記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/6/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
レジオネラ菌とは、自然界に生息するカビの一種です。感染すると重症化することもあるため、抵抗力の弱い人はとくに注意が必要といわれています。この記事では、レジオネラ菌が増殖しやすい環境と感染したときの症状について、治療方法と増殖を防ぐ対策をあわせて解説していきます。レジオネラ菌の感染予防対策に役立ててください。
レジオネラ菌とは、河川敷や土手、森林地帯など、自然界に生息するカビの一種です。レジオネラ菌にはいくつか種類があり、それらを総称して「レジオネラ属菌」と言います。自然界では、レジオネラ菌だけが大量に増えることはありません。しかし下記の2つの条件を満たすと、爆発的に増殖することがあります。この2つの条件を満たしやすいのが、循環式浴槽や加湿器、建物に設置されている冷却塔などです。レジオネラ菌はこれらの人工的な環境において増殖しやすく、不衛生な状態が重なるとさらに増殖しやすくなります。
レジオネラ菌は、レジオネラ属菌を含んだエアロゾル(細かい水滴)を、口から吸い込むことで感染します。プールや噴水、貯水槽などの1つの感染源から複数の人に感染が拡大していくことはありますが、人から人へと伝染することはないと考えられています。
エアロゾルを吸い込んだ後、レジオネラ菌は肺に付着し、体温と血液の水分を媒介に10日ほどかけて繁殖します。そして一定量のレジオネラ菌が増えた段階で、肺の中で特殊な酵素を出し、徐々に肺の組織を攻撃していきます。この段階に入ると脳が危険を察知して抗体を出し、諸症状が出るようになります。症状の種類には、「ポンティアック熱」と「レジオネラ肺炎」の2種類があります。
レジオネラ菌に感染した場合は、ニューキノロン系やマクロライド系の抗生物質による薬物療法が行われます。また、肺炎を引き起こして呼吸状態が悪化したり脱水を引き起こしている場合には、酸素吸入や補液療法などの対症療法が並行して行われます。多くは適正な抗生物質を投与すれば軽快しますが、治療開始が遅れた場合や重症化しやすい基礎疾患がある場合には死亡に至ることもあります。
先述の通り、レジオネラ菌の高温多湿を好んで生息・繁殖します。エアコンの室外機は排水をしっかりと行い、排水ポンプと周辺を掃除してきれいにすることで繁殖を抑えましょう。そして一番の感染経路ともいわれる浴槽においては、専用の消毒剤を使い、浴槽内とシャワーヘッドを洗浄・乾燥させることが予防につながります。なお、外の配管からお湯を供給するタイプであれば、配管の汚れを除去する洗浄剤を使い、配管の中もきれいにすることが大切です。
レジオネラ菌に感染すると、肺炎を引き起こし重症化することもあります。加湿器や浴槽、エアコンの室外機など、高温多湿なところでレジオネラ菌は繁殖しやすいことがわかっています。定期的に洗浄を行い、感染を未然に防ぎましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。