喘息の診断は何科に行けば診てもらえる?検査方法は?

2017/8/3 記事改定日: 2018/4/4
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

咳が止まらない、息をするとヒューヒュー、ゼーゼーといった音がする・・・といった症状がある場合、気管支喘息(喘息)の可能性があります。喘息かどうかを診てもらうためには病院へ行けばよいのですが、いったい何科を受診すればいいのでしょうか。また、どんな検査を行うのでしょうか。この記事では、どこに行けば喘息を診てもらえるかや、喘息かどうかの検査方法を解説します。

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喘息の診断には何科に行けばいい?

気管支喘息(以下、喘息)かもしれない・・・と思った場合、基本的には呼吸器科で診てもらうことができます。ただ、喘息はアレルギー疾患のひとつでもあるため、アレルギー科でも診てもらうことができます。また、子供の場合は小児科でも診てもらえます。

病院に行くと、医師は問診のときに、気管支喘息やアレルギーの家族歴を尋ねます。その後、喘息の症状があるかどうかや、いつどのくらいの頻度で起こるかを確認します。もし、決まった季節や時期、特定の場所でのみ症状が起こっていたり、夜間に悪化したりする場合は、その旨を医師に伝えましょう。

喘息の診断で行う検査は?

喘息かどうかを診断するために、以下のような呼吸機能検査が行われます。

スパイロメトリー、肺機能検査

この検査では、検査機器を使って呼吸機能を測定します。肺活量はもちろん、どのくらい早く息を吐くことができるかも測定します。喘息発作が起こると息の通り道が狭くなるため、思い切り息を吐くことが難しくなります。

ピークフロー測定

ピークフロー(PEFR:最大呼気流量)検査も肺機能検査のひとつで、一度の呼吸で排出される空気の速さを測定します。ピークフロー値は、発作が起こる前や、喘息の症状が深刻になると著しく低下します。

ピークフローのメリットは、携帯型のピークフローメーターを使えばいつでも自分で測定できることです。診察室で行われる肺活量測定よりも正確さはやや落ちますが、自宅で測定することで症状を自己管理しやすくなったり、いつごろ発作が出そうかを把握しやすくなります。

そのほかの検査

このほか、喘息の診断に有効な検査として以下のようなものがあります。

  • 血液検査
  • 運動負荷試験
  • 胸部X線検査

喘息症状と似た症状を起こす肺や心臓などの病気もあるため、これらの検査も大切です。ただ、胸部X線検査で病気が発見できないことも多く、喘息以外の病気で症状が起こっていないかを除外するために、さらに他の検査が行われる場合もあります。

喘息の診断は難しい?

大人や、ある程度成長している子供の場合、自分の状態や病歴を正確に把握することができますし、肺機能の検査も簡単に行うことができるため、喘息かどうかを診断するのはさほど難しくありません。また、喘息の症状は幼少期に始まるという特徴があるため、喘息か慢性閉塞性肺疾患(COPD)かは区別しやすいと言われています。

しかし、乳幼児の喘息を診断することはとても難しいと言われています。というのも、子供は繰り返し風邪をひいたり、咳こんだりするからです。特に、保育園や預かり保育など、風邪や咳をする子供が多い環境にいる場合はなおさらです。

多くの場合、子供が苦しそうに息をしている(喘鳴)ときは喘息の可能性が高いと言えます。しかし、その症状は以下に紹介する、喘息以外の原因で発症している可能性もあります。

  • 細気管支炎
  • 嚢胞性線維症(日本ではとてもまれです)
  • 先天性心疾患
  • 先天性肺疾患
  • アレルギー

また、遺伝的な要因、母親の妊娠時の喫煙、母親の妊娠時のウイルス性疾患、早産などが原因で、もともと気道が狭い子供もいます。つまり、喘鳴の症状がある子供全員が喘息を発症するわけではありません。しかし、気管支炎を繰り返す場合や、夜間または早朝に咳の症状が多い場合は、喘息の可能性が高いでしょう。

喘息の重症度を把握する基準は

喘息の重症度は、軽症間欠型喘息と呼ばれる、第一段階が最も軽く、第四段階が最も重い状態です。喘息の重症度は、初期治療としてどの治療を行うかを決めるため、最初の診察時のみ診断されます。しかし、その後も同様の基準を使って、治療の続行や軽減、中止など、症状に応じた治療を行うための判断材料にします。

おわりに:喘息の疑いがあれば病院で診てもらおう

喘息かもしれない・・・と思ったら、呼吸器科やアレルギー科、子供の場合は小児科で診てもらうことができます。喘息の症状が続くと咳や喘鳴で呼吸が辛くなってしまうので、できるだけ早く病院で診てもらいましょう。
ただ、年齢の高い子供や大人の場合は診断がしやすいですが、5歳以下の子供の場合は診断が難しいと言われています。もし、喘息ではないと診断されても、咳や喘鳴が続くようでしたら、念のためもう一度医師に診てもらってください。

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