肺炎は予防できるの? ~ ワクチンでの肺炎予防の可能性

2017/8/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

悪化したら命の危険を伴う肺炎ですが、予防策はないのでしょうか? 肺に菌などが入り込み、感染する肺炎。予防するためには、どうしたらよいのでしょうか? この記事では、肺炎の予防に効くワクチンについてまとめてみました。

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肺炎を予防するワクチンとは?

肺炎の原因のひとつ「肺炎球菌」から身を守るためのワクチンが存在します。注意すべきこととして、ワクチンは肺炎球菌による肺炎のリスクを必ずしも減らす訳ではありません。つまり肺炎にならなくなるという訳ではありません。ですが、肺炎が重症化して全身に波及する(侵襲性肺炎球菌感染症)リスクを減らすとされています。

ワクチンは65歳以上の人や、肺炎の罹患リスクが高い人が推奨されています。加えて、年に1回のインフルエンザワクチンは、インフルエンザのリスクと二次的な肺炎のリスクを下げる効果があるといわれています。

インフルエンザワクチンは肺炎を予防する?

インフルエンザワクチンは、インフルエンザの合併症で起こる肺炎を予防することにも役立ちます。
毎年、インフルエンザに関連する肺炎で病院を受診する人は少なくありません。インフルエンザワクチンを接種して、インフルエンザと肺炎のどちらも防ぐようにしましょう。

インフルエンザワクチンの肺炎予防の研究

上記で説明したように、インフルエンザワクチンを打つとインフルエンザだけでなく、インフルエンザ関連の肺炎も防ぐことができる可能性があります。
ある研究者は、「インフルエンザ性肺炎で入院した人のうち約57%はインフルエンザワクチンで肺炎を防ぐことができた」といっています。
ある研究で、2010年1月から2012年6月にかけて、約2800人の患者のデータを集めたところ、患者の約6%はインフルエンザ関連の肺炎を患っていました。その一方、他の患者はインフルエンザ由来ではない肺炎で入院していたそうです。

「その患者たちのインフルエンザワクチンの使用歴を比べてみたところ、インフルエンザワクチンは、インフルエンザ性肺炎の入院リスクを下げていることがわかった」と、彼はいっています。

また、インフルエンザの大流行のときの、入院と死亡の主要な原因は、インフルエンザではなく、合併症の肺炎だったといいます。

インフルエンザワクチンの研究結果

原因と結果の関連性を証明するため、研究者たちは1つのグループにインフルエンザワクチンを接種し、もう1つのグループには接種しませんでした。その結果、インフルエンザワクチンを摂取したグループは、肺炎の入院率を下げました。

「決定的証拠にはならないが、この研究はインフルエンザのワクチン接種で肺炎のリスクを下げることができる可能性があることを示している」と研究者はいっています。

おわりに:インフルエンザと肺炎の予防にもなるワクチンをきちんと接種しましょう

今まで見てきたように、インフルエンザワクチンは、インフルエンザの合併症の肺炎を予防する可能性が高いです。肺炎のリスクを回避するためにも、インフルエンザワクチンの接種を行うとよいでしょう。

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