赤ちゃんの水頭症にはどんな特徴がある? どんな治療法がある?

2017/9/8

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

水頭症は、成人にも赤ちゃんにも発症する頭の病気ですが、同じ水頭症でも赤ちゃんの場合、症状や治療法に違いがあります。今回は、赤ちゃんの水頭症について解説します。

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水頭症ってどんな病気?

水頭症とは、脳脊髄液(髄液)の産生、循環、吸収の中で起こる異常(産生過剰、吸収障害、通過障害)によって脳室が拡大し、そこに髄液が貯留することによって、さまざまな脳障害を生じる病態です。

水頭症は、くも膜下腔での髄液の停滞や産生、吸収に問題がある交通性水頭症と、脳室の経路で髄液の流れが悪くなる非交通性水頭症の2種類に分類され、赤ちゃんは非交通性水頭症の発症が多いといわれています

水頭症の症状にはどんな特徴がある?

赤ちゃんの水頭症の場合、脳を覆う頭蓋骨が成長過程にあるために、頭痛や嘔吐、反応が悪くなる、意識障害の他に、以下のような特有の症状が見られます。

頭が大きくなる

産まれてすぐの赤ちゃんの頭蓋骨は、骨と骨の間に空間があり、骨同士の結合も弱いため、この時期に水頭症になると、脳圧が高くなり頭蓋骨が外側に押され、頭が大きくなります。
また、脳圧が高くなることにより、頭皮の静脈が膨らんで見えることがあります。

落陽現象

黒目の下半分が下まぶたの方に移動し、白目が目立つ落陽現象があらわれます。

水頭症の検査・診断法は?

赤ちゃんの水頭症の検査では、頭部のCTまたはMRIで脳室の拡大がみられるかどうかを確認します。ただし、先天性の脳の形態異常に合併した水頭症では、原因がわからないこともあります。

出産前の水頭症診断はできる?

近年の超音波検査や、胎児MRI検査で、先天性の水頭症が診断できる場合があるとされています。出産後の治療法など、医師に相談しておくことが大切です。

水頭症を治療する方法は?

水頭症の治療では、過剰に溜まってしまう髄液を減らすなど、調整するための手術が行われます。交通性の水頭症の場合、シャント手術が一般的といわれています。

また、非交通性の場合は内視鏡的脳室底開窓術が検討されることもあります。これは頭蓋骨に小さな穴を開け、その穴から内視鏡を覗きながら第三脳室の底に穴をあけ、脳室内に貯まった髄液をバイパスにより、脳表に流れるようにする手術です。
バイパスを通過した髄液は、正常な経路に入り吸収されていき、シャントチューブを留置する必要がなく、安全性が高いとされています。

おわりに:頭が大きくなる、反応が鈍くなるなど、特徴的な症状が見られたら病院へ

赤ちゃんは自分の症状を伝えることができません。そのため、普段と違った泣き方や、異変がないか注意しましょう。もし頭が大きくなる、反応が鈍くなるなど、特徴的な症状が見られたら病院で診てもらうようにしてください。

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