記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
発熱や頭痛は、普通の風邪のときにもおこる症状です。しかし、それがもし髄膜炎だった場合、放置することは命にかかわります。とくに子供に起こることが多いこの病気に関して、知識をつけておきましょう。
ほとんどの人が鼻やのどの粘膜などに持っている髄膜炎菌が、何かをきっかけに髄膜で炎症を起こす症状です。人の咳やくしゃみなどによってもうつるため、誰でも発症する可能性のある病気ですが、特効薬がなく、放置すると意識障害が出るほど重症化することもあります。
髄膜炎には2つのタイプがあり、どちらも脳と脊髄の周りの組織を腫脹させます。
ウイルス性髄膜炎はもっとも一般的であり、深刻ではありません。インフルエンザのように感じられるかもしれませんが、治療は必要ありません。
しかし、細菌性髄膜炎はより深刻で、早期に治療しなければ脳障害や死を引き起こす可能性があります。多くの場合は咽頭咽喉に見られる細菌によって引き起こされますが、ワクチンで防ぐことも可能です。
細菌性、またはウイルス性、どちらの髄膜炎と診断されたかによって少し異なります。
ウイルス性髄膜炎の症状は、発熱、食欲不振、過敏症、および眠気です。
細菌性髄膜炎の症状は、吐き気、嘔吐、混乱、および光に対して過敏になるなどがあります。
赤ちゃんは少し異常な徴候を示し、黄色の皮膚(黄疸)、哺乳びんを吸うのが困難、甲高い泣き声などが現れます。
また、早期治療をしなければ、脳卒中や難聴、意識障害、痙攣、永続的な脳損傷、および死を引き起こす可能性があります。
髄膜炎の初期症状は風邪と似ていて発熱のみであることが多く、見分けがつきにくいです。もし、普通の風邪だと思っても、子供の意識が朦朧としていたりけいれんを起こしたりしたら、早めに小児科を受診しましょう。
早く処置することが、髄膜炎の治療には重要です。子どもが髄膜炎にかかっていると思われる場合は、すぐに医師に連絡するか病院に行きましょう。
細菌性髄膜炎と診断された場合は即座に抗菌薬による治療を開始します。そして、子どもに点滴をして、嘔吐や飲水ができなくて失ったものを補給するなど、初期の症状を治療します。
また、発熱と頭痛のために、鎮痛剤を処方します。
ウイルス性髄膜炎の軽度の症例では、医師は安静にして飲み物をたくさん摂取するように指示し、子どもを家に帰すかもしれません。
より深刻な場合には、家に帰るのに十分な健康状態になるまで、入院する必要があるかもしれません。
怖い細菌性髄膜炎に対しては、その主な原因菌であるヒブヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Haemophilus influenza type b)、肺炎球菌の2つの細菌に対するそれぞれのワクチン接種が有効でしょう。どちらも生後2ヵ月から接種可能で、医師との相談により同時に接種することもできます。
肺炎球菌ワクチンに関しては、2013年11月より新しいものに切り替わり、従来の7種類から、13種類の肺炎球菌感染症を予防できるようになりました。
また、ウイルス性髄膜炎を避けるためには、子供に食べ物や飲み物を他の子どもと分け合わないよう伝えるのがよいでしょう。さらに、赤ちゃんのおむつや汚れたティッシュ、ほかの人のタオルなど、病気をうつす特定のものに触れないように伝えましょう。
また、定期的に石鹸で手を洗って清潔に保ち、子供が汚れた手で鼻や口に触れないように教えてください。ドアノブやおもちゃ、ベビーカー、電話機、パソコンなどを消毒することは有効でしょう。
治療が遅れれば高い割合で重症化する恐ろしい細菌性髄膜炎。とくに赤ちゃんの場合は言葉で異変を伝えることができないため、顔色が悪い、ぐったりしているなどの異変に親がいち早く気づき、医師にかかることが重要です。また、しっかりワクチンを接種して未然に予防することが大切です。