記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
骨がもろくなって、骨折しやすくなる骨粗鬆症。この骨粗鬆症には、加齢や閉経に伴って起こる原発性骨粗鬆症と、病気や薬の副作用で起こる続発性骨粗鬆症があります。ここでは、続発性骨粗鬆症の中でも、ステロイドの副作用として知られる骨粗鬆症を見てみましょう。
様々な免疫異常や炎症を抑えるために使用される「ステロイド薬(副腎皮質ステコイド)」。強力な抗炎症作用があり、膠原病や関節リウマチの他、血液疾患やアレルギー疾患、腎疾患など、多くの疾患に利用されています。
しかし、ステロイドを服用したときに、ほとんど避けられない事態として起こるのが、骨強度が弱くなることです。これを「ステロイド性骨粗鬆症」と呼んでいます。
このステロイドによる骨強度の低下は、体内に摂り入れたステロイドの量と比例し、ステロイドの投与量が多ければ多いほど骨も弱くなり、同時に骨折の危険性が増します。
通常、骨粗鬆症は女性に多くみられ、とくに閉経後の女性に起こる割合が高くなりますが、ステロイド性骨粗鬆症は、性別や年齢層にも関係なく、ステロイドの服用で起こることが特徴です。
さらに、ステロイド薬は骨を弱くするだけではなく、体内でのカルシウムの吸収力も低下させます。このような作用もあって、ステロイド骨粗鬆症は、その他の骨粗鬆症と比べても、骨はもろくなります。
3ヵ月以上ステロイド薬を服用した場合は、ステロイド性骨粗鬆症の可能性が高まるとされるので注意しましょう。
ステロイド性骨粗鬆症は、ステロイドの長期間の服用による副作用です。
なぜ、ステロイドによって骨が弱くなるかというと、まず骨代謝に影響を及ぼすホルモンの分泌量が少なくなり、骨量が減ることが挙げられます。
また、骨は骨をつくる働きをする「骨芽細胞」と、骨を溶かして壊す働きと古くなった骨を吸収する働きをする「破骨細胞」が毎日活動することによって骨を代謝させています。
ステロイドによって骨芽細胞の働きを抑制されますが、破骨細胞の働きはそのまま持続します。そのため、急速に骨の質が低下し量も減っていくことでステロイド性骨粗鬆症が起こるのです。
ステロイド性骨粗鬆症に対しては、医師が生活習慣や栄養の摂り方、運動の仕方などに関して指導してくれますので、相談してみましょう。
また、自分でできることとしては、以下のようなことがあります。
まず改善したいのは食習慣でしょう。骨を強くしてくれるカルシウムを摂りましょう。カルシウムが体内にきちんと吸収されるように、ミネラルやビタミンなどカルシウム以外の栄養素も同時に摂るようにしてください。
バランスのとれた食事とともに、サプリメントでビタミンDやカルシウムを補充することをおすすめします。
また、コラーゲンやイソフラボン、グルコサミンも積極的に摂取しましょう。
その他、喫煙や過剰な飲酒などの骨粗鬆症のリスクを高める生活習慣は、改めましょう。
骨は、使わず休ませておくよりも、負荷を与えるほど細胞が活発になり、自らを強くする性質があります。
また、カルシウムの吸収を良くするビタミンDは日光にあたることでつくられます。
ウォーキングなど、少し汗ばむ程度の軽い運動や散歩を日課にしてみるのはいかがでしょうか。
自覚症状がないため、骨折して初めて気づくのが骨粗鬆症です。そうならないためにも、日頃から骨を強くするための栄養素を摂取し、無理しない程度の運動を心がけることが大切です。