記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
唇の端の口角に痛みがある場合は口角炎の可能性があります。口角炎の原因や予防法は一体どのようなものがあるのでしょうか。今回の記事では、口角炎について解説します。
口角炎とは、細菌の感染などにより口角に、ただれ、ひび割れ、かさぶたなどができることです。これは痛みを伴い、口を開けることすら難しくなる場合があります。これは別名を口角びらんとも呼びます。口角炎が重症化した場合は、ただれや亀裂が皮下組織に及ぶ口角潰瘍を発症することがあります。
子供と大人の口角炎が発症する原因を以下に解説します。
口角に付着した汚れや唾液などから細菌に感染して発症する場合がほとんどです。また、アトピー性皮膚炎の病変として口角炎の症状が発生することもあります。
大人の口角炎の原因は以下が考えられます。
・ビタミンB2の欠乏
・抗菌薬やステロイドの長期使用
・カンジダ菌や化膿菌の感染
口角炎の治療は、原因菌に見合った抗菌薬や抗真菌薬を使用します。加えて、高齢者の場合は口腔内を清潔に保ち、唾液が皮膚に触れないように指導されることもあります。
日常生活では以下に気をつけることも大切です。
唇の乾燥は口角へのダメージにつながります。乾燥を防ぐためにワセリンなど刺激の少ない保湿剤を使用し、保湿することをおすすめします。亀裂やかさぶたがある場合は、口を無理に開けないこと、かさぶたを無理やり剥がさないように注意しましょう。
ストレスや疲労、体調不良による免疫力の低下は二次感染を引き起こしやすいため、規則正しい生活を心がけることが大切です。バランスの良い食事、特にビタミンB群が多く含まれるレバー、牛乳、大豆製品、緑黄色野菜などを積極的に摂取しましょう。
口角炎の予防法を以下に解説します。
口角炎の主な原因は、唾液や食べかすが口角に何度も付着することによる刺激と考えられています。そのため、口角を舌で舐める癖がある人は、なるべくしないように注意してください。また、食後に口の周りを拭き、清潔を保つようにすることをおすすめします。ただし、擦りすぎると刺激となるので、控えめにしましょう。
口角炎を予防するためには、日常からビタミンやその他の栄養をバランスよく摂取することが大切です。口角炎予防に役立つ栄養素は以下のとおりです。
・ビタミンB2の不足は口角炎の発症率を高めます。レバー、たまご、納豆から摂取できます。
・ビタミンB6はにんにく、唐辛子などに含まれ、肌荒れを防ぐ効果があります。
・ビタミンAは免疫力を高める効果があり、アサリやしじみ、海藻類に含まれます。
・鉄分が不足すると口角炎を発症させるため、ひじきなどから摂取しましょう。
口角炎は日常生活に気をつけることで簡単に予防することが可能です。口角炎の予防や治療のために、栄養のバランスの取れた食生活を心がけましょう。ただし、何度も再発する口角炎であれば、医師に相談することをおすすめします。