お風呂に多い細菌、レジオネラ菌に感染するとどんな症状が出る?

2017/8/16 記事改定日: 2019/9/30
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

レジオネラ菌はお風呂場などの温水が使用される場所での感染が多い細菌です。
感染すると「レジオネラ肺炎」という深刻な病気を引き起こす危険性があり、その繁殖が問題視されています。
この記事では、レジオネラ菌に感染したときの症状について解説しています。

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レジオネラ菌がお風呂で繁殖しやすいのはなぜ?

レジオネラ菌が空調冷却塔や循環式浴槽、温泉、入浴施設など私たちの生活に身近な人工水中で繁殖しやすいのは、そこで利用される水の温度が比較的高く、レジオネラ菌が寄生するアメーバなどの微生物が生育しやすい環境だからです。

また、レジオネラ菌の活動可能域が20~50℃であることもレジオネラ菌自体が増殖しやすい理由のひとつです。

レジオネラ菌感染経路のほとんどはレジオネラ菌を含んだエアロゾルという霧状の水を、口から直接吸い込むことによります。

感染の原因となるエアロゾルの例として、循環式浴槽水、シャワー、ホテルのロビーの噴水、洗車、野菜への噴霧水などがあります。
また、浴槽内で溺れて汚染水を気管に吸い込んだことによる感染や発病例も報告されています。

レジオネラ菌は人から人へ感染することはありませんが、1ヵ所の感染源から複数の人に広がる危険性が高いので注意が必要です。

レジオネラ菌に感染すると、どんな症状が出る?

レジオネラ菌に感染すると菌種にもよりますがレジオネラ肺炎またはポンティアック熱が発症します。いずれも人から人へ感染する可能性はほとんどありません。

ポンティアック熱になると、発熱、頭痛、筋肉痛などの症状が現われますが、2~5日程度で自然治癒することが多いです。

一方の「レジオネラ肺炎」は高熱、呼吸困難、吐き気、意識障害などが現われ、急激に症状が重くなりなり、最悪の場合は死に至ることがあるほどの危険な病気です。

レジオネラ肺炎は重症化することが多く、抗生物質による速やかな治療が必要です。
適切な投与がなされないと7日以内に死亡する可能性もあるので、少しでも感染が疑われる場合は必ず病院で処置を受けてください。

赤ちゃんや子供、高齢者は注意!

子供や高齢者は免疫力や体力が低いため、レジオネラ菌に感染すると重症化して肺炎などに進行するリスクが高くなります。

河川で遊んだ、温泉に行った、などレジオネラ菌に感染する機会があって2~10日ほど経ってから発熱・倦怠感・頭痛・食欲低下・筋肉痛・咳などの症状が見られた場合は速やかに病院を受診するようにしましょう。

また、受診の際には医師にレジオネラ菌に感染した可能性がある旨を伝えると診察の手掛かりになることもあります。

お風呂のレジオネラ菌を除菌するにはどうすればいい?

レジオネラ菌は水のある環境であれば増殖する可能性があり、人に感染することがあります。
あまり多くはありませんが、自宅のお風呂で増殖することもあります
レジオネラ菌の感染を予防するには次のような対策を行いましょう。

  • お風呂の窓は換気するときだけ開放し、普段は閉じて外界の粉塵などを入れないようにする
  • タイルのへこみなどに水が溜まらないようにする
  • 浴室はこまめに洗って、水垢やぬめりなどがつかないようにする
  • 定期的に排水管の掃除や浴室内をハイターなどの塩素系洗剤で消毒する

おわりに:子供や高齢者は重症化しやすいので、特に注意!

レジオネラ菌に感染した人全てが重症化するわけではありませんが、子供や高齢者は重症化しやすいので注意が必要です。
レジオネラ菌の繁殖を防ぐには浴室はもちろん、お風呂のお湯や浴槽を清潔に保つ必要があります。
定期的にお湯の交換と清掃・消毒を行ない、レジオネラ菌やその栄養源となる菌類を発生させないようにしましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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