パニック障害の治療の方法は? 薬や認知行動療法、治療の期間について

2017/8/15 記事改定日: 2018/3/26
記事改定回数:2回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

パニック障害は、動悸や息切れ、強い不安などのパニック発作を突発的に繰り返す病気です。パニック障害は、段階的な方法で治療を行っていくのですが、具体的にはどういった治療をしていくのでしょうか?また、治療期間はどれくらいなのでしょうか?詳しく解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

パニック障害の治療の方法:①薬での治療

治療初期では、まず薬でパニック発作をコントロールすることを目的にします。具体的に処方される薬には以下のものがあります。

抗うつ薬(SSRI)

パニック障害の患者さんの脳内では、「セロトニン」という脳内物質が不足しているためにパニック発作が起こると考えられています。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、このセロトニンの量を増加させる薬です。

パニック障害に効果があるとされる主なSSRIは、「パキシル®︎」と「ジェイゾロフト®︎」です。服用は少量から始め、徐々に服用量を増やしていきます。なお、SSRIは十分な効果が得られるまでに2〜4週間ほどかかるため、即効性のある「ベンゾジアピン系抗不安薬」と併用するのが一般的です。

抗不安薬

抗不安薬は即効性が高く、不安や緊張を緩和する効果があるとされます。具体的な種類としては「リボトリール®︎」「ソラナックス®︎」「デパス®︎」「ワイパックス®︎」などがありますが、中でもパニック障害の患者さんに処方されることが多いのが、水なしでも服用できるワイパックス®︎です。電車などで突然パニック発作が起きたときでもすぐに服用できるため、重宝されています。

パニック障害の治療の方法:②認知行動療法

薬物療法によって、少しパニック発作がコントロールできるようになっても、予期不安(「また発作が起きるのでは」という不安を常に感じる)や広場恐怖(電車や公共の場など、以前パニック発作を経験した場所に行くのが怖く、避けるようになる)が継続してしまうことも少なくありません。こうした予期不安や広場恐怖にはSSRIが有効ですが、これに「認知行動療法」を組み合わせることでさらに高い効果が得られるとされます。

認知行動療法とは、心理学的治療法(カウンセリング)であり、患者さんの思い込みを修正していく治療法になります。代表的なのが「エクスポージャ療法」というもので、最終的な目標を決め、苦手なものにチャレンジする治療法です。例えば人混みでの発作が怖い患者さんの場合、最終的な目標が「一人で繁華街で洋服を買う」であれば、まずは友人と短時間で繁華街に出かけてみるところから始めます。そこから徐々に外出時間を長くし、次は一人で繁華街に行く練習をします。その後は繁華街でのお店に入ってみる、外食をしてみる、そして最終的には目的の買い物ができるようになる、といったふうに徐々に目標に近づいていけるようにします。

パニック障害の治療の方法:③心と体を整える

パニック障害は、ストレスなどをきっかけに再発することのある病気です。そのため、ストレスに負けない体づくりや心のあり方を身につけていくことも大切です。具体的には、以下のことを心がけてください。

リラックスし、ストレスを減らす

過労や睡眠不足、または職場での人間関係などのストレスはパニック発作につながります。心と体に過剰に負担をかけるのを避け、余裕のある生活を心がけましょう。たまには静かな場所で、力を抜いて何も考えず、ゆっくりする時間を作ることをおすすめします。

家族や友人のサポート

パニック障害の治療では、自分ひとりで病気を乗り越えようとせず、できるだけ家族の方にもこの病気について理解してもらい、サポートしてもらえるようにすることが大切です。そのため、家族の理解と協力が不可欠です。可能であれば、友人にパニック障害についてカミングアウトすることをおすすめします。周囲の理解があれば、サポートも受けやすいです。

運動と規則正しい生活

パニック障害の治療は長期間に及ぶため、基礎体力が低下することが多いです。健康的な食事と睡眠をとり、適度な運動を心がけましょう。

アルコール・喫煙を控える

コーヒー、紅茶などカフェインを多く含むものを摂取することでパニック発作が起こりやすくなります。アルコールや喫煙も同じです。

服薬を勝手に中止しない

自己判断で薬をやめたり、減らしたりすると、不眠や頭痛などの中断症状が現れたり、今までの治療効果が失われたりする恐れがあります。少し症状が落ち着いてきたとしても、自己判断での薬の調整は絶対にやめてください。

パニック障害の治療の方法:④減薬・服薬をやめる(治療終了)

患者さんの体や心が十分に安定してきたら、中断症状が現れないよう、少しずつ減薬していき、最終的には薬を飲まない状態で自分をコントロールできるようにしていきます。

パニック障害の治療の期間は?自力でも治せる?

治療にかかる期間には個人差がありますが、おおよそ1年半〜2年半は治療の継続が必要なケースが多いです。なお、「薬漬けになるのが怖い」といった理由で病院での治療をせず、自力で治そうとする方もいますが、パニック障害は適切な治療をしないと、予期不安や広場恐怖の症状が強くなるなど徐々に悪化していきます。初めてのパニック発作が起きてから2〜3ヶ月以内に、適切な治療を開始することが大切です。

おわりに:パニック障害の治療は長い目でゆっくり取り組むことが大切

パニック障害は治療ですぐに症状が出なくなるわけではありません。パニック発作が消失しても、発作が起きない状態を維持するために、治療はしばらくの間続けることが大切です。発作が起きなくなったからといって、すぐに治療をやめてしまうと再発することもあります。パニック障害の治療は長い目でゆっくり取り組むことが大切です。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

認知行動療法(35) 期間(42) パニック障害(20) パニック発作(10) SSRI(14) 抗うつ薬(42) 抗不安薬(27) ワイパックス(2) ジェイゾロフト(2) パキシル(5) ソラナックス(3) リボトリール(2) デパス(4) エクスポージャ療法(1) 自力(1)