ネフローゼ症候群とは!?再発を防ぐにはどうすればいい?

2017/8/28 記事改定日: 2018/8/22
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

なんだか最近、疲れやすいと思っていたら、体のあちこちがむくみ始めた… それはネフローゼ症候群かもしれません。また、このような状態を引き起こした別の病気が隠れている可能性があります。
この機会に、ネフローゼ症候群について理解しておきましょう。

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ネフローゼ症候群とは

尿の中にタンパク質が大量に出てしまうために、血液中の「アルブミン」というタンパク質が減り(低タンパク血症)、その結果、体のむくみ(浮腫)や血液中のコレステロールなどの脂質の上昇が起きてしまう病気です。

尿にタンパク質が出てしまう理由は、血液中の老廃物や毒素などを尿として排泄することで血液を浄化する臓器である腎臓の糸球体に、障害が起こるからです。

また、むくみは、低アルブミン血症(低タンパク血症)により、血管の外へ水分が移動することで起こります。症状が進むと、腹部や肺、さらには心臓にも水がたまってしまうことがあります。
さらに低アルブミン血症が引き金になる病気として、腎不全や心筋梗塞、脳梗塞、感染症などがあります。

ネフローゼ症候群の原因

前述のように、血液中から、尿の中に大量のタンパク質が漏出するため、血液中のタンパク質(アルブミン)が減少します。

本来であれば、腎臓にある「糸球体」のろ過機能により、尿にタンパク質が漏れることははりません。しかし、糸球体の障害により漏出が起こり、それによって血管のなかの水分を保持する力が低下して、水分は血管の外に移動します。その水分が体のあちこちに溜まり、全身がむくむのです。

また、糸球体に障害が起こる原因としては、腎臓自体に病変が起こるものと、糖尿病や膠原病など、他の全身疾患による腎臓の損傷で起こるものに分けられます。
前者を一次性(原発性)ネフローゼ症候群、後者を二次性(続発性)ネフローゼ症候群と呼びます。
なお、腎臓(糸球体)自体に障害が起こる一次性に関しては、原因はまだわかっていません。

ネフローゼ症候群の症状

初期に現れやすい症状としては、まぶたの腫れ、食欲がない、疲れやすい、体がだるいなどです。
そして、その後、尿があわ立ち始め、顔にむくみが出始めます。

そのむくみは、徐々に全身に広がっていきます。脚がむくんだり、男性の場合は陰嚢がむくむことがあります。
また、体勢によって水分が移動するため、夜、寝ている間は顔やまぶたにむくみが現れ、昼間の立っているときは足首やふくらはぎがむくみやすくなります。

腸管に浮腫が生じることによって、食欲不振や下痢、そして、体重の増加や血圧の低下を招くこともあります。さらに、重症化することで、腹水や胸水が現れたり、急性腎障害になることもあるので注意が必要です。

ネフローゼ症候群は完治するの?

ネフローゼ症候群は一度発症すると、生活習慣の改善や薬物療法などによって症状が改善したとしても再発することが多く、安心することはできません。
定期的な検査が必要になり、再発した場合には当然ながら治療が必要になります。また、再発を繰り返すごとに症状も悪化することが多く、最終的には腎機能が著しく悪化して人工透析や腎移植などが必要になる場合もあります。

ネフローゼ症候群の再発を防ぐために大切なこととは?

このように、ネフローゼ症候群は寛解と再発を繰り返すのが特徴です。ネフローゼ症候群と診断された場合には、適切な治療を行うことはもちろん、寛解状態を維持するために食生活をはじめとした生活習慣を改善する必要があります。

再発を予防するには、塩分少な目な食事を心がけることや体に大きな負担のかかる運動を控える必要があります。しかし、尿たんぱくが出ていない場合には、原則的にはこれらの制限は必要なく、通常と変わらない生活を送ることが可能です。
一方、風邪などをきっかけとして再発することがあるため、手洗いや手指消毒などをこまめに行う、不規則な生活習慣を改めてなるべく風邪をひかないようにする、などの対策が必要となります。

おわりに:顔や足がむくんでいるなど、気になる症状が見られたらすぐに病院を受診しよう

顔や足のむくみから徐々に進行して、全身にむくみが現れるのがネフローゼ症候群です。放っておくと、腎臓障害が悪化し、全身の疾患へと進んでいくかもしれませんので、気になる症状が見られたらすぐに医師にかかりましょう。
また、ネフローゼ症候群を完治させることは難しいことが多いですが、寛解後の再発を防ぐことができれば、日常生活の制限をそこまで大きくありません。
医師の指示に従い、きちんと治療を続けていきましょう。

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