記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/10 記事改定日: 2019/7/2
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腟カンジダ症は膣がかゆくなったり赤くなったりと不快な症状が現れますが、恥ずかしさから他人に相談できない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、代表的な症状・原因・治療法など、腟カンジダの情報を詳しくお伝えします。
カンジタとは真菌とよばれるいわゆるカビの一種です。
腟カンジダ症はカンジタが女性の膣や外陰部に炎症を起こした状態で、多量の分泌物や激しいかゆみを引き起こします。
腟カンジダ症の代表的な症状は以下の通りです。
はっきりした原因はわかっていませんが、腟内の菌のバランスが崩れたときに腟カンジダ症になる傾向性が高いということがわかっています。
通常の女性の腟にはカンジダを含む真菌と各種の細菌が定着し、ある種のバランスの取れた状態で存在していますが、以下のような要因をきっかけにそのバランスが崩れてカンジタが増殖することによって腟カンジダ症を発症すると考えられています。
尚、腟カンジダ症は性感染症の一つとして挙げられることもありますが、カンジダ菌は人間が持っている常在菌なので、性行為によって菌が感染するよりも自己感染による発症がほとんどです。
ほとんどの場合、腟カンジダは抗真菌剤で治療します。
抗真菌剤には「腟内に挿入する腟錠」と「外陰部に塗る塗り薬」の2種類があり、症状が出ている部位や程度に合わせてどちらかあるいは両方が処方されます。
病状や医師の判断によって異なりますが、治療期間はおおよそ6日間が目安です。
ただし、治しきらないと再発することが多い病気なので、症状が改善してきても医師に指示された日数は薬剤の服用や塗布を続けましょう。
過去に病院で腟カンジダ症の治療を受けたことがあり、原因がわかっている場合は市販薬を選んでもかまいません。
ただし、過去に一度も診断を受けていない場合は、必ず病院で診断を受けて治療薬を処方してもらうようにしてください。
腟カンジダの治療中に避けたほうが良い行為をまとめました。
ビデが薬を腟から洗い流してしまい、効果が弱まる可能性があるためです。同じ理由でタンポンの使用も極力避けてください。
いくつかの殺精子剤には治療薬の効果を下げてしまう可能性があります。
カンジダ菌がパートナーに感染する可能性があるので、治りきるまで性交渉はしないようにしましょう。
タオルを介してカンジダ菌が家族に感染する恐れがあるので、タオルは別のものを使うようにしましょう。
患部をかいてしまうことで、刺激がひどくなったり感染がさらに広がってしまう可能性があります。
外陰部を石けんなどで洗うと、その刺激によって炎症がひどくなることがあります。
入浴時はシャワーで軽く洗い流す程度にしましょう。
基本的に、腟カンジダ症が自然に治ることはありません。
むしろ、放置すると〈痒みが強くなり→ひっかいて外陰炎を起こし→赤くただれて痛みが酷くなる〉という風に症状が悪化することが多いです。
また、カンジダ菌が子宮の奥まで浸出してしまうと不妊の原因になる可能性があるといわれています。
カンジダ症になったら早めに病院に行って治療を始めるようにしましょう。
結論からいうと、性行為で移ったカンジダ菌の繁殖によって起こった腟カンジダは性感染症の一種という位置づけになることが多いです。
ですが、カンジダ菌自体はヒトの体の中に常に存在している菌なので、腟カンジダ症がすべて性感染症というわけではありません(※腟カンジダは性交渉の経験が無い女性も発祥することがあります)。
ただし、パートナーにカンジダ菌を感染させてしまう可能性があるため、完治するまで性交渉は控えるようにしましょう。
腟カンジダは女性がかかりやすい病気ですが、適切に治療すれば比較的早く治すことができます。
疑わしい症状があらわれていたら、自己判断で市販薬を使う前にまずは病院で診てもらいましょう。
また、再発を防ぐために、処方された治療薬は途中で使用をやめずに最後まで服用・使用を続けるようにしてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。