レジオネラ菌が増殖しやすい環境は?感染を防ぐにはどうすればいい?

2018/4/26 記事改定日: 2019/4/15
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

加湿器を通じて集団感染し、死者も出た「レジオネラ菌」。抵抗力の弱い人は感染に十分注意をする必要がありますが、このレジオネラ菌はどんな環境で増殖しやすいのでしょうか?感染経路や予防方法とあわせて解説していきます。

レジオネラ菌が増えやすい環境とは?

まず、レジオネラ菌とは、河川敷や土手、森林地帯など自然界にいるカビの一種です。レジオネラ菌にはいくつか種類があり、それらを総称して「レジオネラ属菌」と言います。自然界では、レジオネラ菌だけが大量に増えることはありません。しかし下記の2つの条件を満たすと、爆発的に増殖することがあります。

1つめは、「近くに土壌か水があるところ」です。レジオネラ菌は元々自然界に存在するカビなので、土や水から養分を受け取ることができれば、その場所で生き続けることができます。

2つ目が「温度」です。一般的にカビは、温度が30℃以上かつ湿度50%以上の高温多湿の環境を好みます。レジオネラ属菌は20〜50℃の温度範囲で繁殖するとされ、36℃前後の温度で最も繁殖しやすいと言われています。

この2つの条件を満たしやすいのが、循環式浴槽や加湿器、建物に設置されている冷却塔などです。レジオネラ菌はこれらの人工的な環境において、特に不衛生な状態だと繁殖することがあります。

レジオネラ菌の感染経路

レジオネラ菌は、レジオネラ属菌を含んだエアロゾル(細かい水滴)を、口から吸い込むことで感染します。
プールや噴水、貯水槽などの1つの感染源から、複数の人に感染が拡大していく傾向がありますが、人から人へと伝染することはないと考えられています。

レジオネラ菌に感染するとどうなるの?

エアロゾルを吸い込んだ後、レジオネラ菌は肺に付着し、体温と血液の水分を媒介に10日ほどかけて繁殖します。
そして一定量のレジオネラ菌が増えた段階で、肺の中で特殊な酵素を出し、徐々に肺の組織を攻撃していきます。この段階に入ると脳が危険を察知して抗体を出し、諸症状が出るようになります。

症状のタイプには、「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」の2種類があります。ポンティアック熱は頭痛や発熱、筋肉痛などが主症状ですが、基本的には軽症ですみます。一方のレジオネラ肺炎は、39℃以上の高熱や吐き気、呼吸困難、意識障害などが主症状で、重篤化しやすく、死亡例もあります。乳幼児や高齢者など抵抗力の弱い人は特に注意が必要です。

レジオネラ菌に感染したときの治療法は?

レジオネラ菌に感染した場合は、ニューキノロン系やマクロライド系の抗生物質による薬物療法が行われます。また、肺炎を引き起こして呼吸状態が悪化したり脱水を引き起こしている場合には酸素吸入や補液療法などの対処療法が並行して行われます。

多くは適正な抗生物質を投与すれば軽快しますが、治療開始が遅れた場合や重症化しやすい基礎疾患がある場合には死亡に至ることもあります。

レジオネラ菌の繁殖を防ぐためには・・・

先述の通り、レジオネラ菌の高温多湿を好んで生息・繁殖します。エアコンの室外機は排水をしっかりと行い、排水ポンプと周辺を掃除してきれいにすることで繁殖を抑えましょう。

そして一番の感染経路ともいわれる浴槽においては、専用の消毒剤を使い、浴槽内とシャワーヘッドを洗浄・乾燥させることです。なお、外の配管からお湯を供給するタイプであれば、配管の汚れを除去する洗浄剤を使い、配管の中もきれいにすることが大切です。

おわりに:加湿器や浴槽などは定期的に掃除し、レジオネラ菌への感染を防ごう

肺炎を引き起こし、命を落とすこともあるレジオネラ菌への感染。加湿器や浴槽、エアコンの室外機など、高温多湿なところでレジオネラ菌は繁殖しやすいことがわかっています。定期的に洗浄を行い、感染を未然に防ぎましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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