記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
原因がわからないのに、突然恐れと不安が押し寄せ、汗をかき体が震えてくる、そんな経験はありませんか? それは、パニック障害のパニック発作かもしれません。この記事では、パニック障害についてまとめました。
パニック障害は、明らかな理由がなく、定期的なパニック発作を繰り返す障害です。
生涯にわたって、誰もが一定の時期に不安感とパニックの感覚を経験ししますが、それは、ストレスや危険な状況に対する自然な反応です。しかし、パニック障害のある人にとって、不安感、ストレス、恐怖感はいつでも起こるのです。
パニック障害は、100人に1人くらいの割合で起こると言われています。なんの前触れもなく、めまい、動悸、呼吸困難、ふるえなどの自律神経症状と、激しい不安に襲われる「パニック発作」を繰り返し起こします。さらに「また、あそこに行ったら発作が起こるのでは」などという恐怖心がふくらみ、発作の起こった場所や状況を避けようとして、生活範囲が制限されてしまいます。
医療機関を受診しても、身体的な異常はみとめられません。
【出典:厚生労働省ホームページを編集して作成 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-050.html】
パニック発作は、体が激しい心理的(精神的)および身体的症状の急激な変化を経験したときに起こります。
恐怖、心配、不安などが押し寄せます。これらの感情だけでなく、以下のような身体的症状があらわれます。
・揺れやふるえ
・心臓がドキドキするか、心拍数が速くなる
・発汗
・胸の痛みや不快感
・息切れ
・息ができないと感じる
・吐き気
・けいれん
・めまいや脱力感
・手、腕、足または脚の刺すような痛みや麻痺
・寒い、眩しい感じ
・非現実感や夢をみているような感覚
パニック発作を起こす回数は、状態がどれほど深刻であるかによって異なります。毎月1〜2回の発作の人もあれば、1週間に複数の発作を起こす人もいます。
パニック発作は非常に激しいですが、危険なものではありません。発作はいかなる物理的な害も引き起こさないでしょう。そして、パニック発作を起こした場合に、入院することはまずありません。
パニック発作の症状は危険ではありませんが、非常に恐ろしいことがあります。
パニック発作は心臓発作を起こしているかのように感じさせたり、倒れこんだり、時には死んでしまうようにさえ感じます。
通常、パニック発作は5分から30分ぐらい続きます。
多くの精神障害と同様に、パニック障害の正確な原因は完全には理解されていません。
しかし、パニック障害はおそらく身体的要因と心理的要因の複合的な要因に結びついていると考えられています。
また、脳の中には神経伝達物質があり、体の外からの刺激に反応して働いています。パニック障害の原因に関連するのは、恐怖や不安を感じるノルアドレナリンと、興奮を抑えるセロトニンの2つといわれています。この2つの神経伝達物質のバランスが崩れるためにパニック障害が起こるといわれていますが、詳しくはわかっていません。
パニック障害の症状がある場合は、精神科や心療内科を受診してください。
再発性の予期せぬパニック発作が続き、少なくとも1ヶ月間継続的な不安があり、さらなる発作が懸念される場合は、パニック障害と診断されることがあります。
専門家は、パニック発作の恐怖を患者がコントロールできることが重要だと言います。
「経験している症状は不安によって引き起こされていることを自分自身に言い聞かせることです。まず、発作を乗り切りましょう。ほかのことをしようとしないでください。できれば、不安が和らぐまでその場を離れないでください。そして、恐怖に立ち向かいましょう。もし恐怖から逃げなければ、発作によって何も起こらないことを発見するチャンスが与えられます」
症状が悪化する可能性のある特定のストレスを解消する必要があります。動きや日常活動を制限しないことが重要です。
定期的な運動、特に有酸素運動は、ストレスレベルの管理、緊張緩和、気分の改善、自信の向上に役立ちます。
迅速な回復方法はありませんが、発作が何度も起こっている場合は、医師の診察を受けてください。診察の際に、医師に質問すべき事項を挙げておきます。
・パニック障害の原因は何ですか?
・どのような治療法がありますか?
・薬を飲むべきですか?
・ずっと薬を飲み続けなければなりませんか?
・試してみるべき治療法がありますか?
・どのくらい長く治療にしなければならないでしょうか?
・家から出ることが怖いです。どうすればよいでしょう?
・治療後に、パニック発作が再発する可能性はありますか?
パニック発作を起こした多くの人は恥ずかしさや、薬を飲むことの恐怖から医療機関を受診しません。しかし、パニック発作がある、または可能性がある場合には医師の診察を受けることが重要です。
医師は、パニック発作がパニック障害に関連するのか、別の問題によって起こされているのかを教えてくれるでしょう。