記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/7 記事改定日: 2020/2/17
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
耳鳴りの影には深刻な病気が隠れている可能性があることを知っていますか?危険のない場合も多いですが、耳鳴りの中には脳出血などの重篤な病気が潜んでいることもあるのです。
この記事では、耳鳴りの原因について解説していきます。
耳鳴りとは実際にはない音が、片耳あるいは両耳で聞こえる症状です。
音は耳の穴から鼓膜→中耳→内耳→聴神経の順に伝わり、最終的に大脳の聴覚中枢で音として認識されます。
この耳から脳に音が伝わる過程のどこかに異常が起こることで耳鳴りが発生します。
ほとんどの耳鳴りは、「空気の振動=音」を電気信号に変換する内耳(ないじ)の異常が原因です。耳鳴りの原因が深刻な病気であることは少ないですが、重大な病気が原因ではないと言い切れるわけではありません。
耳鳴りが症状のひとつとして現れる「耳の病気」には、以下があります。
突発性難聴は突然耳が聞こえなくなる病気で、聞こえの程度は人によって異なり、めまいや吐き気などの症状を伴うこともあります。
ストレスや疲労、ウイルス感染などが原因と考えられていますがはっきりしたことはわかっていません。
突発性難聴は治療が早ければ早いほど元の聴力に戻る可能性が高いといわれています。
疑わしい症状があるときは、速やかに耳鼻科を受診しましょう。
中耳炎は中耳に起こる炎症の総称です。
急性中耳炎や、鼓膜に穴が開いてしまう慢性中耳炎、膿がたまる滲出性(しんしゅつせい)中耳炎などがあります。細菌やウイルスが原因となることが多く、治療法は種類によって異なります。
外耳道(=耳の入り口から鼓膜の外側までの範囲)に炎症が起きた状態のことで、かゆみや耳鳴り、異物感などが見られます。耳の穴の傷などに細菌が感染して炎症を起こすことが原因です。
メニエール病は内耳を満たしている内リンパがいっぱいになり、水ぶくれ(内リンパ水腫)になることが原因で起こります。突然周囲が回っているかのような回転性のめまいがあらわれ、耳鳴りや難聴を伴います。
脳の病気によって耳鳴りが引き起こされることも少なくありませんので、耳鳴りが症状のひとつになる脳の病気について見ていきましょう。
頭部を強打するなどして、脳が強い衝撃を受けた場合、内耳のリンパ液が振動してめまいが起きたり、鼓膜や中耳が傷ついたり、耳小骨を脱臼することで耳鳴りや難聴が生じることがあります。
また、頭に強い衝撃を受けた後に耳鳴りや難聴が長く続く場合は「脳の外傷」が原因のこともありますので、すぐに病院を受診しましょう。
脳出血とは脳の血管が破れて脳の中で出血が起きている状態です。
症状としては意識障害、体が麻痺する、めまい、激しい頭痛、嘔吐などがみられます。
ストレスなどが原因で自律神経のバランスが乱れると、交感神経が過剰に緊張することがあります。交感神経は緊張すると、血管を収縮させる作用があり、この影響で耳の中の血流が減少することがあります。
その結果、内耳にリンパ液がたまりやすくなり、耳鳴りが引き起こされることがあるのです。
で治療が進められますが、ストレスの原因が耳鳴りに関しては、ストレスの解消が必須です。ただし、治療しても症状の改善がみられないケースもあり、治癒までに長い時間が必要になることもあります。
高音の耳鳴りの多くは、内耳の異常によるものといわれています。実際に、加齢による聴力の低下や騒音が原因で起こる難聴に伴う耳鳴りの大半が高音性とされています。
ただし、高音の耳鳴りは、脳腫瘍や脳梗塞などの重篤な疾患が原因となることもあるので注意しましょう。
低音の耳鳴りは、中耳炎などの中耳の異常や、メニエール病やストレスなど内耳にリンパ液が溜まることによる耳鳴りが多いです。
自律神経失調症やストレスが原因となることがとくに多く、薬物治療などでも治りにくいのが特徴です。
「ザー」「ザッザッ」という、雑音のような耳鳴りは、耳の周辺にある血管の異常によって起こることが多いと考えられています。
その中でもとくに多いのは、高血圧や糖尿病、高脂血症などで引き起こされる動脈硬化です。
動脈硬化を起こした血管は内部が狭くなり弾力を失うので、ちょっとした血圧の変化などで血流が乱れると、その音が耳鳴りと感じられることがあります。また、耳周辺の血管奇形や腫瘍が原因のこともあります。
血管に異常がなくても、重度な貧血やバセドウ病などが原因で脈拍が速くなると、心拍に合わせて、血流を「ザッザッ」というような耳鳴りとして感知することがあります。
耳鳴りには片方の耳のみに生じるものと両方の耳に生じるものがあります。
片方の耳のみに生じるものは、突発性難聴やメニエール病、聴神経腫瘍など耳の内部の器官や聴力を司る神経の病気によって引き起こされるタイプのものです。特に聴力低下やめまいを伴うものは早急な治療が必要な病気が背景にある可能性がありますので、できるだけ早く病院を受診する必要があります。
一方、両耳に生じる耳鳴りはストレスや貧血など全身の異常が引き金となっているケースがほとんどです。多くは自然に改善していきますが、症状が続くときは身体のどこかに何らかの病気が隠れている可能性も否定できません。
実際には鳴ってない音が聞こえる耳鳴りは周囲から理解してもらいにくい症状です。しばらくすると治ることもあるため放置してしまうこともあるでしょうが、突発性難聴やメニエール病、脳出血など、他の病気が隠れている可能性があります。
耳鳴りが長期間続く場合や頻繁に起こるときは、すぐに病院で検査を受けましょう。