすことで気分がよくなるというメリットもあります。どのくらいの運動を行えばよいかは現時点での健康状態と体力によります。
また、ストレスの管理は、痛みや過敏性腸症候群(IBS)などの症状と関連しているため、とても重要です。このような場合、プライベートの時間でリラックスできるようなことを取り入れることが症状の改善につながります。ヨガや水泳、ランニング、瞑想、山や高原などでのウォーキングなど、どんなことでも大丈夫です。
体には自己回復力があるので、あえて特別な治療をしなくても徐々に症状が改善する可能性はあります。ただ、めまいや痛みがずっと続くのはつらいもの。体を動かしたり、リラックスする時間を作っても症状が改善しないときは、医師の診察を受けてみてください。