記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/3
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
目の怪我の原因のひとつとして、スポーツが挙げられます。
ただ、一言でスポーツといっても種類はさまざま。
では、怪我の危険性が高いのはどんなスポーツなのでしょうか?
怪我を予防するにはどうしたらいいのでしょうか?
趣味でスポーツをしている人はもちろん、
スポーツ好きな家族を支えるお母さんもぜひご一読ください。
以下のように、「超高リスク」「高リスク」「低リスク」に分類できます。
ボクシング、レスリング、格闘技
→身体の接触があり、眼の保護具は使用しないものは非常に怪我をしやすいです。
野球、バスケットボール、ホッケー、フットボール、ラクロス、テニス、水球
→ボール、バット、ラケットなどを使用し、身体接触の起こるものが該当します。
陸上競技、水泳、体操、サイクリング
→基本的に道具をあまり使わず、身体接触を伴わないスポーツです。
一般的なのは「鈍的外傷」「穿孔外傷」「放射線障害」です。
何かが目にぶつかったときに起きるもので、スポーツによる目の怪我の多くがこれに当たります。
目や瞼に黒いあざができることもありますが、基本的に深刻なものではありません。重症例としては、「眼窩(がんか)裂傷(※)」「眼球破裂」「網膜剥離」が挙げられます。
(※)眼窩(がんか)裂傷:眼球の下の骨折のことです。
眼鏡を着用している間に眼鏡が壊れたり、誰かの指が目に触れたりなど、何かが目に入ったときに引き起こすことがあります。軽傷から重傷のものまでさまざまです。
紫外線を浴びることで引き起こされます。発症しやすいスポーツは雪上スキーや水上スキーです。
スポーツでの目の怪我を予防するにはどうすればいいのでしょうか?
アイウェアを着用することで、怪我の回数や重症度を低減できます。
なお、購入の際は、3mmのポリカーボネートレンズを選ぶようにください。ポリカーボネートレンズは耐衝撃性に優れ、レンズのうち最も薄くて軽いものでもあります。
また、次のものは目の保護には相応しくないので注意してください。
・コンタクトレンズ、サングラス
装着しても、鈍的外傷や穿孔外傷から目を保護することはできません。
・ヘルメット、フェイスガード
目の部分が開いているので、相手の指やスポーツ用具にふれる可能性があります。
目の怪我の発生率は低いですが、コンタクトレンズを着用したまま水泳すると目を負傷することがあります。コンタクトレンズではなく、ゴーグルを着用してください。視力の悪い人向けに度付きゴーグルもあります。
サイクリングも目の怪我に関しては低リスクですが、道路の破損やほこりが目に入ることがあります。サイクリング用のゴーグルの着用が望ましいです。
怪我が重度の場合、すぐに復帰できるわけではありません。眼科医の診療を受け、不快感がなく、十分な視力を有する状態にまで回復して初めて復帰が可能になります。復帰の際は、アイウェアを着用する必要があります。
比較的軽い怪我の場合は、その場にいる医師の判断によって復帰の可否が決まります。すぐ試合に戻れることもあるでしょう。なお、早く復帰させるために局所麻酔や鎮痛薬を投与してはいけません。
スポーツには常に怪我の危険性がつきまといます。これからも楽しくスポーツをするためには、起きやすい事故の例を把握し、予防につとめることが大切です。