記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/1
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
なんとなく胃が重い、空腹時に胃がシクシクする、胃の痛みや胸やけは誰もが経験します。だからといって、軽く見ていると、胃癌が進行しているかもしれません。
この記事では、見過ごされがちな胃癌の症状について解説します。
胃癌は、胃にできる悪性腫瘍のことです。
胃癌のほとんどの(85%)症例は腺癌と言われるタイプの癌です。腺癌とは、元々何かの分泌物を産生する腺細胞由来の癌細胞です。肺癌、乳癌、大腸癌、膵癌、子宮頸癌などに腺癌が多く、これらの臓器は分泌物を多く産生する事からも理解できると思います。胃も同様に胃酸などの分泌物を多く出す臓器であり、腺癌が多いとされています。
胃癌の症例の約40%が幽門と呼ばれる胃の下部に発生します。胃体と呼ばれる中間部にできる頻度は40%、上部の噴門と呼ばれる部分の発症率は15%とされています。
悪性腫瘍は良性腫瘍と異なり、腫瘍が周りに浸潤(周りの組織に食い入っていくこと)したり、遠くの臓器に転移(血液やリンパ管を通して悪性細胞が散らばること)します。胃癌は周囲の食道や小腸など周囲に浸潤したり、肺、肝臓、膵臓、および結腸やリンパ節、骨に転移することもあります。
アメリカ国立癌研究所(NCI)によると、世界中で約760,000例の胃癌が診断されているといわれています。男性は女性よりも胃癌になる可能性が高いとされ、発生率は、日本、南米、東ヨーロッパ、中東地域が最も高いという調査結果があります。
胃癌は、早期に発見されない限り、治癒が困難であるとされています。
残念なことに、早期の胃癌はほとんど症状を引き起こさないため、診断が行われるときには、癌が進行していることが多いのです。しかし、進行癌であっても、胃癌は治療が可能であり、症状が軽減させることが可能です。ですから早期発見のために胃カメラ(上部消化管内視鏡)が健康診断で推奨されています。
胃癌の初期段階では、次のような症状がみられます。
・消化不良および胃の不快感
・食べた後の胃が重たくなった気分
・軽度の吐き気
・食欲減少
・胸焼け
上記の症状より進んだ段階では、次のような症状が見られます。
・嘔吐
・体重減少
・胃の痛み
先ほども書いていますが、早期の胃癌は通常、症状が現れません。胃癌の場合は、症状が現れたら、癌が進行していることを表します。
胃に大きな腫瘍ができることで周囲の神経に圧迫され、時には重度の背中や腹部の痛みを引き起こすことがあります。
今まで見てきたように、胃癌の初期症状ははっきりしないことが多いです。
胃の不快感が持続するのであればもちろんのこと、定期的に病院で胃カメラを受けることも早期発見には大切です。