記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/3 記事改定日: 2019/9/24
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肉類の中でも鶏肉は加熱が充分でないと食中毒になることがあります。これは新鮮な鶏肉であっても起こりうることです。
この記事では火が通っていない鶏肉が原因で起こる食中毒について解説していきます。
鶏肉は加熱が不十分だと食中毒になることがあります。
この食中毒を引き起こしているのはカンピロバクターという細菌です。
カンピロバクターは鶏、牛、ブタ、ヤギなどの家畜や犬などの腸管内に生息しており、30~37℃の湿った環境で増殖しやすくなります。
そのため、鶏肉や豚肉を生焼けの状態で食べたり、鳥の刺身、鳥わさ、レバ刺しなどの肉を生で味わう料理を食べることは食中毒を引き起こす大きな原因となるのです。
カンピロバクターによる食中毒になると、まず発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛などの症状が現れます。
その後、嘔吐や腹痛がみられ、さらに数時間~2日後にかけて下痢が起こります。下痢は、水様便ですが粘液や血便の場合もあり、子供は血便を伴うことが多いです。
発熱は38~39℃に達することが多く、腸炎のほかに敗血症や関節炎、髄膜炎が起こる可能性もあります。
カンピロバクターによる食中毒は潜伏時間が2~7日と、他の細菌性食中毒よりも長いことが特徴です。
通常は1週間以内で治り死亡例はめったにありませんが、赤ちゃんや高齢者など免疫が弱まっている場合は重症化する危険性があります。
カンピロバクターは人や動物の腸管内でのみ増殖し、乾燥や熱に弱い細菌です。きちんと加熱すれば死滅します。
そのため、カンピロバクターによる食中毒の予防には以下の3点を守ることが重要です。
カンピロバクターは鶏肉での感染例が多いですが、牛レバーによる感染例もないわけではありません。
鳥刺し、レバ刺し、鳥わさなど「生の鶏肉」はもちろんですが、鶏肉に限らず、加熱不十分の肉や生肉は食べないようにしましょう。子供や高齢者、体調不良の人、疲れている人はとくに注意してください。
カンピロバクターはしっかりと火を通せば殺菌できるので、中心部を75℃以上で1分間以上加熱してから食べるようにしましょう。
鳥肉を加熱調理するときは中心部までしっかり火を通っていることを確認しましょう。火が通っているのを確認するには次のような方法がおすすめです。
カンピロバクターは熱や乾燥に弱いです。使い終わった調理器具はよく洗浄し、熱湯での消毒や乾燥を徹底することである程度予防できます。
食肉からサラダなどへの二次汚染での感染例もあるので、生肉を扱ったあとは手指を十分に洗浄し、生肉を調理した器具と他の料理を作る器具は分けるようにしましょう。
また、冷蔵庫内で生の食肉と他の食品との接触を避け、井戸水など未殺菌の飲料水を飲まないことなども予防には大切です。
カンピロバクターは動物の腸内に生息しています。
鶏、豚、牛、ヤギなどの家畜の他にペットの犬や猫などへの接触で感染することもあるので、接触時にはそれら糞に触らないようにしましょう。
鶏肉や内臓系の肉を生で食べると、カンピロバクターなどの食中毒になる危険性が高まります。調理時には中心部を75℃以上で1分間以上加熱し、しっかりと火を通して食べましょう。
暑い日や湿気がある日はカンピロバクターが増殖しやすい環境なので、保存や調理器具の衛生面にも注意してください。