記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/6
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
突然の激しいめまい。何分も続いたり、繰り返したりしていませんか? もしかしたらそれ、「メニエール病」かもしれません。
症状や治療法など、全般的な情報をお伝えします。
メニエール病は、内耳疾患のひとつです。内耳への体液の蓄積が原因で引き起こされると考えられています。
患者本人にとっては煩わしい病気かもしれませんが、伝染性はなく、致死的でもありません。慢性疾患ですが、患っていても常に症状が出るわけではありません。
メニエール病は、通常片耳に発生しますが、両耳に罹患している人もいます。
メニエール病では、下記のような症状(発作)が現れます。
・めまい(回転性)
・耳の膨満感
・耳鳴り
・低音が聞こえにくい
回転性のめまいのため、歩くのが困難になったり、吐き気により嘔吐したり、発汗したりする場合があります。
発作は頻繁に起こり、20分から2時間以上続くこともあります。
基本的には、医師により問診が行われます。
発作が起きたときどんなふうになったか、などを尋ねられるでしょう。
また、ほかの耳の病気の可能性を除外するため、下記の検査を行う場合があります。
・聴力検査
・血液検査
・MRI
・CTスキャン
・その他の検査(バランスチェックや耳の機能検査など)
現段階ではメニエール病を治す方法はありませんが、下記の方法で症状をコントロールすることができます。
・塩分制限
塩分量を制限することで、内耳の液体量を間接的に制御する方法です。
・利尿薬
・カフェインと飲酒量の制限
・禁煙
また、めまいや吐き気を緩和させる薬が処方されることがありますが、副作用で眠気が生じる場合があります。
なお、薬や食事療法でも症状が緩和しないくらい重症の場合は、手術が必要になることがあります。
発作が起きたら、下記の方法を試してみてください。
・床などの動かない地面に平らに寝そべる
・静止した物に目を向ける
・飲食をやめる(吐き気が緩和されます)
発作が落ち着いたら、ゆっくり起き上がってください。
なお、強い眠気を感じることもありますので、発作の後の数時間は眠るようにしてください。
24時間以上嘔吐が止まらない場合は、病院を受診して薬を処方してもらうことをおすすめします。
メニエール病の人は、イライラすることがあります。
発作を制御するために生活習慣を変えることは大切ですが(食生活の改善、飲酒やカフェインの制限、禁煙など)、ストレス解消法を身につけることも重要です。
また、家族、友人、同僚に病気について知らせ、発作が起きた際の対処法を教えておくのもいいでしょう。
当てはまる症状はあったでしょうか。メニエール病は根本的な治療は難しいものの、吐き気などの症状のコントロールは可能な病気です。今回の記事を読んで、「もしかして、私も?」と思ったら、早めに病院を受診してくださいね。