記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「避妊のために、日常的にピルを服用している」という女性は少なくないようですが、実はピルには「血栓症」という重篤な副作用を引き起こす可能性があるといわれています。果たしてそれは本当なのでしょうか?
避妊用ピルを服用することのメリットとデメリットは、それぞれ以下のとおりです。
・毎日1粒ずつ飲むだけで確実な避妊ができる
・女性が主体的に妊娠するかどうかを決められる
・生理(医学的には月経というのが一般的です)を好きな日に移動できる
・生理痛が軽くなる
・生理の出血量が減る
・ニキビが改善する
・吐き気や頭痛、不正出血が起きることがある
服用を続けるうちに消えていくことがほとんどなので、基本的には心配いりません。
・血栓症(静脈血栓症)を発症することがある
まれではありますが、ピルの服用を始めてから3ヵ月以内に発症することがあります。肥満、喫煙、高齢女性の場合は、発症率が上昇するため注意が必要です。詳しい症状などについては次で解説していきます。
血栓症の症状には、下記のものがあります。
・足のむくみや痛み(多くの場合は片足のみ)
・激しい頭痛
・目が見えにくくなった
・しゃべりにくくなった
・激しい腹痛
足にできた血栓が血液で移動し、肺に詰まると(肺塞栓症といいます)、胸痛、呼吸困難、失神などの症状へと発展し、重篤な状態に陥る恐れがあります。
血栓症に対しては、ヘパリンなどによる抗凝固療法が行われるのが一般的です。ヘパリンは血液を薄め、血液のさらなる凝固を防ぐ働きをします。
ピルの服用による血栓症を予防するには、避妊方法をコンドームなどに切り替えることが挙げられます(コンドームは性感染症の予防などの観点から常に使用することが推奨されます)が、それが難しい場合は下記の方法を試してみるといいでしょう。
・足の運動をする
足や足の指をこまめに動かしたり、1時間に1度はかかとの上下運動(20~30回程度)を行ったり、ウォーキング(3~5分程度)を行ったりすると、血栓が足に溜まりにくくなると考えられています。
・着圧ストッキングを着用する
・適度な水分をとる
・ときどき深呼吸をする
血栓症は迅速に対処しないと、命にかかわる恐れのある病気です。健康な若い女性がピルの服用で血栓症を起こすことはきわめてまれですが、片足のむくみや激しい頭痛といった症状がみられた場合は急いで病院を受診しましょう。
【出典: 下記ホームページを編集して作成】
・厚生労働省運営「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」 http://w-health.jp/delicate/anticonception/
・厚生労働省「深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の予防Q&A」http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hoken-sidou/disaster_2.html