首のヘルニア「椎椎間板ヘルニア」とは ― どんな症状だと危険なの!?

2017/9/11 記事改定日: 2018/5/16
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

慢性的な首のこりや肩こり、繰り返す寝違えに悩まされていませんか。もしかしたら、頸椎椎間板ヘルニアが原因かもしれません。頸椎椎間板ヘルニアは、日常生活に支障をきたすほどの障害につながることもあります。
この記事では、頸椎椎間板ヘルニアの症状や治療法についてまとめています。病院に行くタイミングを見逃さないためにも、参考にしてください。

頸椎椎間板ヘルニアの症状

頸椎の椎間板にあるゼリー状の髄核が本来の場所から後ろに飛び出し(=ヘルニア)、脊髄や神経を圧迫する疾患を椎間板ヘルニアといいます。
頸椎椎間板ヘルニアによって起こる症状は、首や肩の痛みや、手のしびれや痛み、脱力、手を使った作業がしづらくなるなどの神経症状が主な症状です。

部位別でみると、主に以下の症状が現れます。

上肢・下肢

上肢も下肢も、手足の先端に行くほど強いしびれが現れます。他には、握力が低下したり、手で行なう細かな作業(たとえば文字を書く、ボタンを留めるなど)が難しくなることもあります。

通常は上肢や頭など上半身の症状がメインですが、病状が進行すると下肢にも痺れなどの症状が現れる可能性があります。足を前に運びづらくなったり階段の昇降が困難になるなどの症状が現れ、麻痺が進行すると立ち上がることもできなくなったり、排尿障害などが起こることもあります。

首・肩

首の後ろから背中、そして胸の前あたりにも痛みやこり、倦怠感などが現れます。

頭・顔

首の後ろから後頭部や側頭部にかけて、痛み、眼精疲労のほか、耳鳴りやめまい、吐き気といった症状も出ることがあります。

姿勢や動きで痛みやしびれの状態はどのように変化する?

頸椎椎間板ヘルニアによる痛みやしびれなどの症状は姿勢や動きによって大きく変化します。
諸症状は上を向くと強くなるのが特徴で、痛みやしびれが生じている側に首を傾けても症状が強くなることもあります。
また、首をすぼめたような姿勢や首を後ろに沿ったような姿勢でも症状が悪化するため、自然と前かがみになる人が多い傾向にあります。

経過

症状の現れ方には個人差がありますが、一般的には首や肩、腕などのコリやだるさ、違和感から発症することが多いといわれています。これらの症状は単なる疲れと思われ放置されることも多いですが、症状は徐々に進行していくので注意が必要です。

椎間板の脱出が徐々に大きくなると、神経への圧迫が強くなり、首の痛みや難治性の肩こり、手のしびれなどが生じます。また、更に重症化すると手や腕のしびれがなくなって様々な感覚がマヒしたり、筋力低下がみられるようになります。さらに、足まで続く太い神経を圧迫している場合には足先にもしびれや痛みが生じ、排尿困難や便失禁などの直腸膀胱障害がみられるようになることもあります。

頸椎椎間板ヘルニアの原因 ― なぜ椎間板が変形してしまうの?

頸椎椎間板ヘルニアになる原因ははっきりとはわかっていませんが、偏った姿勢や運動や仕事での椎間板への負担のほか、加齢による変化が発症要因と考えられています。また、喫煙や遺伝、ストレスなどが発症に関わっているのではないかともいわれていますが、完全に証明されたわけではありません。

頸椎椎間板ヘルニアには、どんな治療法がある?

ヘルニアの発生部位や進行度合によって治療方法が変わる場合があります。
いつ頃から痛みがあるのか? 原因と考えられることはあるか、他の病気の有無、痛む場所、いつ、どのような体勢をとっているときに痛むか、どんな痛みか、しびれはあるかなど詳しい問診が行われ、主にMRIで確定診断されます。

保存療法

頸椎椎間板ヘルニアの治療は、基本的に保存治療が中心です。温熱治療や運動療法、電気治療などのほか、薬やビタミン剤の内服、頸椎牽引、頸椎装具などを組み合わせながら経過を観察し、以上で変化がみられない場合は、ブロック注射(頸椎硬膜外ブロック、頸椎神経根ブロックなど)が行なわれます。

それでも痛みやしびれが改善されなかったり、感覚障害や運動障害などがひどく日常生活に支障がある場合は、手術がすすめられることもあるでしょう。

ただし、手術には合併症のリスクがあります。また、手術をした患者の多くに回復がみられるものの、すぐに症状が改善しなかったというケースもあるので、事前によく医師と話し合ってから意思決定をしましょう。

手術療法

保存的治療によっても症状が改善しない場合には、根本的な治療法である手術が行われます。頸椎椎間板ヘルニアの手術にはいくつかの方法があり、症状や椎間板が突出している位置、年齢などが考慮されて手術方法が決定されます。

多くは、首の前方から皮膚に切開を加え、頸椎の骨に穴を開けて顕微鏡で神経を圧迫している椎間板を切除する頚椎前方到達法が行われます。手術時間は短く、術後の回復も早いとされています。
かつては同じく首の前方から切開して、椎間板を全て取り除き、椎骨同士を骨移植や特殊な金属で固定する前方固定術が主流として行われていましたが、皮膚を大きく切開しなければならず、椎骨が固定されることで首の運動が障害されることが問題となっていました。
また、治療期間も長く、体へのダメージが大きく術後感染症などの合併症も多いため、今では内視鏡による頸椎前方到達法が主流となっているといわれています。

日常生活の注意点

病院での治療とあわせて、日常生活での姿勢に注意することも大切です。たとえば、スマートフォンを見ているときや座っているとき、仕事でPCを使っているときなどは、姿勢に注意し、こまめに休憩をとるようにしましょう。
また、重いものを持たないようにしたり、カバンを肩から提げるのをやめるなど、痛みがでる動作や姿勢などをできるだけ避けるようにしてください。

ストレッチや筋肉トレーニングは有効?症状が悪化することもあるって本当?

頸椎椎間板ヘルニアの症状に肩や首のコリがあるため、これらの症状を改善するためにストレッチや筋肉トレーニングを行う人も多いでしょう。
しかし、ストレッチや筋肉トレーニングは首に過度な負担をかけてしまうことで、椎間板をさらに突出させて神経圧迫をひどくさせてしまう恐れがあります。特に首に痛みがあるときに行うと、神経への圧迫が繰り返されることで炎症がひどくなり、非常に強い痛みが引き起こされることもあるのです。
首に痛みやしびれがあるときは自己判断でストレッチや筋肉トレーニングを行わず、安静を保って早めに病院を受診するようにしましょう。

病院にいくタイミング

頸椎椎間板ヘルニアは、初期の頃には典型的な首の痛みや腕のしびれなどが生じにくいため、悪化してから初めて病院を受診する人も非常に多いのが現状です。

しかし、保存的治療によって治癒を目指す場合には、なるべく早い段階で適切な治療を受ける必要があります。
腕にだるさを伴うような治りにくい首、肩のコリはヘルニアの初期症状の可能性があります。1か月以上このような症状が続く場合は、無理せず病院を受診して検査・治療につなげていきましょう。

おわりに:首の痛みから手のしびれは頸椎椎間板ヘルニアが原因かも。自己判断せずに早めに病院で検査しよう

首の痛みは寝違えなどでも起こりますが、背景に頸椎椎間板ヘルニアが隠れている可能性があります。痛みや慢性的な肩こりと手や指のしびれが併発していたり、何度も寝違えを繰り返している場合は、自己判断で間違ったケアや放置して悪化すると、歩行障害や排尿障害に発展するおそれがあるのです。
早めに病院で検査し、適切な治療を受けるようにしましょう。

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