記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
トレハロースは、細胞レベルでは、タンパク質アンフォールディングを抑制することによって治療効果をもたらすと考えられている糖です。実際には、消化が急速であることで無傷の形では経口吸収が低いということによって、経口摂取の効果が妨げられてしまうかもしれません。
トレハロースはグルコースから成る二糖ですが、マルトースとして知られる食事性糖質とは異なります。マルトースとは異なる結合による二つのグルコース分子から成り立っています。トレハロースは食事の中では主にキノコを構成しているものですが、それを除けば人間の食事に含まれているケースは限られます。
メカニズムは分かりませんがアポトーシスを誘導する能力のために、様々な治療目的に関して研究がなされており、トレハロース注射を用いるこのような治療環境においては、効果的であると考えられています。
あいにく、トレハロースは本来腸だけでなく腸壁でも吸収されにくいので、トレハロースを急速にグルコースへと分解することができる酵素(トレハラーゼ)があります。この酵素を避けて吸収されるトレハロースは、肝臓や血液に存在しているトレハラーゼによって最終的に消化され、これによって細胞に届いてその治療効果を働かせるようなトレハロースはほとんどあるいは全く残らなくなります。
トレハロースの効果を保つ唯一の方法は、経口摂取でなく局所投与をすることで、細胞機能保護効果が肌、目、髪にのみ現れるようにすることです。点眼薬としてドライアイの症状の治療に使った際には治療効果が既に現れており、その効能は市販の製品よりも高いです。
・トレハラーゼによる急速な消化のために、トレハロースのサプリメントを経口摂取することによって何らかの特有の効果が現れるということは考えにくいでしょう。トレハロースはグルコースに消化されてしまうためです。