記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/6
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
忙しい日々が続いたり、仕事やプライベートでショックな出来事があったりしたとき、心のバランスを崩してしまいがちです。
すぐに回復すればよいのですが、受けたショックがあまりにも大きいと、ずっと落ち込んだままだったり、気力が沸かなくなったりしてしまうことに。
どうすれば、心の健康を取り戻すことができるのでしょうか。
病院で受けられる診断や治療はどういったものでしょうか。
まず、現在感じている精神的に不安定な症状が、身体面での健康問題が原因になっていないかどうかを確認する必要があります。
身体面で何も問題がない場合、医師は精神面で何かしらの原因であるのではないかと判断することができます。
私生活における問題について、第三者である医師に話すことに慣れていないかもしれません。
でも、医師は外から見ただけでは、あなたが感じているストレスや不安、動揺を判断することはできません。このため、医師に正直に話す勇気を持つことがとても大切です。
特に、人生を楽しめなくなるほどネガティブな気持ちが強い場合、医師に相談することが重要です。 このような場合、医師が「大うつ病」と呼ぶものにかかっている可能性もあるかもしれません。
うつ病は、個別のカウンセリング、薬の服用、またはその両方に取り組みながら治療できる病気です。
治療ではまず、ご自身の感情を受け入れ、なぜその感情をを持っているのか理解しようとします。 人生における悲しみ、ストレス、不安の原因を整理すれば、心の健康を取り戻すのに役立ちます。
病院での治療以外に、できることはあるでしょうか。
ご自身で悩んでいることがあれば、愛する人に知らせることは問題ありません。ただし、家族や友人に話してしまうと、あなたの気持ちを適切に対処できない可能性があります。もし、気軽に話せる人が身近にいないようでしたら、かかりつけ医やカウンセラーなどにアドバイスやサポートを依頼してください。
職場、学校、または家庭の問題は、否定的な感情につながるのでこだわりすぎないようにしてください。
これは、ストレス、不安、動揺を感じたとき、幸せそうにふるまわなければならないという意味ではありません。否定的な気持ちと向き合うことは大切ですが、人生におけるポジティブなものにも関心を向けるようにします。研究からポジティブなものに意識を向けられるようになると、生活の質や健康を高めることが明らかになっています。
日記をつけると、幸福感や平和感を感じた出来事を記録することができます。記録しておけば、つらくなったときに見返してポジティブな気持ちを思い出すことができます。また、人生においてストレスを感じることを忘れる方法を探したり、楽しく取り組める趣味などを見つけたりしてください。
柔軟性のある人は、ストレスにも適切に対処できます。柔軟性は、たとえば社会的支援や自分自身に対するポジティブな見解の維持、変化の受け入れ、物事を正しく捉えることなど、さまざまな方法で学んだり、強化したりすることができます。
カウンセラーやセラピストは、認知行動療法(CBT)でこの目標を達成できるように支えてくれます。この療法に取り組む前に、こうした手法が自分にとって適切かどうかを医師に相談してください。
瞑想や音楽鑑賞、ガイド付きのイメージCDやMP3の鑑賞、ヨガ、太極拳などのリラクゼーションは、感情のバランスを整えるのに便利な方法です。瞑想は思考を導く方法のひとつで、たとえばエクササイズやストレッチ、または深く呼吸をすることによって行うことができます。
自分にとって適切なリラクゼーション方法としてどんなものがあるかは、かかりつけの医師に相談してみてください。
自分を大事にしましょう。心の健康を保つためには、健康的な食事と十分な睡眠、そして緊張を和らげるための運動などを通して、少しずつ受けた傷が癒され、心も、体も健康になるはずです。焦らず、自分のペースで心と体の健康を取り戻してください。