O157の感染を予防するためのポイントと初期対応とは!?

2017/9/20 記事改定日: 2018/8/10
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

O157(腸管出血性大腸菌)は、感染すると水性の下痢と激しい腹痛、血便が起こる感染症で、最悪の場合は死に至ることもあります。主な感染経路は食品からのため、予防には食品の取り扱い方が重要となります。今回はO157感染予防のポイントをご紹介します。

O157の感染予防のために、原因を知っておこう!

O157(腸管出血性大腸菌)の感染原因は、腸管出血性大腸菌に汚染された肉、魚介類、野菜などを食べることによって感染することが主な原因です。

O157の感染事例から、原因となる食品と特定、あるいは推定されたものには以下のようなものがあります。

  • 井戸水
  • シカ肉
  • 牛肉、牛レバー刺し、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ
  • ハンバーグ
  • サラダ、貝割れ大根、キャベツ、メロン、白菜漬け
  • 日本そば
  • シーフードソース

O157の感染原因となる食品や食材は様々なものがあり、取り扱いには注意が必要となります。また、動物との接触による感染事例もあったといわれています。

O157感染予防対策:食品購入時に気をつけること

食品購入時には、以下のことに気をつけるようにしましょう。

  • 肉、魚介類、野菜などの生鮮食品は新鮮なものを購入する
  • 消費期限などの食品表示をしっかり確認する
  • 購入した肉などの肉汁、魚などの水分が漏れないようにビニール袋にしっかりと包み持ち帰る
  • 生鮮食品など冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品は最後に購入し、早めに持ち帰り適切に保存する

O157感染予防対策:食品の保存・調理時に気をつけること

食品の保存や調理時には以下のことに気をつけるようにしましょう。

  • 冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる
  • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下を目安に維持する
  • 多くの細菌は10℃を下回るにつれ増殖が遅くなり、-15℃で増殖が停止するが、細菌が死滅するわけではないので食品は早めに使い切るようにする
  • 冷蔵庫や冷凍庫に食品を詰めすぎないように、容量の7割りを目安に入れる
  • 食品を取り扱うときは、取り扱う前と後に必ず手を洗う
  • 肉と野菜など、まな板や包丁を食材ごとに使い分ける
  • 流し台の下に食品を保存する場合は、水漏れなどに気をつける

食べ切れなかった料理を保存するときの注意点

食べきれずに残った料理を保存する時には以下のことに気をつけましょう。

  • 残った食品を扱う前にも手を洗い、きれいな器具や皿を使って保存する
  • 時間が経ち過ぎた料理は思い切って捨てる
  • 残った食品は早く冷めるように浅い容器に小分けして保存する
  • 残った食品を再加熱するときは75℃以上を目安に、1分以上加熱する
  • 味噌汁やスープなどの汁物は沸騰するまで加熱する
  • 少しでも怪しければ口に入れるのを避ける

O157感染症の初期症状と初期対応 ― なってしまったときは・・・

O157に感染すると、3~8日の潜伏期間を経て、頻回の水様便が見られ、その後非常に強い腹痛と場合によっては血便が見られることがあります。発熱は小児や高齢者以外では38度以下のことが多く、発熱が見られないことも多々あります。

このように、O157感染症の初期症状は、水様便と微熱であるため、通常の胃腸炎と区別がつきにくく、放置されるケースも多いことが考えられます。しかし、O157感染症は重症化すると脳炎や溶血性尿毒症症候群などの重篤な合併症を引き起こして死に至る可能性もあります。

生焼けの肉を食べた、など思い当たる出来事があり、胃腸炎症状が現れた場合にはなるべく早めに病院を受診して検査・治療を受けるようにしましょう。

病院へ行くまでの間には、自己判断で市販の下痢止めを服用すると症状を悪化させることがありますので、十分な水分を摂取して消化の良い食べ物を食べて安静にすることを心がけましょう。また、家族や職場など身近な人に感染させてしまうことがあるため、手洗いや消毒などの感染対策を怠らないことも大切です。

おわりに:食品の保存や調理時にしっかり火を通すなど、菌を寄せ付けないことが大切

O157の感染を予防するためには、食品の購入から注意をし、調理や保存のときにはしっかり火を通すなどに留意し、細菌を寄せ付けないことが大切です。
もし下痢を伴う発熱などの感染を疑う症状があった場合は、すぐに病院で検査をうけ、周囲に感染を拡げないように注意しましょう。

厚生労働省ホームページを編集して作成 】

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