なぜ薬物はやめられないのか? 危険薬物が脳にあたえる影響

2017/3/9

薬物依存症になってしまった人の多くが、もう二度と手を出さないという誓いをたてます。
しかし、二度と手を出さないと誓うものの、その多くは再び薬物に手を出してしまいます。
なぜ薬物はやめられないのか?
危険薬物は、脳の機能を大きく破壊します。脳の機能を破壊するということは、正常な判断や思考を奪うということです。人間を廃人にしてしまうということです。
ここでは、薬物と脳の関係の研究に関する権威、マーティー・バーンズとデイビッド・ナットの「危険薬物による脳への影響」に関する研究の結果について紹介します。

脳が破壊される? 危険薬物の脳への影響

世間を賑わせている危険ドラッグの成分は、覚せい剤と変わりません。法の規制がないぶん、覚せい剤以上に危険ともいえます。
危険薬物が脳の中に入ると、快楽物質である脳内麻薬を分泌し、理性を司る大脳新皮質を正常に働かなくなるようにします。
理性が働かなくなるということは、車でいえば、ブレーキが効かなくなるようなもの。人間の脳を制御不能にすることで廃人にしてしまうのです。脳細胞はたった一度でもダメージを受けると二度と元に戻りません。ここでは、代表的な危険薬物とその害を挙げていきます。

アシッドとマジックマッシュルーム

アシッドとマジックマッシュルームは幻覚を起こさせ、身の回りの世界を現実とは違う奇妙な物に変えます。色彩が濃くなり、音が歪んで聞こえます。

パニック状態、幻覚やフラッシュバックを経験する人もいます。

大麻(マリファナ)

大麻を吸引するとリラックスして気分も高揚しますが、記憶障害やパニックを起こす可能性があります。

定期的な使用で、混乱や妄想が発生し、精神病、統合失調症、うつ病といった精神的な問題を引き起こす可能性があります。精神病の遺伝がある場合、特に精神的な影響を受けやすくなります。

コカインとクラック

コカインは、気分を高揚させ、自信や活力に満ちているように感じさせますが、効果が切れると不安感、倦怠感、パニックに変わり、最終的には鬱(うつ)になります。

コカインとクラックをやめることは、他の薬物と比べても、激しい苦痛を伴うため、非常に困難です。

エクスタシー

エクスタシーは幻覚作用を伴う覚醒剤で、リラックスした気分にさせ、愛情を感じさせ、ずっと踊っていたくなるなどの症状があります。しかし、長期の使用で、睡眠障害、倦怠感、劇的な体重減少、うつにつながり、エクスタシーがくれる幸福感と心の落ち着きに依存するようになります。

研究では、エクスタシーの摂取でセロトニンのレベルが低下し、脳の特定の領域に悪影響をあたえることがわかっています。

ヘロイン

ヘロインは身体の機能を低下させ、身体的および精神的に快楽・幸福感をあたえます。使用者は、同じ効果を得るために、摂取量をどんどん増やし、依存症へと至ります。禁断症状は非常に強く、薬なしで生きるのは困難となります。

過剰摂取で、昏睡状態、死に至ることがあります。

ケタミン

ケタミンは、リラックスさせ、気分を高揚させる麻酔薬ですが、行動への悪影響は予測困難で、ぼんやりと歩いて事故に遭ったり、冬に屋外で眠り凍傷で死亡することもあります。

孤独を感じさせる効果もあり、精神的に問題を抱えている場合、悪化させる可能性があります。 耐性ができるのが非常に早く、大量の量を摂取するようになります。長期的な使用の影響としては、フラッシュバックや記憶力と集中力の低下があります。

シンナー

シンナーは酔っ払った感じになり、幻覚が起こります。

短期的な使用でも悪影響がありますが、特に、長期的に使用すると、感情のコントロールや、客観的に物事を考えること、物事を覚えることが難しくなります。

スピードとクリスタル

スピードやクリスタルを摂取すると、すぐに元気になり、自信がみなぎるように感じますが、パニック障害、おこりっぽくなる、監視されているという妄想が起きることもあります。

短期的な使用でも悪影響がありますが、特に、長期の使用で、激しい失望、絶望と悲しみに襲われ、客観的な思考、記憶が困難になります。

ステロイド

ステロイドは筋肉量を増やしますが、「攻撃性」が引き起こされ、暴力を振るったり、性的虐待を起こします。また、睡眠障害、混乱、うつを起こすこともあります。依存性も強く、薬物なしでは、やっていけないと思うようになります。

精神安定剤・睡眠薬

精神安定剤・睡眠薬は鎮静作用のある薬物で、不安を和らげ、眠気を起こします。

コカインやスピードなどの薬物をやめようとして、その際に出る禁断症状を抑えるために使う人もいます。強い効果を求め、大量摂取を続けた場合、数週間で依存症になります。

おわりに:危険薬物が脳にあたえる影響は?

危険薬物を使う人は特殊な一部の人だけでしょうか?  もちろん、そうではなく、その大半は、ごく普通の学生や社会人、あるいは主婦・主夫です。危険薬物の脅威は、社会に蔓延しています。
危険薬物は脳に悪影響を及ぼすだけでなく、手足のしびれ、筋力の低下、頭痛、吐き気、不整脈など…肉体のさまざまな部分にも悪影響をあたえ、正常な機能を奪っていきます。

そして、最後には依存症となり、廃人となってしまう危険があります。

それをわかっているのに、なぜ危険薬物に手を出すのか? 人体に有害なものと知りつつ、なぜ手を出してしまうのか?

ちょっとした油断や気の緩み、ふとした時の心の隙間、「自分だけは大丈夫」の過信。誰にでもあてはまる動機から、薬物をはじめます。薬物は決して他人事ではありません。自分の生活と隣り合わせにあるものです。

自分自身を守るため、家族、大切な人、友人を守るため、絶対に手を出してはいけないもの。それが、危険薬物です。
「友達付き合いで断りづらくて…」薬物をすすめる友達は友達ではありません。

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