記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
熱中症で起こり得る代表的な症状の1つとして、頭痛が挙げられます。熱中症による頭痛がなぜ、どのように引き起こされるのか。今回は熱中症で頭痛症状が起こるメカニズムと、症状の予防法・対処法をまとめて解説します。
通常、人の体は内部に熱を感知すると体温調節機能が作動し、末梢血管を拡張して皮膚表面から汗を蒸発させることで体温を適温まで下げようとします。皮膚表面に噴出した汗が蒸発するときの気化熱で、体温を下げてくれるのです。
熱中症は、この体温調整機能が乱れて体の中から外へ熱を逃がせなくなり、体温が異常に上昇してしまうことで起こる症状です。あまりに暑い環境下で長く過ごすと、体温調節機能が失調して汗のコントロールもできなくなり、急激に大量の汗をかくようになります。すると塩分・水分が不足した脱水状態に陥り、体液のバランスも崩れて、めまいや吐き気など熱中症特有の症状を表すようになるのです。
熱中症の段階は、主な症状別に以下3つの段階に分かれています。
上記から熱中症による頭痛症状はⅡ度、熱中症の症状が比較的進行した状態で、初めて現れる症状だということがわかります。
前項でご紹介したような熱中症が疑われる症状がある場合は、まず応急処置としてクーラーの効いた涼しい部屋へ移動させ、体を冷やしてあげてください。このとき、衣服をゆるめて通気性を高め、皮膚に冷水を掛けたり、首・両脇の下・太ももの付け根に氷を当てると、効率的に体温を下げることができます。
本人の意識がはっきりしているようなら、体の冷却とあわせて水分・塩分の補給もさせていきます。スポーツドリンクや、経口補水液を飲ませてあげましょう。ただし既に意識がない、または呼びかけや刺激への反応がおかしいなど意識障害がある場合は、水分を摂らせようとすると窒息させる恐れがあります。また、水分を飲ませようとしても吐き出してしまう場合は、熱中症により飲めない状態になっていると考えられますので、点滴での保水が必要です。
意識がはっきりしていない、または水を飲めないほど重篤な場合には、すぐに救急車を呼びます。そのうえで救急車が来るまでの間に、体を冷やすなどの応急処置をしましょう。
以下のような症状が見られるときは、熱中症が重症化し、頭痛が現れる兆候だと捉えることができます。
軽度のうちに熱中症を食い止め、熱中症による頭痛を予防するには、以下の対策を取るのが効果的です。
また普段から睡眠不足、食事内容の偏っている人には、熱中症になりやすい傾向が見られます。熱中症予防のためにも、日頃から1日3回しっかり食事を摂り、よく眠って体力をつけるようにしましょう。
熱中症の症状は、体温調節機能に異常が起きて大量に発汗してしまい、体液の塩分・水分バランスが乱れることで現れます。その症状はめまいや筋肉のけいれんに始まり、やがて頭痛や動けないほどの倦怠感、吐き気、そして意識障害を来す重篤な状態にまで進行していきます。熱中症の進行は、こまめな水分と塩分の補給と、涼しい場所で休むなどの対策で予防できます。応急処置のポイントとともに、押さえておきましょう。