咳がひどいときに処方されるフスコデ®︎ってどんな薬?

2019/10/15

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

眠れないほど咳がひどいようなとき、病院で咳止め薬を処方してもらった経験がある人は、多いのではないでしょうか。今回は、病院で処方される代表的な咳止め薬の一種「フスコデ®」について、その作用・副作用や特徴、使用上の注意点などをご紹介していきます。

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フスコデ®︎の特徴は?

フスコデ®は、以下3種類を主な有効成分とする咳止め薬です。

フスコデ®を構成する3つの有効成分
  • ジヒドロコデイン …脳の咳中枢に働きかけることで、咳を止める成分
  • メチルエフェドリン…気管支を拡張し、呼吸そのものを楽にする成分
  • クロルフェニラミン…痰の発生と、アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン成分

上記3つのうち、ジヒドロコデインを主成分とすることから、フスコデ®は、咳止め薬の中でも中枢性鎮咳薬(ちゅうすうせいちんがいやく)に分類されています。専門的に分類すると「麻薬系弱オピオイド」となり、ごくごく弱いながらも医療系麻薬の一種になります。

ジヒドロコデインは市販の咳止め薬に幅広く含有されていますが、特にフスコデ®は、一般的な咳止めが効かない頑固な咳にも効果を発揮するのが特徴です。

フスコデ®︎服用時の副作用は?

フスコデ®の服用で起こりうる一般的な副作用としては、以下が挙げられます。

比較的軽度で、発症頻度の高い副作用
  • 眠気、めまい、目のかすみ
  • 口内の乾燥、吐き気、食欲不振
  • 倦怠感
服用量が増えた場合に、起こりやすい副作用
  • 頭痛、頭が重い感じ
  • 動悸、ドキドキ感、不安感、手の震え
  • 痰が出にくくなる、便秘、排尿困難
  • 長期に大量に服用することによる、依存性

より重度な副作用としては、発生頻度はまれですが、発熱・口内炎・出血・のどの痛みなどを伴う、血液成分の異常が起こる可能性が報告されています。副作用と思われる症状が現れたら、重症化する前に医師・薬剤師に相談しましょう。

また人によっては、長期にわたって使用すると依存性が現れることもわかっているので、フスコデ®は必ず医師から指示された用法・用量を守って服用しましょう。

フスコデ®︎を服用するときの注意点は?

以下の条件に当てはまる人は、それぞれ重大なリスクを生じる可能性があります。

フスコデ®の服用にあたり、注意が必要な人
  • 呼吸機能に異常や障がいなどがあり、呼吸が弱っている人
  • 呼吸抑制の作用を受けやすい、12歳未満の小児
  • 緑内障、前立腺肥大、また排尿困難の持病がある人
  • その他高血圧症、甲状腺機能亢進症、腸の閉塞・通過障害のある人
  • 妊娠初期、または出産直前の妊婦、授乳中の女性

また、以下のような薬との飲み合わせによっては、フスコデ®の作用や副作用が増幅・減退される恐れがあります。フスコデ®との併用には注意が必要ですので、必ず事前に医師に相談してください。

フスコデ®との飲み合わせに、注意が必要な薬や飲食物

眠気やめまいの副作用を増幅される恐れのあるもの
  • 脳の神経を鎮める作用のある、一部の安定剤
  • アルコール類
動悸や不整脈の副作用を増幅させる恐れのあるもの
  • アドレナリン(ボスミン)、イソプロテレノール(イソメニールまたはプロ他ノール)などカテコールアミン製剤
  • テオフィリン(テオドール)、ステロイド薬、利尿薬
  • レポチロキシン(チラージン)
口の渇き、排尿困難、便秘の副作用を増幅させる恐れのあるもの
  • 三環系の一部抗うつ薬や安定剤、痙攣を抑える作用のある胃腸薬

フスコデ®の適切な使用方法は、患者の症状や年齢などによって変わります。使用にあたっては、持病や日常的に服用している薬・サプリメントなどについてきちんと医師に相談・報告したうえで、指示された用法・用量を守ってください。

おわりに:フスコデ®は、3つの有効成分から構成される効果的な咳止め薬です

脳の咳中枢への作用、気管支の拡張作用、抗ヒスタミン作用のすべてを持ったフスコデ®は、中枢性鎮咳薬に分類される咳止め薬です。咳止め薬としては比較的強力なもので、専門的にはごくごく弱い医療用麻薬として分類されています。特定の薬やアルコールとの飲み合わせ、一部の年齢・持病のある人や妊産婦への使用は要注意とされているので、医師からの説明をよく聞いて用法・用量を守ったうえで、適切に服用しましょう。

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