耳鳴りは音によって違いはある?危険性が高いのはどんな耳鳴り?

2017/8/17 記事改定日: 2018/4/16
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

耳鳴りの音には「ピー」や「キーン」「ザー」「ゴー」などさまざまな種類の音があります。耳鳴りは音の違いで原因や症状、緊急性に違いはあるのでしょうか? 今回は耳鳴りの音の違いについて解説します。

耳鳴りの音が「キーン」という高めの音がするときの原因とは!?

「キーン」という耳鳴りが聞こえる原因はさまざまですが、このタイプの耳鳴りには注意が必要です。高音の耳鳴りの場合、耳の最も内側にある内耳もしくは内耳に繋がる聴覚神経の異常により、脳が誤った信号を入力してしまっている可能性があります。こうした高音性の耳鳴りが起こる背景には以下が考えられます。

・加齢
・疲労やストレス
・顎関節症
・自律神経失調症
・脳梗塞
・脳腫瘍

難聴が原因

両耳に「キーン」という高音の耳鳴りが聞こえる場合、老人性難聴の初期症状の可能性が高いといわれています。また、工事現場などの騒音がある場所に長期間滞在していたことが原因で発症する騒音性難聴や、一時的な騒音でも発症する音響性難聴が原因で高音の耳鳴りが起こる場合があります。

薬の服用が原因

何らかの薬の服用、または注射をしていて、「キーン」という耳鳴りとともに、めまい、ふらつきなどの症状がある場合はすみやかに耳鼻咽喉科を受診してください。

「キーン」という耳鳴りの対処法とは?ストレス解消だけで治せる?

耳鳴りが起きた場合、自分で対処するには以下の方法を試してみてください。ただし、病気や薬の影響で耳鳴りがすることもあるので、必ず病院で検査してもらい異常がないことを確認してからにしましょう。

ストレスを解消

ストレスが原因の耳鳴りの場合は、ストレスの解消が有効な対処法となります。ストレスの原因が判明している場合はその原因を取り除きましょう。また、原因不明の場合は、運動などでストレスが解消されると耳鳴りも解消されることがあります。また、十分な睡眠で体を休めることも大切です。

耳鳴りを意識しない

耳鳴りをさまざまな方法で封じ込め、耳鳴りを意識しないようにすることで解消する方法もあります。

精神安定剤や鎮痛剤、漢方薬などを使用しリラックスすることで耳鳴りの解消に役立つ場合があります。

めまいが併発したとき

もし、耳鳴りと同時にめまいが起きた場合、落ち着いた環境で安静にしてください。極力雑音のない、静かな環境で体を休めることが重要です。

「ゴー」や「ザー」といった低音の耳鳴りの原因とは?

「キーン」という高音ではなく「ザー」という雑音や「ボー」「ゴー」といった低音が聞こえる耳鳴りもあります。このような耳鳴りが起こる原因や症状を、音の違いごとにわけて解説します。

「ザー」という雑音

「ザー」という雑音のような耳鳴りの場合、血行不良が考えられます。これは血行を良くすることで解消されます。しかし、連続してこの雑音が聞こえる場合、脳へと繋がる血管に異常が発生している可能性があり、脳出血の前兆として現れていることもあるので注意が必要です。

「ボー」「ゴー」といった低音

低音の耳鳴りの原因はストレスが考えられます。これは、仕事や家事育児の両立に苦しむ年代の女性に多くみられます。ストレスが解消されなければ、メニエール病や低音型難聴、耳管狭窄を発症する可能性もあります。この中でも、メニエール病は代表的な原因であり、めまいや耳が詰まったような症状が現れます。

音がこもる、ふさがった感じがする耳鳴りの原因は耳管開放症かも

耳管開放症とは、通常であれば閉鎖されている耳管が開放された状態が続くことで、自分の声が大きくこもったように聞こえたり、耳に何かが詰まって塞がったように感じる疾患です。

耳管とは、鼻やのどと中耳をつないでいる細い管のことです。主に中耳の中と大気圧を一定にする役目を担っています。普段は閉じていますが、例えば飛行機に乗って急激に気圧が高くなると、耳管が開かれることで、中耳の中と外の圧力が同じになるのです。耳管は嚥下によって開きますが、飛行機に乗った時に唾を飲み込むことで耳の痛みが取れるのはこのためです。

どのような原因で発症するのか、明確には解明されていません。しかし、ストレスによるものが多いと考えられており、メンタルヘルスに問題を抱えている人の発症率が正常な人よりも高いとの報告があります。また、体重減少、妊娠、経口避妊薬の服用、中耳炎なども発症の誘因であると考えられています。

耳管開放症の治療

多くは、保存的な治療で経過観察が行われます。最も負担が少ない治療は、漢方の一種である加味帰脾湯(かみきひとう)などの内服治療です。内服治療でも改善しない場合は、耳管の入り口にコラーゲンを注入したり、耳管にホウ酸サリチル酸合剤を噴霧して耳管を狭める治療が行われます。

これらの保存的な治療で大抵は改善しますが、中には保存的治療では改善しなく、日常生活に支障をきたすような重症の場合には耳管を狭くする手術が行われることもあります。

耳鳴りを引き起こす深刻な病気にはどんなものがある?

耳鳴りを起こす病気の多くは、中耳から内耳に病変が生じるものです。
しかし、なかには脳の腫瘍や血管奇形など重篤な病気の症状として現れることがあり、重度な貧血や糖尿病・高脂血症などの生活習慣病でも耳鳴りが生じることも知られています。

このような病気は、適切な治療を受けずに放っておくと、脳出血などの生命に関わる重大な病気を引き起こすことがあります。また、難聴を伴う内耳疾患では早期に適切な治療を受けなければ、難聴の後遺症が残るものもあります。
耳鳴りはありふれた症状の一つですが、突然の発症や長引く場合には早めに病院を受診して、検査・治療を受けるようにしましょう。

病院へ行ったほうがいい耳鳴りの音はある?

疲れなどにより「キーン」「ジー」といった耳鳴りがすることがありますが、このような耳鳴りは通常はしばらくすると消えてしまいます。
もし、耳鳴りが休みなく連続的に聞こえる場合や、めまいや吐き気、ろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、上記で説明したような深刻な病気の予兆の可能性があるので早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

また、上記のような症状がなくても、耳鳴りの中には早期に治療をしないと重度の難聴に発展しまう例もあるのです。耳鳴りがしたときは、まずは病院で体に問題がないかを検査してもらいましょう。

おわりに:耳鳴りがしたときはどんな音でも放置しないで早めに病院で診てもらおう

耳鳴りにはさまざまな音がありますが、連続的に聞こえる場合や、めまい、ふらつきを伴う場合には注意が必要です。これらの場合、いつもの耳鳴りと思って放置ぜず、医師に相談することをおすすめします。

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