記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/8/17 記事改定日: 2019/11/11
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
水ぼうそうは幼少期に発症することが多いですが、大人になってから発症することもあります。大人の水ぼうそうは症状が重く、妊娠中に感染するとお腹の赤ちゃんに影響することがあります。
この記事では、妊娠中の水ぼうそうについて解説します。
大人になってから水ぼうそうにかかると重症化しやすく、合併症を発症する可能性があります。妊娠中の女性はとくに免疫力が低下しやすく、重症化のリスクが高いです。
また、胎児感染や流産・早産を引き起こすリスクもあることから、妊娠中に水ぼうそうにかからないよう妊娠前に予防接種を受けることが推奨されています。
妊娠中に水ぼうそうにかかると、流産や早産だけでなく、お腹の赤ちゃんに胎盤感染や産道感染を引き起こす可能性があります。
これらの感染は、下記のような問題を引き起こします。
妊娠週ごとの違いについては下記のようになっています。
妊娠20週目までに感染した場合に問題となるのは先天性水痘症候群です。
もし、妊娠中の女性がこの時期に水ぼうそうにかかってしまうと、お腹の赤ちゃんにが奇形を生じる割合は1~2%とされています。
妊娠20週目を越えてから水ぼうそうにかかった場合、先天性水痘症候群を発症する確率は妊娠20週目までより低いですが、奇形の報告もあるため注意が必要です。
心配な方は、病院で精密超音波を受けたほうがよいでしょう。
分娩前後に水ぼうそうに感染してしまった場合、赤ちゃんが産後すぐに水ぼうそうを発症することで重症化する可能性があることが問題となります。
分娩の6日前までに母体が水ぼうそうを発症した場合は、抗体がお腹の赤ちゃんに移動するので赤ちゃんに感染しても軽症で済みます。
しかし、分娩の5日前~2、3日後に母体が水ぼうそうを発症した場合では、30~40%の割合で赤ちゃんに水ぼうそうが発症し、死亡率も30%と高くなります。
そのため、分娩直前・直後に水ぼうそうを発症した場合は、必ず治療薬であるアシクロビルの投与が必要となるほか、赤ちゃん自身にも治療が必要となります。
妊娠中に水ぼうそうにかかったときは重症化の可能性があるため、抗ウイルス薬であるアシクロビルを投与で治療するのが一般的です。
アシクロビルの投与による胎児奇形の報告はありますが
ことから、重症化のリスクを考えて投与がすすめられるようになっています。
また、前述の通り、分娩前4~5日、分娩後2~3日に発症した場合、赤ちゃんへの感染や重症化を防ぐため、免疫グロブリンやアシクロビルを投与することもあります。
妊娠中の水ぼうそうが初感染ではなく、帯状疱疹が現れただけであれば、お腹の赤ちゃんに産道感染することはないとされているので安心してください。
例えば、2人目を妊娠中に1人目の子供が水ぼうそうにかかってしまった場合は、その子供から感染する可能性があります。
もし水ぼうそうにかかったことがないようであれば、発症中はできるかぎり接触を避けたほうがよいでしょう。
最初に水ぼうそうとわからず、後で水ぼうそうとわかった場合は、妊娠時期や接触の度合いにより対処法が異なるため必ず病院に相談してください。
水ぼうそうは水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することによって発症します。
原因となるウイルスの感染経路は、飛沫感染・空気感染・接触感染と様々で、家族内の感染を予防するにはそれぞれの感染経路に対する予防策をしなければなりません。
飛沫感染は、ウイルスが含まれた発症者の咳やくしゃみのしぶきを吸い込むことによるもので、予防するには発症者を含めた家族がマスクを着用することが大切です。
空気感染は空気中を漂うウイルスを吸い込むことによるものですが、これは同じ空間にいるだけで感染する可能性があります。
市販のマスクで感染を防ぐことはできす、定期的に室内を換気するしかありません。
予防接種を受ける前の乳児がいる場合は、できるだけ同じ空間で過ごさないようにすることも大切です。
接触感染はウイルスが含まれた咳やくしゃみのしぶき、水疱が破れて生じる液に触れ、その手で口や鼻を触ってしまうことで感染するものです。
予防するには、手洗いを撤退し、タオルや寝具の共用は避けるようにしましょう。
妊娠中の水ぼうそうは重症化する可能性があるため、感染を予防する必要があります。ただ、妊娠中には予防接種を受けることができません。
水ぼうそうにかかったことがない人、はっきり覚えていない人は、妊娠を考え始めた段階で予防接種を受けることをおすすめします。