記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2017/9/22
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
インプラントは、その仕上がりの良さから差し歯よりも優れていると思う人も少なくないでしょう。しかし、インプラントにもデメリットは存在します。今回は、インプラントについて差し歯とどう違うのかも交えてご紹介します。
インプラントと差し歯には、主に以下の3つの違いがあります。
金額によって治療の良し悪しが決定するわけではないですが、インプラントと差し歯の治療費には大きな差があることが多いです。また、差し歯の中での被せものの種類によって費用が異なります。症状に合わせた治療法や被せものの種類による違いを歯科医師とよく相談して決めることが大切です。
インプラントと差し歯では治療法が異なります。
インプラントの治療法は後述しますが、差し歯の治療は、削った永久歯に土台を作り、型を取り、その上から差し歯を被せます。つまり、歯がある程度残っていないと治療できません。治療期間は2~3週間と比較的短く済みますが、神経の治療が必要な場合はもう少し時間がかかります。
インプラント治療は、誰でも受けられるわけではありません。以下に該当する場合、治療を受けられない可能性があります。
・18歳以下
・顎の骨がやせてしまっている
・骨粗鬆症などで骨密度が低い
・噛みあわせが悪い
・頭頸部領域に対する放射線治療を受けている
・高齢者や、体力に問題がある
・血糖コントロールが不十分な糖尿病を患っている
インプラントの治療は、長期間にわたります。まずは十分なカウンセリングと、歯肉や噛み合わせなどを確認します。その際虫歯や歯周病が発見されると、その治療を優先されます。
インプラントの埋入手術は、入院の必要はなく、1本であれば30分程度で終了します。
術後約1週間で抜糸を行います。インプラントと骨が結合された段階で、仕上げの人工歯を入れます。
最終的に人工歯が入れば、定期的にメンテナンスを行い、他の歯と共に健康を保つようにします。
インプラントのメリットどデメリットを以下にまとめました。
・違和感がない・・・顎の骨にしっかり固定するので、違和感がなく噛むことができます。
・噛む力がほぼ元通りになる・・・噛む力を回復することが出来るので、固いものを噛むことが出来るようになります。
・他の歯に負担をかけない・・・隣の歯を削る必要がありませんし、見た目が元の健康な歯に近くなります。
・体に良い影響を与える・・・良く噛めることは全身的にも、周囲の健康な歯にもよい影響を与えます。
・手術が必要・・・インプラントを顎の骨に埋め入れる手術が必要です。
・治療できない人もいる・・・全身の疾患がある場合には治療ができない場合があります。
・治療期間が長い・・・インプラントは骨と結合させる必要があるため、治療期間がながくなります。
・定期的な検診が必要・・・インプラントを維持するためには十分な口腔衛生の管理と定期的な検診が必要です。
・成功しないことがある・・・治療が成功したとしても、メンテナンス不足による細菌の感染でインプラント周囲炎などを起こす可能性があります。
インプラントには、メリット、デメリットがあるため、歯科医と十分相談することをおすすめします。インプラントについて気がかりなことがあれば、気兼ねなく歯科医に尋ねましょう。