記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/21 記事改定日: 2018/12/17
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
風邪をひいたときに体験する発熱や頭痛、のどの痛み、咳、痰、倦怠感、悪寒、鼻水、鼻づまりなどの諸症状。これらは風邪症候群といいますが、その中のひとつに急性咽頭炎があります。ここでは、急性咽頭炎の原因や症状について解説します。
そもそも咽頭炎には3種類あり、アデノウイルスやコクサッキーウイルスなどのウイルスや細菌が原因で、のどに炎症が起こるのが急性咽頭炎です。そして、この急性咽頭炎が慢性化してしまうのを慢性咽頭炎と呼び、性感染症がのどにも感染してしまったり、結核菌など特殊な細菌によって感染が起こるものを咽頭特殊感染症と呼んでいます。
すべて咽頭炎において、のどに現れる症状は似ており、次のようなものになります。
ちなみに、咽頭特殊感染症では、のどに現れる症状は急性咽頭炎や慢性咽頭炎に似ているため、症状だけでの診断は難しいものとなります。
前述のように、急性咽頭炎の原因は、アデノウイルスやコクサッキーウイルスなどのウイルス菌が、のどにある咽頭部分に感染することによって発症します。
さらに、A群β溶血性連鎖球菌(えいぐんべーたようけつせいれんさきゅうきん)やインフルエンザなど、細菌が感染によって発症する場合もあります。さらに、刺激性ガスの吸入など、物理的な刺激が原因になることもあります。
とくに多いのが、乳幼児が風邪をひいたあと、夜間などに急に容態がかわって、急性咽頭炎になる場合です。
のどは、外部からの異物(細菌やウイルスなど)が入り込む入り口となる口や鼻とつながっているため、外からの異物や刺激によって炎症が起こりやすいです。また、外からの要因だけでなく、ストレスや疲れ、睡眠不足によってのどに炎症を起こし、これが急性咽頭炎となってのどの痛みや熱を引き起こすこともあります。
ストレス自体が急性咽頭炎を引き起こすことはありません。
しかし、近年の研究ではストレスがかかることで交感神経が過剰に働き、免疫細胞の一種であるリンパ球の作用が制御されるとの報告があります。このため、ストレスは全身の様々な部位の感染や炎症を引き起こすきっかけとなる可能性があるのです。
もちろん、急性咽頭炎もストレスによって免疫力が低下することで発症しやすくなります。
日頃から、ストレスの少ない生活を心がけ、睡眠や休息時間をしっかり確保するように心がけましょう。
病院ではほとんど検査は行なわれず、のどや首のリンパ節の腫れなどを確認し、症状を問診で聞いて判断することが多いです。
咽頭の症状があまりひどくない場合には、炎症や腫れ、風邪の症状などに対する対症療法を行ないます。できるだけ安静にし、食事をきちんと食べ、こまめに水分を摂りましょう。可能ならば、加湿器を置いてのどの保湿に努めてください。
ただし、仕事や日常生活にも影響が出るほど症状がひどい場合には、解熱鎮痛剤の服用が必要になることあります。
原因が細菌感染の場合は、抗生物質(ペニシリン系など)を処方されます。
もしくは、ネブライザー治療(薬剤を超音波で細かい霧状にして患部に吹きつける治療法)が行なわれることもあります。
また、“うがい薬を使ったうがい”は、炎症や腫れをやわらげるのに効果的です。風邪や咽頭炎を予防する意味でも、ふだんからうがいを心がけましょう。
そして、声をあまり使わないようにし、もちろん、喫煙はひかえてください。
急性咽頭炎は、ストレスが発症のきっかけとなることもありますが、その他の日常生活から大きな影響があることもあります。
喉の粘膜には、「線毛」とよばれる構造があります。線毛は、糸のように喉の粘膜に密生しており、細菌やウイルスなどの異物を捉え、体外に排出する作用があります。線毛は粘液で覆われており、喉の乾燥や無理な発声などによって機能が低下することが分かっています。
線毛の機能が低下することで、細菌やウイルスに感染による急性咽頭炎になりやすくなるのです。
このため、急性咽頭炎を予防するにはマスクを着用したり、室内を加湿することなどによって喉の乾燥を防ぎ、喉の使いすぎを控えることが大切です。
また、インフルエンザなどの感染症が流行する時期には、外出時のマスク着用やこまめな手洗いを心がけるようにしましょう。
ひと口にのどの痛みといっても、その原因によって対処方法は変わってきます。
喉の痛みが長引いたときが、まずは病院で検査してもらい原因を特定してもらいましょう。
また、我慢できないくらい痛い、息を吸いづらいなどがあるときは慢性化している可能性があります。なるべく早く病院を受診するようにしてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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