記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/9/7
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
網膜剥離(もうまくはくり)は特に高齢者に多い目の病気です。この治療には手術が必要となります。今回は網膜剥離の手術法、また術後に気をつけることについて解説します。
神経網膜と網膜色素上皮細胞層の2枚の膜からなる網膜が、加齢に伴い網膜がはがれることを網膜剥離といいます。これは若い人にも起こる可能性があります。網膜剥離が起こると、以下のような症状があらわれます。
・飛蚊症(蚊やゴミなどが飛んでいるように見える)
・光視症(目の外側で閃光のようなものが見える)
・視野狭窄(視野が狭くなる)
・視力低下
網膜剥離は、種類によって手術法が異なります。手術法は以下のとおりです。
光凝固術は、網膜の裂け目を治療する手術です。この場合、他の手術とはちがい入院の必要がなく、通院治療となります。
網膜復位術は、比較的経度な状態の場合に採用されます。剥離した網膜の部分に強膜スポンジを当て、剥離した網膜をくっつける方法です。硝子体手術に比べ、眼球への負担が少なく済みます。
硝子体手術は、進行した網膜剥離や硝子体出血を合併している場合に採用されます。網膜裂孔の原因となった硝子体のひっぱりをレーザーにより治療します。その後、眼球内にガスまたはシリコンオイルを注入します。
手術の後は、担当医の指示に従って安静にします。経過によりますが、術後およそ10日間程度で退院できることが多いです。 手術後には以下のようなさまざまなことに気をつける必要があります。
網膜復位術後は、眼球への負担が少ないので1週間~10日前後の入院期間で済みます。生活的な負担も少ないですが、激しい運動や目の酷使には注意しましょう。
硝子体手術の後は、うつむき姿勢でいるようにしましょう。手術で使われるガスは空気よりも軽いため、上方(天井側)に向かう特性をもっています。うつむき姿勢を保ち安静にすることで、眼球内に注入されたガスは、網膜を持ち上げ元の位置に戻し、くっつける手助けをします。網膜がくっつくまでうつむき姿勢を保って安静にすることが必要です。
網膜剥離手術で治癒したとしても、網膜の表面や裏に細胞が増殖し、線維組織ができ、再度網膜剥離を起こすことがあります。この増殖性硝子体網膜症にかかると、繰り返し手術を行う必要がありますが、この合併症はまれです。
手術後は、激しい運動や目を酷使することを避けましょう。
眼内の状態が落ち着くまでに1~3ヶ月かかります。少なくとも術後1ヶ月間は、眼を使いすぎないように注意しましょう。また、重いものを持つ、走る、車の運転をすることは避けましょう。
網膜剥離手術の後は、眼の状態が落ち着くまで、安静にすることが必要です。激しい運動や目を酷使する作業は控えるようにしてください。