生理痛がいつもひどい・・・。病院へ行ったほうがいい?

2017/8/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腹痛、腰痛、吐き気がするなど・・・何かと辛い生理痛。
生理痛は生理現象なのである程度の痛みは仕方ありませんが、日常生活に支障をきたすような場合は「月経困難症」と呼ばれ、産婦人科での診断が必要です。

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生理痛がひどくなる原因は?

生理痛がひどくなる原因のひとつとしてプロスタグランジンがあります。生理中は、はがれ落ちた子宮内膜を血液とともに体の外に押し出す働きをする「プロスタグランジン」が分泌されます。この分泌が多いと、子宮の収縮が過剰になって陣痛のような下腹部や腰の痛みの原因になります。さらに、このプロスタグランジンの一種には痛みを強めるなどの作用があるので、頭痛や腰痛の原因にもなります。

もうひとつは性器の炎症です。
要因としては子宮筋腫子宮内膜症などが考えられます。

自分でひどい生理痛に対処することはできる?

以下のような方法で痛みを和らげることはできます。
ただし、日常生活に問題があるほど重い生理痛の場合は、生理痛の種類を確認するためにも医師の診断を受けたほうが良いでしょう。

鎮痛剤を服用する

市販のものでもかまわないので、鎮痛剤を飲んで痛みを緩和させましょう。
鎮痛剤は痛みが出る前に服用し、痛みを予防するのが効果的かつ正しい利用法です。

低用量ピルを利用する

性器に炎症が見られない「機能性月経困難症」は、卵巣でつくられるプロスタグランジンというホルモンが原因です。そのため、排卵を一時的に止めてプロスタグランジンの分泌を抑えることで痛みを軽減することができます
また、低用量ピルは排卵を抑えると、月経血の量も少なくなりナプキンの使用量が目に見えて減ります。個人差はあるものの月経期間も短くなるため、月経痛だけでなく過多月経(月経血の量が平均に比べて多く、貧血を伴うような場合)で悩んでいる人にもおすすめです。

漢方薬

漢方薬には女性の不調改善に効果のあるものが多くあり、生理痛の治療や軽減に効果があると言われています。医師の処方であれば健康保険が使える場合も多いので、使用する場合は医師に相談してみましょう。

ひどい生理痛に病気が潜んでいる場合も・・・

生理痛があまりにもひどい場合には、他の重大な病気が隠れている可能性があります。
・子宮筋腫
・子宮内膜症
・子宮腺筋症
・骨盤内炎症性疾患

上記のような性器や子宮周辺の器官に異常があらわれている危険性があります。
早めに産婦人科を受診し、医師に確認してもらいましょう。

病院へ行ったほうがいいサインは?

下腹部の痛みに加えて吐き気、嘔吐、下痢、頭痛などの症状が伴うなど、痛みによって日常生活に差し障りがある場合には婦人科で診断を受けることをおすすめします。

婦人科では生理痛が「機能性月経困難症」または「器質性月経困難症」のどちらによるものなのかを診断し、内診や超音波検査で子宮筋腫や子宮内膜症などが発症していないかどうかチェックします。

おわりに:気になる症状があれば迷わず婦人科へ

生理痛の感じ方や症状への感じ方には個人差があり、精神的な要素も関わってくるため、自分の状態を客観的に測るのは難しいです。また、生理自体がデリケートな話題のため、「他の人の状況がわからない・・・」ということも多いでしょう。

しかし、生理痛の原因には重大な疾患が潜んでいる可能性もあります。気になる症状があれば早めに婦人科を受診しましょう。

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