B型肝炎の症状と感染経路 ― 家族やパートナーのための基礎知識

2017/9/12 記事改定日: 2018/5/11
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

この記事では、そのB型肝炎の症状や治療法など、全般的な情報をお届けします。B型肝炎ウイルスは感染力が強いため、早めに発見し、治療と予防対策をすることが重要です。自分のためだけでなく、家族やパートナーのためにもきちんと理解しておきましょう。

B型肝炎の症状とは!?急性と慢性で違いはあるの?

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)への感染によって引き起こされる肝疾患です。HBVは感染した時期や健康状態によって、「一過性感染」(一過性の感染)と「持続感染」(生涯持続する感染)に分けられ、またB型肝炎も「B型急性肝炎」と「B型慢性肝炎」に分けられ、自覚症状は「B型急性肝炎」か「B型慢性肝炎」かによって異なります。

B型急性肝炎の自覚症状

B型急性肝炎では、感染してから1~6ヵ月の潜伏期間の後、全身の倦怠感や食欲の低下、吐き気、黄疸、尿が褐色になる(濃いウーロン茶のような色)といった症状が現れます。炎症が重度の場合は、肝不全に発展する「劇症肝炎」を引き起こすこともあります。

B型慢性肝炎の自覚症状

B型慢性肝炎は急性肝炎と比べ、目立った自覚症状はほとんどありません。ただ、身体の成長につれて免疫力が上昇してきた頃から白血球はHBVへの攻撃を始めるようになります。白血球はHBVに感染した肝細胞も破壊してしまうため、10~30代前後に一過性の強い肝炎を引き起こすことがあります。

この後ほとんどの人は肝炎を再発させることなく肝機能の安定した状態が続きますが、一部に慢性肝炎から肝硬変、肝がんへと進行してしまう人もいます。

B型肝炎の感染経路は?

HBVは血液や体液によって感染すると考えられており、感染経路は「垂直感染」と「水平感染」に分けられます。

垂直感染

垂直感染とは、HBV感染者の母親から赤ちゃんへの母子感染のことで、具体的に考えられるのは、出生時あるいは妊娠中の子宮内での感染です。

水平感染

水平感染は、HBV感染者の血液の輸血、注射針の使い回し、入れ墨、ピアスの穴あけ、性行為などによる感染を指します。なお、出生時や乳幼児にHBVに感染した場合は、先述の「持続感染」になりやすいとされています。

潜伏期間

B型肝炎ウイルスは感染したとしてもすぐに症状が現れるのではなく、60~90日と長い潜伏期間があるのが特徴です。初期症状としては、黄疸や濃い尿、全身倦怠感、食欲不振などがありますが、これらの症状が現れるのは感染者の20%ほどで、残りの多くは何も症状がなく感染を自覚する機会がないという問題があります。

子供のB型肝炎の症状と特徴

子供がB型肝炎ウイルスに感染する機会として最も多いのは、母親が感染者であり出生時に母体の血液に触れることで感染する母子感染です。また、家族内に感染者がおり、何らかの機会に血液や体液に触れ、感染することもまれにあります。症状は成人と同様で、発熱や全身倦怠感、黄疸、食欲不振などがあらわれます。

このようにして子供がB型肝炎ウイルスに感染すると、持続感染を生じる確率が成人よりも高くなります。成人での持続感染は5%程度であるのに対して、一歳以下では90%以上が持続感染を生じ、1~5歳児では25~50%であるといわれています。

持続感染は慢性肝炎を引き起こし、肝硬変や肝臓がんへ移行する可能性が高くなります。B型肝炎は際立った症状がないからといって決して看過することはできない感染症なのです。

B型肝炎の治療法

B型肝炎の治療法も、急性肝炎と慢性肝炎によってそれぞれ異なります。

B型急性肝炎の治療法

B型急性肝炎はほとんどの場合自然にウイルスが排出されるため、特別な治療は必要なく、症状に応じて点滴や水分補給を行うのが一般的です。ただし、劇症肝炎の場合は、抗ウイルス薬や核酸アナログ製剤による治療が必要になることがあります。

B型慢性肝炎の治療法

B型慢性肝炎の場合は、インターフェロン治療や核酸アナログ製剤による治療を行うことがありますが、C型肝炎とは異なり、これらの治療を行ってもHBVを完全排除できることはほとんどありません。あくまでHBVの増殖や肝硬変への移行を抑えるという目的で、上記の治療や肝庇護療法(ウルソデオキシコール酸の内服薬やグリチルリチン製剤の注射薬による治療)を実施します。

パートナーがB型肝炎のキャリアの場合、検査した方がいい?

成人のB型肝炎ウイルス感染の多くは性行為によるといわれています。また、性行為以外でもパートナーがキャリアである場合には、日常生活上でも感染が生じる可能性もあります。
パートナーがB型肝炎のキャリアであることが判明した場合には、なるべく速やかに感染の有無を検査し、予防接種を受けるようにしましょう。

また、性行為での感染を防ぐためにコンドームによる感染予防を行うことも大切です。特定のパートナーのみと性行為を行う場合には、経口避妊薬だけで避妊を行う人もいるでしょうが、経口避妊薬では感染を予防することはできません。また、オーラルセックスでも感染することがあるので注意しましょう。

おわりに:B型肝炎の種類によって症状や治療法は違う。検査と予防が重要

ひとくくりに「B型肝炎」といっても、急性と慢性のものがあり、それぞれで自覚症状や治療方針は異なります。B型肝炎の疑いがある方は、まずは病院で詳しい検査を受けるところから始めましょう。
また、パートナーや家族にB型肝炎のキャリアがいる人は、感染経路を確認して予防に努め、できるだけ予防接種を受けるようにしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

治療(462) B型肝炎(21) 感染経路(27) 原因(609) 急性肝炎(10) 慢性肝炎(8)