喘息発作に対応する4つのステップとは?発作を起こした人のケアは?

2017/8/10 記事改定日: 2018/4/4
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

喘息発作が起こると、咳が止まらなくなったり、喘鳴(呼吸すると、ゼーゼー、ヒューヒューといった音がする症状)が起きたりします。こうした喘息発作が急に起きたとき、どう対処すればよいでしょうか。また、周囲に喘息発作を起こした人がいたとき、どんなふうにケアしてあげるとよいのでしょうか。この記事では、発作が起きたときの対処法を中心に、発作を防ぐ方法についても解説します。

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喘息発作を起こしたときの4つのステップ

咳や喘鳴(ぜんめい)といった気管支喘息(以下、喘息)の症状がみられたら、以下のように対処してください。

1.落ち着いて呼吸する

喘息の発作が始まったら、椅子に座り、ゆっくりと落ち着いて呼吸をするように心がけます。パニックになると症状が悪化してしまうので、落ち着くことが大切です。

2.吸入薬を吸い込む

吸入薬を吸って、喘息の症状を抑えましょう。発作が起きたときに吸入薬を使う間隔については、薬を使う前に医師に確認しておきましょう。

3.救急車を呼ぶ

吸入器を持っていない場合や、吸入しても症状が改善しなかった場合は、救急車を呼びましょう。

4.かかりつけ医の診察を受ける

救急車で運ばれた場合は48時間以内、救急車を呼ばなかった場合も24時間以内に、かかりつけの医師の診察を受けてください。今後の発作に備えたり、発作が起こるリスクを下げるためにはどうすればいいかを相談する必要があります。また、喘息の症状が出たときにどう対処すればいいかも尋ねておきましょう。

喘息発作を起こした人が身近にいたら

身近に気管支喘息(以下、喘息)発作を起こした人がいた場合、薬をすぐに見つけて使うことができるように手伝ってあげましょう。また、発作を起こしている人に落ち着いて話しかけ、安心させ、助けが来るまで静かに横に座ってあげてください。

ただし、もし以下の項目に当てはまる場合は、すぐに近くの病院に連れていくか、救急車を呼んでください。

  • 呼吸に苦しんでいる。あるいは、異常に息切れしている
  • 喘息の症状が出ていて、薬を使っても症状が和らいでいない
  • 息苦しいさのために、歩いたり話したりするのが困難な状態にある
  • 指の爪、および、唇が青白くなってきている

喘息の発作ってどんな症状?

喘息発作の主な症状として、以下のようなものがあります。

  • 特に身体的疲労の後の息切れ
  • 早く、音の大きい、不均一な呼吸
  • ゼーゼー音が出る。または、息を吐き出すときにヒューと音が出る
  • 呼吸に関する症状の影響で、うまく話せない
  • 胸部の締め付け感、あるいは、痛み
  • 息を吸うとき、肋骨の形が浮かび上がっている
  • 身をかがめている
  • 発汗
  • 顔色が悪い
  • 嘔吐
  • 鼻腔の拡張
  • 咳払い
  • 不安
  • 疲労

喘息発作が起こる原因は?

喘息の発作を引き起こす一般的な原因として、以下のようなものがあります。

アレルギー

喘息の人の多くは、花粉、カビ、動物の毛、ダニ、ゴキブリの糞といったアレルゲンが原因で発作が起こると言われています。

タバコ

タバコは、喘息の発作だけでなく、喘息自体の発症のきっかけになると言われています。実際、妊娠中に喫煙していた女性の赤ちゃんは、喫煙しなかった女性の赤ちゃんと比べて肺機能が弱い傾向があり、喘息を発症するリスクが増加したそうです。

副鼻腔炎

副鼻腔炎とは副鼻腔の内側の粘膜が炎症している状態のことです。炎症によって、副鼻腔の粘膜はさらに多くの粘液を作り出します。その結果、気道は刺激を受けやすくなり、喘息の発作が引き起こされることがあります。

呼吸器感染(風邪、インフルエンザなど)

風邪やインフルエンザ、鼻炎などの呼吸器感染によって気道が狭まることも、喘息発作の原因のひとつと考えられます。特に鼻炎は、喘息患者の大半が併発していると考えられています。

刺激物

強い匂いの香水や洗浄剤、排気ガスなどの刺激物によって、喘息発作が引き起こされることがあります。

気候

冷たい空気や急激な温度・湿度の変化によって、喘息発作が起こることがあります。

ストレス

ストレスや何らかの強い感情(号泣、激しい怒り、笑いすぎ)によって、喘息発作が起こることもあります。

発作を予防するために何をすればいい?

喘息発作を起こさないために、どのようなことをすればよいのでしょうか。

ペットのふけ

  • ペットを飼わないようにするか、喘息持ちの人の寝室にペットが絶対入らないようにする
  • 喘息持ちの人の寝室につながる通気口にカバーをかけるか、ふさぐ
  • エアーフィルターをつける

ハウスダストのダニ

  • マットレスや枕は不透過性寝具カバーを使う
  • 寝具を週に1度熱湯で洗う
  • 室内の湿度を50パーセント以下に下げる
  • カーペットは敷かない
  • 布張りの家具よりも木製の家具を使う

花粉・屋外のカビ

  • 花粉量が多い時は屋内で過ごす
  • 空気清浄機を設置する

屋内のカビ

  • 水漏れはすべて修理する
  • カビの生えた部分はカビ取りなどで掃除する
  • 室内の湿度を50パーセント以下に下げる

タバコの煙

  • 家や車の中で喫煙させないようにする
  • 職場のタバコの煙が極力出ないよう協力してもらう

おわりに:深刻な喘息の発作が現れた場合は病院へ

周囲に喘息を持っている方や、発作を起こしている人がいたら、手助けしてあげましょう。喘息の発作をすべて未然に防ぐことができるわけではありませんが、発作を起こりにくくすることは可能です。もし、喘息発作がお手持ちの薬で改善しないときには、速やかに医療機関の受診してください。

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