記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/9/7
記事監修医師
前田 裕斗 先生
出産の選択肢の幅が広がり、近年は自宅出産を選ぶ妊婦さんも少しずつ増えてきています。
自宅出産がどのように行われるのか、どのような利点があるのかについて、この記事で見ていきましょう。
現代では稀になってしまった自宅出産ですが、ヨーロッパでは今でも主流な分娩方法の一つです。
自宅出産に向けての準備は、助産院を受診して出産を助けてくれる助産師を探すことから始まります。ほとんどの自宅出産は「分娩の兆しが現われたときにかかりつけの助産院に連絡し、分娩を手伝ってもらう」というやり方をしているからです。
陣痛が起こる。
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助産師に連絡し、自宅に来てもらう。
助産師は陣痛から出産が終わるまでサポートをします。
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産後のママのケア。
助産師によっては定期的にママの体のケアや育児のアドバイスなどをしてくれることもあります。
かかりつけの助産師がいると妊娠中の体のケアや健康チェックもしてもらえることも多く、妊娠中のママにとって心強い支えになります。ただし、助産院によっては自宅出産に対応していないこともあるので、事前にしっかり確認しておきましょう。
自宅出産の大きな特徴は、慣れ親しんだ自分の家で出産ができることです。
そんな自宅出産のメリットとデメリットを見ていきましょう。
自宅で分娩ができるため、陣痛がきてもママが移動する必要がありません。
慣れ親しんだ我が家で出産がはじまるので、病院などでの出産よりもリラックスして臨めるのも大きなメリットです。
また、ほとんどの場合で出産準備から本番まで同じ助産師がサポートをしてくれるので、安心して出産できるといった声も多くあがっています。
さらに産後のママの体のケアや育児に関する相談など、引き続きフォローを受けられることも大きなメリットです。
自宅出産の最も大きなデメリットは、出産の場に産科医がいないことです。
出産時に医療行為が必要な状況になっても助産師は治療ができないため、提携先の病院に運ばれる間に処置が遅れてしまう可能性があります。
妊娠の経過が順調でも、出産時にアクシデントが起きる確率はゼロではないということをよく考えることが大切です。
残念ながら、全ての妊婦さんが自宅出産を選べるわけではありません。
助産師がサポートできるのは「合併症がなく、妊娠中の経過に大きな異常がないお産」と、法律で定められているからです。
以下の項目に当てはまる場合は緊急対応が必要になる可能性が高いので、病院または助産院での出産が望ましいでしょう。
・逆子である、あるいはその可能性が高い
・胎児が双子や三つ子である
・帝王切開を経験している
・喘息や甲状腺の病気などの合併症がある
・羊水の量が極端に多い、あるいは少ない
・過去に子宮筋腫などの子宮疾患があった
・血液型がRHマイナス型である
妊娠中の経過やママの体調や都合などによって、自宅出産を選択した後でも病院出産に変更することは可能です。
ただし、病院はベッド数などの問題で受け入れが難しいこともあるので、できるだけ早めに相談する必要があります。自宅出産を予定していても、万が一に備えて提携先の病院の状況を助産師に確認しておくと慌てずに済みます。
今回は自宅出産について見てきましたが、どんな出産法にもメリットとデメリットがあります。
ママがいちばん安心して出産を迎えられる方法を選びましょう。