ナットウキナーゼ

2017/9/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ナットウキナーゼは、食品の納豆(茹で大豆を枯草菌という細菌により発酵したもの)に由来する多くの酵素の一つで、線維素溶解活性を持つと考えられています。ナットウキナーゼにより、心臓血管系イベントのリスクが減少すると考えられていますが、研究は不十分な状況です。

概要


ナットウキナーゼは納豆に含まれる多くの酵素の一つです。

当初、キナーゼだと考えられたので、このような名前がつきました。専門的分類ではセリン・プロテアーゼに分類され、血栓を溶かす作用があるため、健康サプリとして使用されています。ナットウキナーゼは血栓形成や、それに続く血液凝固を予防することで心臓血管系のイベントが減少すると考えられています。

ナットウキナーゼは体内で代謝された後に、レニンやアンジオテンシンIIといった血圧を上昇させる生理活性物質を減少させ血圧を下げる効果を発揮します。ヒトにおける実験では、ナットウキナーゼにはわずかに血圧低下作用があるのではないかと考えられます。

中性脂肪やコレステロールへの効果に関してはナットウキナーゼは特に影響を及ぼしません。

総じて、ナットウキナーゼは比較的最近になって研究が進んでいるサプリです。そのため、他のサプリや、薬理学的選択肢と比較すると、ナットウキナーゼの使用法を裏付ける研究は十分ではありません。特に、血栓症の予防としての使用法に関しては、アスピリンやワーファリンの方がはるかに研究が進んでおり、現在、ナットウキナーゼと上述の対照薬剤を比較した、比較研究は存在しません。

納豆による心臓への健康効果は、納豆菌に由来する酵素による影響と、納豆に豊富なビタミンK(ビタミンK2)の効果の両方が考えられています。ビタミンK2は、植物内や、腸内細菌によって生成される必須ビタミンです。ビタミンKは骨の健康や、血液凝固を抑制するのに重要な役割を果たします。

基礎知識

混同注意

納豆(食品)

摂取方法


ナットウキナーゼを経口摂取する際の適量を示唆した研究は、十分にはありません。しかし、人間における実験では、1日に2000-5000FU(FU:fibrinolytic units 線維素溶解単位)を用いることが多く、通常、食事とともに、2回に分けて摂取します。

納豆自体が実験に用いられる事もあります。その実験では、2週間以上、毎日12gの納豆を食べることで、血栓を予防する効果があることが指摘されました。

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