肩こりと頭痛の関係性と手軽にできる対策について

2025/11/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

頭痛のなかには肩こりが原因のものがあり、肩こりの多くはセルフケアで緩和する可能性があります。この記事では、肩こりと関係のある頭痛についてと肩こり緩和に役立ち、手軽にできるセルフケア対策について解説していきます。

肩こりと関係がある頭痛について

肩こりによって起こる頭痛のひとつに、緊張型頭痛があります。緊張型頭痛は、首・肩周辺の筋肉や頭部の筋肉が緊張して硬くなることで起こる頭痛です。緊張型頭痛は痛みが持続することが多く、長いときには数日間続くこともあります。なお、感じ方には個人差がありますが、緊張型頭痛の痛みは日常生活に支障が出るほど強くないことが多く、以下のような特徴もあります。

  • 頭の両側・後頭部、または、頭全体に頭痛が起こる
  • 締め付けられるような痛みがある
  • 吐き気がすることはあるが、実際におう吐することはない
  • 軽いめまいが起こるときもある

手軽にできる肩こり対策

以下のような対策で肩こりや筋肉の緊張を緩めることは、緊張型頭痛の予防・緩和に役立つ可能性があります。ただし、対策を取っても緩和しない肩こり・頭痛がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

入浴・シャワーなどで温める

湯船につかって入浴したり、こっている・緊張している部位にシャワーで当てて温めたりすると、滞っていた血行が促されます。血流が改善されて凝り固まっていた筋肉に血液が巡るようになると、肩こりや筋肉の緊張がゆるみやすくなります。お湯が熱すぎてもよくないので、湯船のお湯は38~40℃くらい、シャワーは40~42℃くらいに設定しましょう。

マッサージする

マッサージで筋肉をほぐすと、肩こりや筋肉の緊張がゆるみやすくなり、血流も改善しやすくなります。ただし、マッサージの力が強すぎると、肩こりや筋肉の緊張が悪化する可能性があります。まずは軽めの力から試していきましょう。

市販薬・サプリメントを使う

湿布薬や鎮痛薬など、市販薬を使って肩こりや緊張、痛みをやわらげることも、肩こり対策に役立ちます。また、ビタミンB1・ビタミンB6・ビタミンB12などのビタミンB群のサプリメントも、肩こり解消に役立つ場合があります。ただし、長期間使用しても改善がみられない場合や悪化している場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

ストレッチをする

こまめにストレッチをすることは、肩こりや筋緊張の解消に役立つ場合があります。肩まわりのストレッチは複数あるので、やりやすいものから取り組みましょう。おすすめのストレッチの例として以下があります。

伸びのストレッチ

  • 両手を組み、手のひらを裏返しにして、そのまま両腕を上に挙げる
  • 息を吸いながら、背骨を伸ばすようなイメージで「伸び」をする
  • 息を吐きながら脱力する
  • 10回ほど繰り返す

肘を胸に寄せるストレッチ

  • 右前腕で左肘を胸の前で抱える(左肘が胸の中心にくるようにする)
  • 右前腕で抱えた左肘を胸に引き寄せる
  • 息を吐きながら、5秒キープする
  • 一旦脱力し、同じ動作を10回ほど繰り返す
  • 反対側も同様に行う

肩まわり・上腕のストレッチ

  • 肘を曲げた状態で左腕を上に挙げる
  • 後頭部の後ろ側に左肘が来るように、右手で左肘を中心に引き寄せる(左肩まわり・左上腕がストレッチされる)
  • 息を吐きながら、10秒キープする
  • 一旦脱力する
  • 10回ほど繰り返し、反対側も同様に行う

背中を丸めるストレッチ

  • 両手を組み、手のひらを裏返しにして、手のひらが前方に向くように両腕を挙げる
  • 息を吐きながら、手の平を前方に押し出すようにして背中を丸める
  • 一旦脱力する
  • 同じ動作を10回ほど繰り返す

手を背中側で組むストレッチ

  • 両手を背中側で組み、手のひらを合わせる(手のひらは裏返さない)
  • 両手を組んだ状態で両肘を伸ばし、肩甲骨を寄せ、両腕を上に挙げる(痛みが出ず、可能なところまで挙げる)
  • 息を吐きながら、10秒キープする
  • 同じ動作を10回ほど繰り返す

ストレスを解消する

緊張性頭痛は、身体的・精神的なストレスによって生じることが多く、ストレスは肩こりの原因にもなります。適度に運動する・趣味に没頭する・リラックスする時間を作るなどして、こまめにストレスを解消しましょう。

目の疲れ・眼精疲労の対策をする

肩こりは、目の疲れや眼精疲労で起こることもあります。スマートフォン・パソコンを見る時間を少なくしたり、蒸しタオルなどで目の周りを温めたりするなどして対策しましょう。セルフケアで解消しない目の疲れや眼精疲労があるときは、早めに眼科のある医療機関を受診しましょう。

おわりに:セルフケアで緩和しない肩こり・頭痛があるときは早めに医師に相談を

緊張型頭痛のように、肩こりと関係のある頭痛はあります。緊張型頭痛は肩こり対策で緩和することもありますが、肩こり・頭痛のなかには専門的な治療が必要なものもあります。慢性的なもの、繰り返し発症するもの、セルフケアで緩和しないもの、症状が悪化しているもののときは、早めに医療機関を受診しましょう。

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