記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/8/24
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
ものが二重に見えたり、見ることに非常に疲れたりしませんか? もしかしたら、斜視かもしれません。生まれつきに斜視の人もいます。
この記事では、斜視と斜位についてまとめています。
ここでは、斜視と斜位について、基本的な知識をまとめています。
斜視とは、両眼の視線が同じところに向いていないことです。片方の眼は見ようとする方向に向いていますが、もう片方の目の向きがずれていて、1つのものを両方の眼で見ていないため立体的にものを見ることが難しくなります。
斜視と違って、神経を集中すれば両眼の視線を目標に合わせられます。通常は視線のずれがないため両眼視が可能ですが、片方の眼を隠して単眼で見たときに、隠した眼が斜視のようにもう片方が見ている方向から外れる状態になります。
斜視は、目のずれる方向により、「内斜視」「外斜視」「上斜視」「下斜視」の4種類に分類されます。
詳しくそれぞれをみていきましょう。
生後6ヶ月以内に発症し、内斜角が大きく、外に向けようとする眼球の動きが制限されています。
遠くを見たり、疲れたときに、眼が外へ向く状態です。明るいところで眼をつぶることもあります。外斜している目は、弱視や強い視力障害を伴うこともあります。
目線が上にずれる斜視です。上斜筋麻痺が原因になることが多く、下斜筋、上直筋、下直筋の筋肉の麻痺が組み合わさった状態で斜視が現れます。斜視側と反対に頭を傾けてみようとするのが特徴です。
目線が下にずれて見えます。それ以外は、上斜視の場合と同様です。
斜位も、斜視と同様に、目のずれる方向によって内斜位、外斜位・上下斜位があります。
眼位(眼の向き)の基本的なずれが原因ですが、きちんと調べると、ほとんどの人に軽度の斜位が認められます。
程度が強いと、絶えず緊張状態で物を見ているため眼が疲れやすく、視線のずれの程度が強いと物が二重に見えることもあります。
眼球を動かす筋肉や神経に障害がある場合や、乳幼児期に強い屈折異常が治療されず放置された、眼球を強く打撲した場合ど、原因は様々です。
斜位は、先天的なものよりも後天的なきっかけが原因で悪化させてしまう場合があります。目の周りの筋肉が弱く、集中していないと、目の位置がすぐにずれた位置に戻ります。斜位も斜視も早期の治療が大切です。
斜視の治療は、年齢や斜視の種類などで方法が変わりますが、治療は以下の目的順で行われていきます。
1.両眼の視力の改善・・・斜視側が弱視になっている場合が多いため、この症状の改善が重要
2.目の位置をまっすぐにする・・・状態にあわせてメガネだけで治療する場合と手術が必要になる場合がある
3.両眼視の訓練・・・両眼視→両目で見たものを脳で処理して立体視すること。訓練で獲得可能だが、早期に始めないと獲得できない場合もある
特に生活に支障のある症状がなければそのまま放置しても大丈夫です。しかし、斜位の程度が強い場合は、プリズムメガネを使用し視線のずれを調整します。症状がひどい場合は、手術が検討される場合もあります。
目の向く方向に違和感を感じたら、すぐに眼科で診てもらいましょう。特に小さい子供は、すぐに受診する必要があります。早く治療を受けるほど、治療の効果がでます。